国際決済銀行の最新の調査によって、世界中の中央銀行がデジタル通貨の研究に取り組んでいることが分かりました。
詳細な調査結果を見てみると、すでにデジタル通貨の発行を見据えている中央銀行もみられます。
本稿では、中央銀行のデジタル通貨発行の動きを解説するとともに、デジタル通貨とXRPの関連についても解説していきたいと思います。
世界中の中央銀行がデジタル通貨を研究
中央銀行とは、特定の国家あるいは地域の金融の中心として機能している銀行のことです。
経済規模が大きい国や地域の中央銀行は、世界経済にも大きな影響を与えます。
仮想通貨の大きな役目の一つが、世界の金融に革命を起こすことと言われています。
このため、仮想通貨業界の今後を占うにあたり、世界の中央銀行が仮想通貨に対してどのように反応していくか、注目しておく必要があります。
世界中の各中央銀行の中には、独自にデジタル通貨を発行しようとしているところが少なくありません。
仮想通貨はデジタル通貨の一種であり、各国中央銀行が研究しているデジタル通貨はブロックチェーン技術を前提としているものですから、仮想通貨と類似のものと考えてよいでしょう。
この動きについて研究しているのが国際決済銀行ですが、国際決済銀行の最新の調査によれば、世界中の実に70%以上の中央銀行が、デジタル通貨を研究していることが明らかとなっています。
今後10年の間に、デジタル通貨を発行すると発表している中央銀行はまだまだ少ないものの、今後増加していく可能性は大きく、これが世界規模でキャッシュレス化を大きく推進し、仮想通貨業界にとっても良い流れになることでしょう。
具体的には、以下のような動きがみられます。
世界全体では・・・
国際決済銀行の調査は、世界の63の中央銀行を対象に行われています。
内訳は22が先進国、41が発展途上国であり、この63の中央銀行で世界経済の90%以上、世界人口の80%以上をカバーしています。
この63の中央銀行のデジタル通貨に対する姿勢は、
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- いずれデジタル通貨を発行する・・・25%
- デジタル通貨を発行する予定はない・・・30%
- 未回答・・・45%
となっています。
いずれ発行すると発表している25%では、中央銀行が管轄する金融機関やノンバンクの間に限って、独自デジタル通貨を試験的に利用しているとのことです。
デジタル通貨が世界経済に与える影響は決して小さくないでしょう。
世界経済に対して大きな責任を負っている中央銀行は、今後もかなり慎重に検証を進めることと思います。
ただし、試験利用によるデータが蓄積されることで、今後この動きが加速してくることは十分に期待できます。
個別の動き
では、各中央銀行の個別の動きに焦点を当ててみましょう。
スウェーデン中央銀行
スウェーデン中央銀行では、すでに2017年からデジタル通貨に関するプロジェクトを始動しています。
無利子で前払いしたデジタル通貨を使い、それを追跡することで試験を進めています。
ウルグアイ中央銀行
ウルグアイ中央銀行でも、2017年にデジタル通貨に関するプロジェクトを始動し、2018年4月にはプロジェクトの成功を発表しています。
ただし、発表後も実験を継続しており、潜在的な問題を解決している途中のようです。
日本銀行
日本の中央銀行である日本銀行でも、2018年10月に、デジタル通貨発行について言及しています。
その発言によると、ブロックチェーンを有益な技術であるとしており、ブロックチェーンを法定通貨の信用と結びつけることによって、取引や決済の効率化が期待できるとしています。
これにより、日本銀行もデジタル通貨発行に意欲的な中央銀行の一つと言えるでしょう。
XRPとの関連は?
