仮想通貨は、投資対象でもあり、決済手段でもありますが、金融システムを大きく変える可能性を秘めています。
仮想通貨の可能性を見ていきましょう。
はじめに
仮想通貨と聞けば、現段階では「ビットコインに投資すること」くらいしかイメージできない人も多いものです。
しかし実際には、私たちの知らないところで、意外なほどに仮想通貨を取り入れようとする動きがあります。
ネットショップその他において、ビットコインによる支払いを受け入れていることが増えてきましたし、ビットコインの根底をなすブロックチェーン技術によって、独自の仮想通貨を発行する動きもあります。
実際、メガバンクも仮想通貨を取り入れようとしており、盛んに研究開発が行われています。
このことによって、これまでの金融システムが大きく変化する可能性が高いです。
お金の未来
仮想通貨の登場によって、金融システムが大きく変わろうとしています。
これまで金融システムの維持に大きな役割を果たしてきた銀行は、仮想通貨の登場によって、銀行の役割の多くが必要なくなるのではないかと、危惧しているほどです。
しかし、銀行も手をこまねいて見ているだけではありません。
仮想通貨とブロックチェーン技術を銀行運営に役立てるべく、様々な研究を行なっています。
事実、メガバンクである三菱UFJフィナンシャルグループとみずほフィナンシャルグループでは、独自の仮想通貨の開発をほぼ完成させています。
では、メガバンクと仮想通貨の関係を、簡単に見ていきましょう。
三菱UFJフィナンシャルグループの場合
三菱UFJフィナンシャルグループでは、MUFGコインを開発しました。
2016年2月にはMUFGコインの実験を開始し、同7月にはアメリカの大手仮想通貨取引所であるコインベースからも出資を受けています。
2017年の秋には一般販売とされていることから、2017年8月現在、すでに開発は完了し、一般販売に向けての調整が進んでいるものと思われます。
仮想通貨の代表選手といえばビットコインですが、MUFGコインとはどのように違うのでしょうか。
それはビットコインの価格は日々変動し、値上がりを続けているのに対し、MUFGコインの場合は1MUFG=1円と価格が固定されている点です。
メガバンクが発行する通貨である以上、一般の国民に安心して利用してもらう必要があり、そのためには価値が激しく騰落するような状況は避けなければなりません。
だからこそ、一般の人が慣れ親しんでいる法定通貨と同様に、MUFGコインも価格が固定されているのです。
また、ビットコインを含め、多くの仮想通貨が投資対象となっているのに対し、MUFGコインは価格が固定されているために投資対象にはなりにくいという点でも、大きく異なるといえます。
したがって、投資対象としてではなく、あくまでも日常生活に利用する通貨としての側面が強く、普及スピードも速いのではないかと予想されます。
みずほフィナンシャルグループの場合
みずほフィナンシャルグループも、メガバンクとして三菱UFJフィナンシャルグループに対抗できる力を十分に備えています。
2016年12月には、日本IBMと開発していた仮想通貨「みずほマネー」が完成しています。
みずほマネーもMUFGコインと同じように、価格が固定されています。
1みずほマネー=1円となっています。
現時点では、みずほマネーにはMUFGコインのように「1MUFG」といった単位がありませんが、利便性を考えると、いずれ単位が設けられることでしょう。
もっとも、みずほマネーは発表が少なく、発行時期は明らかにされていません。
現時点で何の発表もありませんから、2017年秋と発表しているMUFGコインには遅れを取ると思います。
三井住友フィナンシャルグループの場合
メガバンクといえば、三菱UFJフィナンシャルグループとみずほフィナンシャルグループのほかに、三井住友フィナンシャルグループが挙げられますが、こちらはどうでしょうか。
三井住友フィナンシャルグループは、独自の仮想通貨を発行するという発表を行なっていません。
しかし、三井グループである三井住友海上では、仮想通貨によるトラブルに対応した保険を販売することを発表しています。
また、三井住友フィナンシャルグループは、国内最大手の取引所であるビットフライヤーの主要取引銀行でもあります。
