18日、XRPの価格が高騰しました。
これは、リップル社とマネーグラムが提携を公式に発表したことが理由です。
大手送金業者のマネーグラムが、xRapidを導入することを発表したことにより、XRPの需要が増加する期待が高まっていること、またこれにより有価証券問題が後退したとする見方もできることから、大きな話題となっています。
本稿では、リップル社とマネーグラムの提携の概要、XRPへの影響について解説していきます。
リップル社とマネーグラムが提携へ
先日、タイ最大手の金融機関であるサイアム商業銀行が、ツイッター上でXRPを利用した送金システムの導入をほのめかし、話題となりました。
しかし翌日、この発言は撤回され、XRPを利用する計画は当面ないことが分かりました。
XRPに期待する投資家にとって、肩透かしを食らったような形となりましたが、先日18日、世界最大手送金企業であるマネーグラムがリップル社と提携し、xRapidを採用することが報じられました。
こちらはサイアム商業銀行の発言とは異なり、リップル社とマネーグラムの提携は公式発表によるものです。
また、マネーグラムがxRapidを導入し、国際事業に活用していくことも公式に発表されています。
マネーグラムは、アメリカの送金企業です。
世界200ヵ国で展開しており、対象とする銀行は400以上、35万拠点への送金を行っている巨大送金企業です。
このように大規模な送金を手掛けている企業にとって、xRapidとXRPの活用による業務効率化・送金コスト削減効果は大きいでしょう。
高まる期待
今回の発表では、マネーグラムによるxRapidの導入は2年間となっており、この2年間でxRapidがどのような成績を上げるかが重要となりそうです。
もっとも、成績次第とはいっても期待はかなり大きいようです。
マネーグラムのCEOであるAlex Holmes氏は今回の発表に際して、
「xRapidによって、米ドルから他の通貨への送金・換金が週7日・24時間可能となる。
これはわが社の流動性管理を劇的に合理化するだろう」
と期待を込めて語っています。
また、技術を提供するリップル社のCEO・Brad Garlinghouse氏も、ブルームバーグのインタビューの中で、今回の戦略的提携を以下のように語っています。
今回の提携は、業界にとって大きな一歩となる。
企業はブロックチェーンや仮想通貨に関心を寄せているが、実験段階の企業が多い。
しかしリップル社は、現実的な課題を解決している。
これまで、送金企業は海外の口座に分散させておく(送金業務のための資金を海外口座に保有しておく)必要があったが、xRapidを採用すれば直接送金することができ、この資金を削減できる。
このように、マネーグラムではxRapidに期待を寄せ、リップル社はその期待に応える自信を見せており、非常に好ましい形で提携に至っていることが分かります。
また、このインタビューの中でGarlinghouse氏は、ウエスタンユニオンがかつてリップル社の製品をテストしていたことについても言及しています。
その時は採用に至らなかったものの、この実証テストを通して、リップル社製品はβ版の段階で、すでにウエスタンユニオンの製品と同等の性能を持っていることが分かりました。
それから時を経て、今回のマネーグラムとの提携、xRapidの採用に至っていることから、xRapidはマネーグラムの期待に応えるだけの性能を持っている可能性が高いと思われます。
2年間の導入期間で、xRapidの活用がうまくいかずに普及が足踏みする可能性よりも、この期間でマネーグラムの事業を通してxRapidの有効性が証明され、普及に拍車がかかる可能性が高いと言えるでしょう。
株式市場も湧く
この発表によって、マネーグラムの株価は高騰しています。
マネーグラムの株価は前日の終値で1.45ドルでしたが、発表後の時間外取引で4ドルに迫る急騰を見せました。
アメリカでは、日本のように値幅制限がないため、このような100%を超える暴騰が短時間のうちに起こることがあるのです。
この理由の一つとして、リップル社が提携にあたり、マネーグラムの株式を1株4.1ドルという大幅なプレミアムを載せて買い取ったことが挙げられます。
発表時点ですでに3000万ドル分を購入し、さらに追加で2000万ドル分を4.1ドル以上で購入する可能性も示唆しています。
リップル社が大幅な高値で購入したこと、また今後も高値で購入する可能性があることから、マネーグラムの株価は上昇し、また底堅い推移になることが期待されるため、多くの買いを集めて高騰したものと思います。
しかしながら、この高騰の真の原因は、リップル社とマネーグラムの提携することで、マネーグラムの業績に良い影響をもたらすことが期待されたためでしょう。
株価は実際の業績や将来の業績への期待を反映するものです。
リップル社との提携によって、将来的な業績に良い影響が期待されたからこそ、このような値動きにつながったのです。
リップル社とマネーグラムの提携は、株式投資家からも期待・注目されていることが分かります。
有価証券問題の懸念は後退か
以上のように、提携の発表は複数の観点からXRPにとっての好材料と言えますが、もう一つ特筆すべきは、有価証券問題の懸念が後退したことです。
これまで、XRPは有価証券問題とセットで語られることが多く、これをリスクとみなす人も多いです。
最近は、アメリカの仮想通貨取引所で、有価証券問題を理由に仮想通貨が取り扱い停止となるケースが相次いでいます。
もし、XRPで有価証券問題が解消されれば大きな好材料となりますが、マネーグラムとの提携により、その可能性が見えてきています。
アメリカでは、技術の流出によって国益が損なわれることを防ぐために、外国の企業がアメリカの企業を買収しようとした場合、厳しい審査が行われます。
昨年1月、中国のアリババがマネーグラムの買収を図ったとき、アメリカはこれを認めませんでした。
マネーグラムはアメリカの国益に深くかかわる企業だからこそ、アリババの動きに物言いが入ったのです。
リップル社はマネーグラムを買収しようとしているわけではないものの、提携にあたって規制当局がXRPの有価証券問題に言及せず、提携に至っていることから、「規制当局がXRPを容認した」と解釈する専門家もいます。
日本では、SBIホールディングスの社長であり、またリップル社の役員である北尾社長がこの見解を持っています。
北尾社長の見解では、XRPが有価証券であるかどうかを結論づけるのは容易ではなく、結論が出ないままにXRPが活用される例が増え、浸透していくとしています。
また、まずは送金業者のほとんどがリップル社のシステムを使うようになり、やがてxRapidが使われるようになり、銀行もこれに追従し、XRPが使われるようになっていくとも話しています。
このような流れにより、XRPが普及すればするほど、XRPに有価証券問題を突きつけて混乱を招くことができなくなります。
マネーグラムとの提携がその端緒になる可能性は高く、これをもって有価証券問題の懸念が後退した、あるいは今後後退していくと考えられるのです。
有価証券問題に揺れるアメリカで、XRPの今後に明るい兆しがはっきりと見えてきたことは間違いないでしょう。
まとめ
今回の発表は市場に好感を以て迎えられ、XRP価格は発表直後に50円まで上昇しました。
その後は利食いによって上昇力を削がれ、19日17時現在では47円台で推移しています。
しかし、ライトコインやビットコインといった主要仮想通貨が年初比で大幅に値上がりしているのに対し、XRPの価格は伸び悩んできたため、これを機に価格が伸びていく可能性は十分にあります。
マネーグラムとの提携によりXRP・xRapidの実績が積み上げられていけば、他の金融機関の採用事例も増え、需要が急速にて価格も高騰、というシナリオもあり得ます。
今後も、リップル社とXRP関連のニュースには注目していきましょう。