取引や決済の効率化のために、銀行とデジタル通貨について考えるとき、気になるのがXRPの存在です。
これまでも、XRPは多くの決済企業や金融機関と提携し、世界の金融を担うことを目標としてきました。
XRPの躍進は続く
1月9日のリップル社公式ツイッターでも、さらに提携先が増えたことが発表されています。
公式ツイッターでは、
200以上の金融機関が、リップルネットを利用しています。
これにより、国際決済がより早く、より低コストで、より高い透明性で可能となります。
リップルネットの最新のお客様はこちら
として、最新の提携先を紹介しています。
それによると、
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Euro Exim Bank
SendFriend
JNFX
FTCS
Ahli Bank of Kuwait
Transpaygo
BFC Bahrain
ConnectPay
GMT
WorldCom Finance
Olympia Trust Company
Pontual/USEND
Rendimento
の13の企業がリップルネットに加入したとされており、このうち
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Transpaygo
Euro Exim Bank
SendFriend
JNFX
FTCS
の5社はXRPを採用したことを発表しています。
XRPを採用した企業の一つであるEuro Exim Bankは、ロンドンとセントルシアに拠点を置く銀行です。
2019年から国際送金にXRPを利用することを発表しており、それと同時にxCurrent とxRapidを同時に導入するとのことです。
これまでxRapidを導入するのは送金企業ばかりでしたが、Euro Exim Bankが銀行でxRapidを初めて導入したことで、今度はさらに実用化が広がってくるかもしれません。
2019年に入って早々、複数の採用事例が発表されたことは好材料と言ってよいでしょう。
なお、この発表に伴い、リップル社のCEOであるブラッド・ガーリングハウス氏は、自身の公式ツイッターで以下のように述べています。
昨年、著名な評論家の中には、金融機関が支払いにデジタル資産を使用することは決してないと述べた人もいた。
しかし、その時に私が言ったように、デジタル資産が金融機関の顧客に対し、より低コストでの利用を提供できるならば、金融機関はデジタル資産を採用するだろう。
そして実際にそうなっている。
今後も、XRPの採用が広がっていくという自信を覗かせる発言です。
中央銀行のデジタル通貨との関係は?
ここで気になるのが、金融機関にXRPの採用が広まっていることと、中央銀行が独自にデジタル通貨の研究を進めていることの相関性です。
デジタル資産のイメージによっては、中央銀行がデジタル通貨を発行し始めると、それによってXRPの需要がなくなるのでは、と考えてしまうかもしれません。
例えば、ビットコインとイーサリアムを簡単に交換できるように、A国のデジタル通貨とB国のデジタル通貨を簡単に交換することができれば、XRPが国際送金を媒介する必要はなくなるのではないか、ということです。
しかし、そのような問題ないと思われます。
そもそも、なぜ現在の国際送金が大変であるのかと言えば、A国の経済圏で利用されているA通貨と、B国の経済圏で利用されているB通貨を交換するにあたって、経済圏の違いから色々な手間がかかるためです。
もし、A国でもB通貨が主要通貨になれば、A国内でB通貨での決済が可能になるため、たとえB国からA国に国際送金をしても手間はかかりません。
この仕組みを考えると、A国のデジタル通貨Aと、B国のデジタル通貨Bをやり取りするためには、やはり現在と同じような手間がかかることになります。
デジタル通貨であっても、デジタル通貨としての利便性は、発行元の国の経済圏でしか機能しないのです。
このため、デジタル通貨AをXRPのように世界中の金融取引で利用するためには、デジタル通貨Aが世界中を呑み込み、世界中の金融機関でデジタル通貨Aが採用される必要があります。
現在、世界最大の流通量を誇る米ドルでも、米ドル以外が流通している他国に送金する際には、大変な手間がかかります。
今後、各国の中央銀行が優れたデジタル通貨を発行したとしても、それはあくまでもその国の経済圏だけで便利なものであって、国際送金が劇的に変わるとは考えにくいです。
したがって、世界の中央銀行がデジタル通貨を独自に発行したとしても、デジタル通貨を国際送金する際には従来の方法によって送金するか、XRPを媒介してスピーディに送金するかのどちらかとなります。
中央銀行発行のデジタル通貨が普及しても、XRPが活躍する場所がなくなるわけではありません。
むしろ、世界の中央銀行がデジタル通貨を発行しているということは、それだけデジタル化が進んでいるということですから、XRPの活躍の場はもっと広がっていると考えることができます。
まとめ
国際決済銀行の調査によって、世界の中央銀行がデジタル通貨を研究しており、意欲的に取り組む中央銀行も増えてきていることが分かりました。
これが、今後の仮想通貨の普及にも影響してくると考えられます。
今年も躍進が続きそうなXRPですが、デジタル通貨の広がりはXRPに悪影響のあるものではなく、むしろ好影響を与えるものです。
デジタル通貨に関するニュースに注目する際には、XRPも紐づけて考えていくのが良いでしょう。