最近、XRPが東京オリンピックの公式通貨になるかもしれないと話題になっています。
実際にそうなる可能性については疑問もありますが、IOCに対する署名活動も展開されていますし、もし公式通貨になれば流動性がさらに高まることとなりますから、注目に値するニュースであると言えます。
本稿では、この動きの概要を紹介し、その可能性について考察していきます。
XRPが東京オリンピックの公式通貨に?
先日、アメリカで開催されたSWELLも盛況となり、今後の可能性に期待が集まっているXRPですが、東京オリンピックの公式通貨になる可能性が浮上しています。
2020年に東京で開催されることが決定されてからというもの、何かと話題になることが多かった東京オリンピックですが、そこでXRPを公式通貨にしようというキャンペーンがネット上で始まっているのです。
このキャンペーンは、オンラインの署名プラットフォーム上で展開されているもので、署名活動は今から9か月前にスタートしています。
集めた署名はオリンピック委員会に提出されることとなっており、現在8000人の署名が集まっています。
当サイト以外にも、複数のメディアでこのキャンペーンが取り上げられているため、今後、署名は加速度的に集まっていく可能性があります。
キャンペーンの主催者であるケン・タカハシ氏は、XRPを東京オリンピックの公式通貨にする意義について、以下のように述べています。
「北京オリンピックやリオデジャネイロオリンピックが開催された時、観光客によって現地通貨の需要が急増したため、両替所が非常に混雑していた。
これによって為替レートの変動が起こり、また言語の壁もあったことから、更なる混乱を招くこととなった。
XRPは取引スピードやセキュリティに強みを持っているため、オリンピックの公式通貨として採用することで、このような問題を解決することができると考えている」
日本で採用されるか?
ケン・タカハシ氏は、特に2008年に開催された北京と、2016年に開催されたリオデジャネイロオリンピックを問題として取り上げています。
2012年のロンドンオリンピックについては取り上げられていません。
これは恐らく、当時の開催国の主要言語や貨幣の流動性、金融インフラの整備などによるものでしょう。
2012年の開催国であるロンドンでは、主要言語として英語が使われていますが、英語は国際共通語であることから、言語による混乱を招きません。
また、ポンドは主要通貨の一つであるため高い流動性を誇っており、為替レートの混乱も軽微です。
金融インフラについては、ヨーロッパは非常に整備が整っており、クレジットカード決済も広く普及していることから、観光客の増加に伴う現地通貨の需要増が抑えられると推測できます。
北京やリオデジャネイロは、大都市と言ってよい規模でありながら、ロンドンとはかなり異なる性質を持っています。
北京は中国語、リオデジャネイロではポルトガル語が用いられており、言語の壁はかなり高いと言えます。
通貨は、北京は中国元、リオデジャネイロではレアルが流通しており、共にマイナー通貨で流動性も高くないことから、一時的な需要増による為替レートへの影響も小さくありません。
金融インフラの面でも、北京はクレジットカード決済がそれなりに普及しているものの、そのほとんどは中国のブランドである銀聯カードであるため、VISAカードやMasterカードを使うことが難しい状況です。
リオデジャネイロではクレジットカード普及率が高く、VISAやMasterも使うことができますが、それでもオリンピック開催時には混乱を招いていることが分かります。
XRPは採用されるのか?
ロンドンと北京・リオデジャネイロでこのような差異があったことを踏まえ、日本でも2020年の東京オリンピックで、果たして混乱を招くのでしょうか。
まず、言語の壁についてですが、日本語を話せる外国人は少なく、また日本人の中にも流暢に英語を話せる人はそれほど多くないことから、言語の壁は決して小さくないでしょう。
したがって、言語の壁による混乱が起こる可能性が考えられますが、言語による障害を取り払うために、国を挙げての取り組みもありますから、大問題にはならないと思います。
通貨については、日本円はメジャー通貨の一つに数えられており、流動性は非常に高いことで知られています。
これにより、為替レート変動による混乱は心配ないでしょう。
金融インフラについては、日本国内におけるクレジットカードの普及率や利用率は、世界的に見てそれほど高いものではありません。
ヨーロッパやアメリカ、韓国などと比較すればかなり低い方に入ると言えます。
しかしながら、クレジットカード決済ができずに困るというほどでもないため、あまり問題はないと思われます。
以上のことから、東京オリンピックの開催にあたり、観光客が両替所に長蛇の列を作って大混乱を招く可能性は、あまり高くないように思います。
もちろん、XRPが公式通貨となれば、より混乱が起きにくくなるでしょうから、その意味ではケン・タカハシ氏の主張するメリットがあるかもしれません。
しかし、XRPを公式通貨にする必要に迫られていないことや、世界的な仮想通貨規制もかなりじっくり進められていることから、公式通貨にとして認めるのはなかなか難しいでしょう。
しかし、2017年、2018年と仮想通貨を取り巻く環境は大きく変化してきています。
特に、XRPは実用化へ向けて着実に成果を出してきており、この流れは2019年でさらに強まっていくと考えられます。
このことから、2019年に仮想通貨業界やXRPがどのように規制されていくか、あるいは普及していくかということによって、東京オリンピックでXRPが公式通貨になる可能性は皆無とは言えないでしょう。
また、2020年の東京オリンピックでは公式通貨にならなかったとしても、2024年開催予定のパリオリンピック、2028年開催予定のロサンゼルスオリンピックなどでは、仮想通貨がオリンピック開催のために使われるようになっているかもしれません。
まとめ
東京オリンピックでXRPが公式通貨になるかどうかは別としても、仮想通貨に対する信頼や、普及して実生活に役立てて行こうとする機運が日に日に高まっていることを実感します。
特にXRPは、色々な仮想通貨の中でもかなり実用化に近い仮想通貨であり、採用する金融機関はどんどん増えてきています。
近い将来、XRPが一般へ広く普及していくことは充分に考えられますから、そうなればオリンピック開催に当ってXRPが使われる時代が本当に来るのかもしれません。
XRPに期待する人にとっては、頼もしいニュースであったと思います。