実用化が進むXRPの動向から目が離せない

リップル(XRP)

R3社がリリースする企業向け国際決済アプリにおいて、最初の決済手段としてXRPが採用されることが報じられ、話題になっています。

実用化が着実に進みつつあるXRPですが、今回もまた大きな一歩になるかもしれません。

本稿では、最近のリップル社の動向とともに、XRPの実用化が進んでいる状況を解説していきます。

XRPが決済手段として採用

12月5日の発表にて、XRPが企業向けグローバル決済アプリ「Corda Settler」に採用されることが発表されました。

Corda Settlerを提供するR3社は、リップル社と訴訟トラブルを起こした過去があり、2016年から今年9月までの長きにわたって争ってきました。

これは、R3社とリップル社が提携するにあたり、R3社は50億XRPを上限として、1XRP=0.0085ドルで購入できる契約を結んでいたものの、この契約をリップル社が破ったとして訴訟問題に発展していたものです。

そのような経緯があったため、R3社とリップル社の今後の関係に注目が集まっていましたが、今回、R3社の提供するCorda Settlerのリリースにあたり、最初の決済手段にXRPを採用したのです。

 

Corda Settlerとは?

Corda Settlerとは、ブロックチェーンプラットフォームで発生した支払いに特化して設計されたアプリケーションです。

技術の根幹となっているのはCordaと呼ばれるブロックチェーン技術であり、これは金融機関向けに作られた分散台帳技術です。

Cordaの開発には、70もの大手金融機関が関与しており、SBIも出資しています。

R3社が、過去の争いにもかかわらずXRPを選んだことについて、CTOのリチャード・ブラウン氏は以下のように述べています。

 

Corda Settlerの決済メカニズムにXRPを取り入れることによって、大きな影響力を持つ仮想通貨とブロックチェーンコミュニティがどのように協力し合っていくのかを示すことになる。

これは重要な一歩となる。

XRPを利用することによって、価値の移転と支払いのために、デジタル資産をどのように受け入れていくのか、使用していくのかを示すための重要なステップである。

 

R3社とリップル社の関係が急転したこと、そしてXRPの実用化が広がっていることから、XRPへの注目が高まっています。

 

 

xCurrent4.0の導入も徐々に進む

リップル社では、xCurrentという製品を開発しています。

これは、国際送金に伴うすべての情報を可視化するものです。

また、リップル社が売りにしている即時決済も、これによって可能となります。

スピーディな決済が可能であり、なおかつ情報を確実に把握できるため、xCurrentを導入することで金融機関の業務は大幅に効率化することができます。

リップル社は、xCurrentの開発を進めており、今年9月にはxCurrent4.0をリリースしています。

4.0では、XRPを利用する決済ソリューションであるxRapidに接続が可能となっており、XRPの需要が増大することが期待されています。

 

xRapidとは?

xRapidは、XRPを利用することによって、金融機関同士の国際送金がスムーズ化するものです。

国際送金をする場合、金融機関同士が異なる法定通貨をやり取りすることになりますが、それぞれの国で異なる送金システムを持っているため、国際送金は簡単ではありません。

国際送金は、それぞれの国のルールに基づいてライセンスを取得している大手の金融機関が、コルレス契約という契約に基づいて協力することで成り立っています。

したがって、B国のbさんがC国のcさんに国際決済をする場合、

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  1. cさんからbさんに請求書を発行し、振込先としてD銀行を指定する
  2. bさんは地元のE銀行に国際送金を依頼する
  3. E銀行は国際送金を担っていないため、B国内大手のF銀行に国際送金を依頼する
  4. F銀行はC国内大手のG銀行に送金する
  5. G銀行は、受取口座として指定されているD銀行に送金し、cさんの受け取りが完了する

という流れで送金する必要があります。

見ての通り、多くの仲介が入って送金が行われるため、時間と手数料がたくさんかかってしまいます。

また、お金はE銀行⇒F銀行⇒G銀行⇒D銀行と流れていきますが、これは現金を送りあっているのではなく、口座内の情報をお互いに増減させています。

あらかじめ、各銀行の専用口座(ノストロ口座という)に資金をプールしておき、送金が行われれば一方の口座から送った分が減り、一方の口座では受け取った分が増えているのです。

このため、世界中の金融機関では、国際送金のためにノストロ口座に資金をプールしておく必要があります。

ただプールしておくために、莫大な資金が滞留していることが問題視されることもあります。

xRapidが世界中で活用されるようになれば、XRPがブリッジ通貨として橋渡しをすることが可能となります。

bさんとcさんが、銀行さえ使わずに直接お金をやり取りできるようになりますし、金融機関を利用して行う国際送金でも、銀行から銀行へとダイレクトに送金することができます。

XRPを橋渡しとすれば、ノストロ口座に資金をプールしておく必要もなくなります。

 

 

xCurrent4.0の導入は広まるか

以上のことから、xRapidが期待される理由がわかると思います。

また、xRapidへの接続が簡単にできるとされるxCurrent4.0も期待されています。

リップル社のAsheesh Birla氏の話によると、xCurrent4.0の利用によって、xRapidへの接続は確実に容易になっているようです。

顧客であるアメリカンエクスプレスやサンタンデール銀行は、すでに4.0への移行を進めているとのことです。

アップグレード完了の予定は明らかにされていませんが、今後の新規顧客に対してはすべて4.0の提供になる方針です。

現段階では、xCurrent4.0の導入がそれほど進んでいる印象はなく、xRapidが実際に利用されているケースは多くありません。

しかし、xRapidの実利用が開始されていることは、今年10月のSWELLでも明らかになっていることであり、その成果が明らかになってくるにつれて、導入が加速度的に進んでくる可能性があります。

それにともなって、xCurrent4.0の需要も高まることでしょう。

 

アジア進出にも期待

また、リップル社はアジア進出にも意欲的であり、インド市場に確実に食い込んでいることはよく知られています。

11月末のカンファレンスでも、リップル社はアジア市場に対する関心を語っています。

日本やタイをはじめ、アジアには仮想通貨規制が進んでいる傾向にあります。

また、タイのサイアム商業銀行はSWELLにも参加しており、XRPの取り入れに積極的です。

このため、アジア市場には進出しやすいと考えているのでしょう。

リップル社がアジアに進出し、国際決済にXRPが利用されるケースが増えていけば、XRPの需要が大きく伸びると考えられます。

 

 

まとめ

ビットコインキャッシュの分裂以降、なかなか良い兆しが見えず、多くの仮想通貨が下落傾向にあります。

そんな中、XRPの実用化は着々と進んでいるようです。

仮想通貨が単なる投機の手段ではなくなるためには、実用化と普及を進めることが不可欠です。

単なる投機の手段であり、実用性に乏しいものであるならば、需要は高まらず、価格が高まることもないでしょう。

その点において、XRPの実用化が着々と進んでいることは評価できると思います。

 

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