ビットコインも株式やFXと同じようにレバレッジ取引が可能です。
しかし、株やFXとは比較にならないぐらいリスクがあります。
ビットコインのレバレッジ取引について詳しく見ていきましょう。
はじめに
ビットコイン投資はリスクが高いと言われます。
リスクが高いからこそ、レバレッジ取引をすればなおさら危険だとされています。
その一方では、リスクなくしてリターンなしであるから、リスクが高いことはある意味好ましいという意見もあります。
様々な意見の中で正しい認識を持つためには、「ビットコインはリスクが高い」といっても、一体どれだけリスクが高いのかということを正しく認識することが大切です。
そのために、為替や株式におけるレバレッジ取引と比較してみるのが良いでしょう。
この比較によって、ビットコインのリスクが明らかになります。
なぜリスクが大きいか
本稿では、ビットコインにレバレッジをかけることのリスクを検討してみたいと思います。
多くの人は、「レバレッジ」と聞いた時にはFX(外国為替証拠金取引)におけるレバレッジ取引や、株式投資における信用取引を思い浮かべると思います。
だからこそ、少しくらい大きくレバレッジをかけても、それほど問題ないと考えてしまうのですが、それは大きな間違いです。
なぜならば、ビットコインの値動きは、為替や株式の値動きとは比べ物にならないほど大きいからです。
FXと比較してみる
価格の変動率のことを「ボラティリティ」といいます。
為替の1年間のボラティリティは、例外は別として、せいぜい10%くらいのものです。
1ドルの価格が100円から110円に値上がりしたり、90円に値下がりしたりすることはあっても、120円や130円に値上がりしたり、80円や70円に値下がりすることはほとんどありません。
これは、国がある程度までは値動きを操作できるからです。
しかし、ビットコインは政府や特定の機関が中心となって管理しているものではなく、値動きは為替よりもはるかに大きくなります。
例えば、2016年8月20日と、2017年8月20日の価格を比較してみると、2016年8月20日には約6万円であったものが、2017年8月20日には45万円となっています。1年間の値動きは、実に650%にも上ります。これをドルに例えるならば、1年前は1ドル=100円だったものが、1年後には1ドル=650円になっているようなもので、途方もない値動きなのです。
昨年から今年に至るまでのビットコインが、例外的にすさまじかったのではないかと考える人もいるかもしれませんし、値動きの乏しかった期間だけを抽出してみれば、そうといえなくもないでしょう。
しかし、ビットコインの値動きを検証すればわかりますが、あらゆる期間でのボラティリティが、為替など比べ物にならないくらい高いのは事実です。
ビットコインのボラティリティは、かなり控えめに見積もっても、100%はくだらないでしょう。
bitflyerの見解でも、ビットコインのボラティリティは、ドル円のボラティリティの10倍だとされています。
このことから、同じレバレッジ25倍でも、為替でレバレッジ25倍の取引をするのと、ビットコインでレバレッジ25倍の取引をするのとでは、リスクに大きな違いが表れます。
すなわち、
“#eee” radius=”20″]為替:レバレッジ25倍×ボラティリティ1倍=25倍
ビットコイン:レバレッジ25倍×ボラティリティ10倍=250倍
となります。
つまり、ビットコインでレバレッジ取引をするということは、為替でレバレッジ取引をすることに比べて、10倍のレバレッジ効果があるということです。
文字通り、桁違いの効果があるのです。
「効果がある」といえば聞こえがいいですが、これはリスクが高いことと同じ意味です。
すなわち同レバレッジでも、リスクが為替の10倍になるということでもあります。
為替でレバレッジを25倍かけることと同程度のリスクで、ビットコインにレバレッジをかけるためには、
“#eee” radius=”20″]為替:レバレッジ25倍×ボラティリティ1倍=25倍
ビットコイン:レバレッジ2.5倍×ボラティリティ10倍=25倍
となります。
ビットコインのレバレッジはたった2.5倍かけるだけで、為替取引に25倍のレバレッジをかけることと同じリスクがあることになります。
逆に、ビットコインでレバレッジを25倍かけるということが、為替に置き換えるとどういうことかと言うと、
“#eee” radius=”20″]為替:レバレッジ250倍×ボラティリティ1倍=250倍
ビットコイン:レバレッジ25倍×ボラティリティ10倍=250倍
ですから、レバレッジ250倍で取引をする必要があります。
これは、たった100万円の証拠金をもとに、2億5000万円の運用をするのと同じくらいの危険性があるということです。
FXをやったことのある人ならば、このことの重大さがよくわかるでしょうし、やったことのない人でもなんとなくわかるのではないでしょうか。
株式投資と比較してみる
株式投資との比較はどうでしょうか。株式投資の信用取引では、最大レバレッジは3倍です。
1年間のボラティリティは、暴騰・暴落といった特殊なケースを除けば、そう大きくはありません。
大雑把に見積もれば、為替の3倍くらいであると思います。
これをビットコインのボラティリティと比較すると、
“#eee” radius=”20″]株式:レバレッジ3倍×ボラティリティ3倍=9倍
ビットコイン:レバレッジ25倍×ボラティリティ10倍=250倍
となり、為替以上にリスクの差があることが分かります。
もし、株式投資の信用取引と同程度のリスクで投資したいと思えば、
“#eee” radius=”20″]株式:レバレッジ3倍×ボラティリティ3倍=9倍
ビットコイン:レバレッジ1倍×ボラティリティ10倍=10倍
となります。つまり、ビットコインには一切のレバレッジをかけず、手元資金だけで現物取引を行なって、初めて株式投資の信用取引と同程度のリスクに抑えられるということです。
これを見れば、ビットコインのリスクがいかに高いものであるか、よくわかると思います。
もちろん、一攫千金を夢見てレバレッジを大きくかけ、為替や株式よりもはるかに大きなリスクを背負うのも良いかもしれません。
しかしその場合には、手元資金を大きく損なう可能性があることを知らなければなりません。
あまりの値動きの大きさに、ごく短期の値下げでロスカットとなり、損失に終わる可能性が極めて高いのです。
まとめ
ビットコインのレバレッジ取引のリスクを解説してきました。
ビットコインのレバレッジ取引をするにあたり、その基本的な知識を知っておくのは当然大切なことですが、それ以上にリスクへの正しい認識が欠かせません。
ビットコインのリスクの大きさを知れば、ギャンブルとしてお金を賭けるならばわかりますが、投資としてはもはや破たんしていることが分かるでしょう。
その道の一流のプロならば別かもしれませんが、一般の投資家がビットコインで極めて大きいレバレッジをかけ、投資をしているような気分になることは、もはや夜郎自大以外の何物でもないのです。
レバレッジをうまく活用することで、時には大きな利益を得られることもあるでしょう。
実際、そういうタイミングも確かにあります。
しかし、レバレッジをどれだけかけるかということは慎重に検討し、無茶なやり方をしないようにしなければなりません。