つまり、三菱UFJフィナンシャルグループとみずほフィナンシャルグループでは独自の仮想通貨を開発しているという点で進んでおり、三井住友フィナンシャルグループでは独自に開発していないものの、仮想通貨取引所と提携するという点で進んでおり、それぞれのメガバンクのうちどれが飛び抜けて進んでいるということはなさそうです。
メガバンクと仮想通貨の関係
上記のように、全てのメガバンクが仮想通貨への取り組みを、積極的に行っています。
その理由は様々です。
まず、仮想通貨の送金コストの安さと取引スピードの速さなどの長所によって、金融システムが大きく変革し、メガバンクの経営が脅かされるのではないかという危惧が一番大きな理由と言えるでしょう。
もちろん、仮想通貨はユーザーへのメリットが非常に大きいため、それを逆に利用することで銀行経営に役立てようとする姿勢も見られます。
仮想通貨は送金手数料が安く、振り込みは迅速で、スマホとの相性も抜群で、まさに今の時代に即した通貨なのです。
このほか、日本ではマイナス金利の影響により、銀行は日本銀行に預金しているだけで利子を払わなければならなくなりました。
したがって、本来預金している分を活用したり、預金することによって生じるマイナスを埋め合わせるために、新たなサービスや付加価値を提供する必要が生じています。
仮想通貨の活用によって、新たなサービスや付加価値を提供できる可能性が高いです。
このような理由から、今後もメガバンクでは仮想通貨を取り入れ、積極的に研究開発していくことと思います。
仮想通貨は、金融機関にとってはまさに諸刃の剣なのです。
現在、私たちの生活と密接な関係にある金融サービスのほとんどに銀行が絡んでいます。
仮想通貨の根底にある思想は、中央集権的システムへの否定であり、金融機関が金融システムの中枢を握っているという状況を、打ち破ってしまうだけの力があります。
だからこそ、銀行に捉われない仮想通貨の普及を危惧し、メガバンクが独自に仮想通貨を発行する流れができているのです。
メガバンクと密接に関係するリップル
仮想通貨にも色々ありますが、メガバンクの研究開発に大きくかかわっているのがリップルです。
リップルとは、ブロックチェーン技術を決済システムに活用したもので、XRPという仮想通貨を発行しています。
リップルにはグーグルも出資していますし、アメリカの政財界からかなり注目されています。
また、2017年3月、日経新聞紙上で「三菱東京UFJ銀行が、リップルを使った国際送金サービスに参入する」と報道し、XRPの価格は高騰しています。
今後も、メガバンクが仮想通貨を積極的に取り入れていくでしょうから、リップルの価格は上昇を続ける可能性があります。
まとめ:金融システムの将来
仮想通貨が普及すれば、これまで当たり前に行われていた金融サービスが、一気に姿を変える可能性が高いです。
例えば、現在私たちが送金したいと考えた場合、銀行に足を運んで送金手続きをしたり、ネットバンキングを操作して送金手続きをしたりして、高い送金手数料を支払って送金することになります。
しかし、仮想通貨が普及したならば、誰もがスマホでチョチョイと操作し、銀行を通さずに送金が完了してしまうのです。
もちろん、銀行が独自に発行する仮想通貨を使えば銀行を通すことになりますが、人々は今よりずっと「銀行を使っている」という意識が希薄になることでしょう。
これまで当たり前に存在していたインフラが、技術革新によってたちまちなくなってしまうことは、これまでにも見られたことです。
携帯電話が普及した時、それまで当たり前に使われていた公衆電話が、たちまち姿を消しました。
インターネットが開発され、電子メールが登場したことで、手紙を書くという習慣はたちまち姿を消しました。
スマホが登場し、LINEなどのツールが普及したことで、ビジネスを除き、日常生活で電子メールを書く頻度も激減しました。
私たちは、いずれこんな風に語っているかもしれません。
[surfing_voice icon=”https://kasou-tsuuka.jp/wp-content/uploads/2017/08/icon.png” type=”r” bg_color=”eee” font_color=”000″ border_color=”eee”]「数十年前は面倒だったよ。買い物に行くときには紙や金属のお金を持ち歩かなきゃいけなかったし、お金を送ろうと思えば『ぎんこう』っていう店に行かなきゃいけなかったんだからね・・・」[/surfing_voice]