北朝鮮のミサイル発射や核実験で資産はどう動いたか?

国の動き

頻発するミサイル発射に核実験と北朝鮮情勢の緊張が高まっています。

世界の主要国は北朝鮮に警戒せざるを得なくなり、戦争になる可能性を前提として、ワイドショーでは各国の軍事力比較などをしています。

当然ながら、世界経済にも影響を与えており、買われる資産と売られる資産が見られるようになってきています。

では、北朝鮮情勢の影響で、市場の資産はどう動いたのでしょうか。

また、ビットコインはどのように動いているのでしょうか。

リスクオンとリスクオフ

有事の際の資産を論じるときには、「リスクオン」と「リスクオフ」について知っておく必要があります。

リスクオンとは、言葉の通りリスクに乗っかることです。

つまり、経済が好調な時には株式などのリスクの高い資産に積極的に投資し、高いリターンを期待します。

リスクオフとは、言葉の通りリスクを回避することです。

つまり、経済が不調な時には、金や安全な国の通貨などのリスクの低い資産にお金を逃がします。

リスクオンが起こるのは、世界情勢が安定していて地政学的なリスクがない時や経済バブルの時です。

逆に、地政学的に不安定になったり、バブルが崩壊した時にはリスクオフという投資家行動が起こります。

北朝鮮情勢の悪化は、言うまでもなく地政学的リスクが高まっている状態ですから、資産はリスクオフの流れになります。

 

 

リスクオフの影響が大きいのは株式市場

リスクオンの時に買われるのは、上記の通りリスクのある資産で、株式や不動産が代表的なものです。

価格が下がるリスクもあり、当然ながら元本保証はなく元本割れを引き起こすこともしばしばあります。

したがって、リスクが高まったときには資金を引き揚げるのが普通です。

有事の際、もっとも動く資産は株式と言ってよいでしょう。

もし戦争が起きて世界的な不況になり、物が売れなくなってしまえば、企業の業績も悪化し、株価は下落します。

だからこそ、株価が下がり始めると売りが増えて株価が下落し、それにつられて投げ売りする人も出てくるため、大幅な株価下落につながることになるわけです。

実際、北朝鮮が核実験を行ったと報道された時、NYダウは234ドル、日経平均株価は300円以上下げました。

それ以前に、北朝鮮が不穏な空気を醸し出していた時からの下げ幅で言えば、日経平均株価は800円ほども下げています。

これは大きな下落だといえます。

といっても、その国によって地政学的リスクは変わるものです。

北朝鮮情勢の悪化によって、非常にリスクが高まるのは日本や韓国であり、日本と同盟関係にあるアメリカも戦争のリスクが高まるわけですから、株価に悪影響をもたらします。

しかし、それほどリスクが高まらない地域もあるわけで、上海総合指数(中国)やボベスパ指数(ブラジル)、DAX(ドイツ)などは上昇しています。

北朝鮮問題に直接関与している国の株が売られ、直接関与していない国の株に資金が逃がされたと見ることができます。

しかしながら、北朝鮮の動き方次第では、最悪の場合は世界中を巻き込んだ大戦争に発展する可能性もゼロではなく、そうなれば世界的に大幅な株安になることが予想されます(もっとも、戦争には膨大なコストがかかるため、避けよう避けようと動いていきますから、そうならない可能性の方が圧倒的に高いです)。

ただし、地政学リスクが高まったときに上昇する株もあります。

とりわけ、防衛関連株は上昇します。

もし戦争が始まったとなれば、戦争に関連する製品を作っている会社は売り上げが伸びていくでしょうから、それを見越して買うのです。

このように、地政学リスクによって様々な変化を見せ、資金が大きく動く資産は株式であるといえます。

 

 

リスクオフで買われるゴールド、日本円、ビットコイン

有事の際にリスクオフの流れができると、主にゴールドと日本円が買われることになります。

通貨では、円以外にも中立国であるスイスフランが買われたりします。

しかし最近、ビットコインの知名度が上がるにつれて、リスクオフの際にビットコインが買われることも増えてきました。

しかし何といっても、安全資産として最も信頼されているのは、間違いなくゴールドでしょう。

ゴールドが株式と正反対の値動きをすると言われるのも、リスクオンでは株式が買われてゴールドが売られ、リスクオフではゴールドが買われて株式が売られるからです。

テロや戦争の時にもゴールドが変われるのが普通で、「有事の金買い」という言葉があるくらいです。

北朝鮮情勢の緊張に伴い、金価格はじわじわと上がってきています。

日本円にも、有事の際には資金が流れてきます。

日本円の信頼は非常に高く、安全な通貨と見なされているからです。

テロや戦争が起こると日本円が買われることが多く、9月3日の核実験の後も1円以上の円高となりました。

また、日本円が低金利であることも関係しています。

低金利であることから、海外の投資家が日本円を借り入れて海外のリスク資産を買うこともあるのですが、リスクが高まるとこれとは逆の流れが起きます。

つまり、海外のリスク資産を売って日本円を買い戻すことが増えるのです。

そして、話題のビットコインですが、こちらも北朝鮮事情が緊迫化してからというもの、順調な値上がりを見せています。

北朝鮮情勢は3月から徐々に緊迫化していますが、それに伴って徐々に価格を伸ばしており、8月には50万円を突破しました。

ビットコインは特異な存在で、ある意味ではリスクが大きく、ある意味ではリスクが低いという資産です。

値動きが大きく、各国の仮想通貨に対する態度も一定していないため、ちょっとしたことで激しく変動しますから、その意味ではリスク資産と言えます。

しかし、非中央集権的な仕組みであり、特定の国から影響を受けない通貨であるため、有事の際には安全資産であるとみなされます。

また、金融市場では、それぞれの金融資産が連動しながら動くのが普通です。

日本円と米ドルは強く結びついていますし、株式と為替、株式と債券なども密接に関係しています。

しかし、ビットコインは何と結びついているかと考えると、現状ではこれと言えるものがありません。

これは、ビットコインの経済的な位置づけがまだ明確に決まっていないからでしょう。

したがって、今後それが明らかになっていくにしたがって、特定の資産と連動するようになるかもしれませんが、現時点では独自の動きを見せています。

 

 

まとめ

世界情勢が緊張しつつある現在、様々な投資手法が考えられます。

緊張は一時的なものと考えれば、一時的な下落に乗じて株式を買うことも良いでしょう。

緊張が長引きそうと考えるならば、株を売って安全資産を買うというセオリーが良いかもしれません。

安全資産の中でも、独自の動きをするビットコインを買うという方法もあります。

ただし気を付けたいのは、今後の状況次第では安全資産としてビットコインを買うのが正しい選択肢であるかどうか微妙であるということです。

確かに、ビットコインは世界情勢の影響を受けにくい安全資産と言える通貨なのですが、何しろビットコインに対する認識が世界各国で一定していないため、世界情勢からの影響を受けずとも乱高下するリスクはあります。

北朝鮮情勢によって値上がりしていく可能性もありますし、北朝鮮情勢とは無関係に乱高下を繰り返す可能性もあるため、真の意味でリスクオフ時の安全資産といえるかは疑わしいものです。

したがって、「こんなリスクがあるからこの資産を買う」という考え方は大切ですが、あまり一辺倒にならず、資産を分散させておくことが大事なのではないでしょうか。

 

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