リップルがインドに進出しています。
金融先進国インドへの進出の理由、背景を探りました。
はじめに
仮想通貨に関するニュースはたくさんありますが、その中で一つ、興味深いものを発見しました。
数多くの仮想通貨の中で時価総額3位に君臨するリップルが、インドで展開を始めたというのです。
インドは先日、高額紙幣を排除したことからも分かる通り、金融への取り組みに積極的です。
そのインドへ、金融システムで機能するリップルが進出しようとしています。
リップル(Ripple)がインド進出
8月後半、リップルのツイッター公式アカウントで謎のカウントダウンが始まったことで、21~23日にかけてリップルの価格が高騰しました。
この時筆者は、coincheckのチャットを眺めていたのですが、「リップルがくるぞ」「今買っておかない奴は馬鹿だ」「3日後が楽しみ」「リップルついに来たか」などとチャット内はお祭り騒ぎになっていました。
結局のところ、具体的な動きは見られず、拍子抜けして売る人、利確のために売る人などが相次いで暴落し、リップルのイメージもいくらか悪くなったのではないかと思っていました。
しかし、その後もリップル社の動向を見ていると、積極的な展開をしているようです。
9月6日、リップル社がインドの首都ムンバイに新事務所を開設したとのニュースが流れたのです。
リップルは、経済成長著しいインドに、事業を拡大していく方針です。
もともと、リップル社の本社はアメリカのサンフランシスコにあるのですが、リップルは次世代送金システムであり、特にグローバルな決済を目的としています。
それによって、様々な銀行とブロックチェーンを連携させてきたのですが、次のターゲットがインドになったというわけです。
世界の大手銀行で経験を培ってきた、元銀行員のネイヴィン・グプタ氏は、今回のリップルの進出について、以下の様に述べています。
インドは、法人送金と小口送金が世界で最も多く、合計710億ドルに上ります。
費用対効果に優れたリップルのブロックチェーンで支払うことができれば、インド経済を大きく変えることになるでしょう。
インドは、2016年11月に、高額紙幣の廃止を決定しており、それに伴って通貨のデジタル化の流れができつつあります。
デジタル・インディアというプロジェクトも発足しており、このプロジェクトでは、現金の利用を減らしていく「キャッシュレス・インディア」という構想が掲げられています。
リップルは、クロスボーダー決済を行うものであり、国際送金が非常に簡単になります。
通常の国際送金では、送金者が現地銀行を使って送金手続きを行い、中継銀行を介し、受け取り側の取引銀行に送金され、受取人の口座に振り込まれるという流れです。
仲介が多いことから、手間(時間)も手数料もかかっています。
国際送金の手数料が異常に高いのも、ここに原因があります。
しかし、リップルのクロスボーダー取引を利用すれば、例えば日本円をドルに替えて送る場合にも、ブロックチェーンを通じて「日本円→リップル→ドル」という形で簡単に送金することができるようになります。
仲介するのはリップルだけです。
手数料は非常に安く、数秒で相手に届けられます。
そればかりではなく、リップルはビットコインよりも安全で、効率的で、分散されたブロックチェーンを開発していくという戦略を発表しています。
その上で、リップルの流動性を高めるために、リップル社は今年末まで550億XRPを金融機関に流すそうです。
このようなリップルのソリューションは、インドの民間銀行であるアクシス・バンクとイエス・バンクで、既に実装されています。
特に、アクシス・バンクでは既に、2016年後半にはリップルの送金用ブロックチェーンの利用を、試験的に始めていました。
リップルのCOOであるブラッド・ガーリングハウス氏は、
インドは、世界で最も急速に成長している市場である。送金や決済の革新のためにも、非常に重要な市場である。
と述べています。
まとめ
上記は、9月6日のニュース記事を翻訳したものです。
リップルが目指す決済・送金システムの革新のためには、インドへの進出が重要な布石になると判断したようです。
インドは、ここ十数年で急速に成長している新興国であり、BRICsにも数えられています。
著しく成長しているだけではなく、高額紙幣の廃止や通貨のデジタル化なども積極的に国策として推進しています。
そもそも高額紙幣の廃止は、ブラックマネーを排除し、インド経済を正常化するためにあります。
ブロックチェーン上でお金の流れを把握できるようになれば、ブラックマネーの流通を防ぐことにも役立ちます。
このことから、インド経済とリップルは非常に相性が良いといえるでしょう。
このニュースによって、リップルの将来が明るくなった気がします。
今後も、リップルの動きには注目していきたいと思います。