ネパールで仮想通貨事業が禁止される

国の動き

仮想通貨の普及は、まだまだ障害が多いようです。

積極的に導入する国もあれば、禁止する国もあり、世界的にみれば国によって対応は様々。

先日ネパールでも仮想通貨事業が禁止されることが発表され、事業関係者が逮捕されました。

本稿では、ネパールの仮想通貨事業の禁止についてお伝えしていきます。

ネパールでの仮想通貨禁止

10月7日、ネパールで突如、仮想通貨事業の禁止が発表されました。

ネパール中央銀行は政府の指示を受けてビットコインを禁止し、ネパールの仮想通貨取引所であるBitsewaも閉鎖を発表しました。

Bitsewaの公式ページによると、ビットコイン交換事業を停止すると同時に、顧客データを全て削除したとされており、「取引停止は一時的なことで、いずれ近いうちに再開するだろう」という楽観論は通用しないようです。

また、ネパールの財務大臣は、

 

仮想通貨が規制されてからも、ユーザーの監視を続ける。

 

と発表しており、かなり厳しい取り締まりになることが予想されます。

実際に、その厳しさを象徴する出来事も、既に起こっています。

ネパールでは仮想通貨事業が違法となったことで、取引所関係者が7人、逮捕されたのです。

逮捕者の罪状は、「ネパール国内でビットコイン交換事業を行ったこと」であり、ネパール中央調査局の発表よると、「認可なくビットコイン取引を行った疑いがある」とのことです。

ちなみに、世界的に見ても、仮想通貨事業者が逮捕されてしまうのは、ネパールが初となります。

この7人は現在も拘留されており、今後の裁判で有罪判決となれば、取引量の3倍の罰金と3年以下の懲役が課されるようです。

取引量にもよりますが、「取引量の3倍の罰金」というのが、かなり厳しい内容であることを伺わせます。

 

 

発展途上国ほど仮想通貨が禁止される理由

世界的には、仮想通貨を認める流れが強くなりつつある中で、ネパールは逆流の中に飛び込んだ形になります。

これまでもネパール政府は、仮想通貨に対して前向きではありませんでした。

ネパールの公的機関では、未だに監査機関ガイドラインについて議論がなされている段階です。

ネパール中央銀行は、「規制が施行されるまではビットコインや他の仮想通貨の取引を違法とする」としています。

ネパールの指導者たちは、これまでも仮想通貨についてかなり長期間にわたって研究をしてきたのですが、ビットコインは違法扱いとされてきました。

研究してきたならば、いきなり禁止して逮捕まで行なうのではなく、規制草案くらい出してもよさそうなものですが、ネパール独自の背景から、それができなかったものと思われます。

ネパールはもともと王政の国だったのですが、第二次世界大戦以降、共産党が政権を握り、次いで間接民主主義となり、再び共産党が王政打破のために内戦をはじめ・・・といった具合に、現在に至るまで長期間にわたって不安定な状態が続いてきました。

国内の政治が不安定な状態で、仮想通貨という先進国でも受け入れに苦労しているものに対応しようとしても、それは無理な話です。

おそらく、仮想通貨に対する規制草案を作ろうとしても、政府内で意見がまとまる見込みがないため、一気に取り締まりに至ったものと思われます。

政治が安定している国ならば、規制もスムーズに行うことができることでしょう。

 

 

制限をかけるにしても、それは悪用を防いだり、より安全に普及していくための制限であり、いきなり逮捕者が出るようなことはありません。

また、そのような安定している国では民間の力もそれなりに強く、政府の動きに異を唱えることもできます。

しかし、政治が安定していない国では、それができません。

政治が安定しておらず、まっとうなやり方では国の統率がとれない場合、しばしば国が権力を行使して取り締まっていく必要があります。

結果として今回のネパールのように、逮捕者が出てしまうことも珍しくありません。

これは、安定した国と不安定な国での、デモ活動の違いを見ても良くわかるでしょう。

日本では言論の自由が認められており、お祭り気分でデモに参加することもできます。

警官隊との衝突などほとんどありえず、せいぜい道路使用許可をきちんと取るように指導されるくらいのものです。

しかし発展途上国では、気楽にデモなどできません。

警官隊と衝突すれば、逮捕されたり、警棒で殴られたりします。

デモ隊から火炎瓶が投げ込まれることもよくあることですから、取り締まる側も命がけです。

もしネパールで、ビットコインを認めよと民衆が騒ぎを起こしたところで、国は認めないでしょう。

大いに騒げば、警官隊や軍隊の出動となり、鎮圧されるのが関の山です。

ビットコインなどの仮想通貨は、非中央集権的な仕組みによって、国が発展途上であろうと、政府が不安定であろうと、安全にお金をやり取りできる通貨です。

したがって、金融が整備されていない国であればあるほど、仮想通貨の利用価値は高まると言えます。

しかしその一方で、そのような国では政府の権力が強く、ひとたび強権を発すれば、仮想通貨を厳しく取り締まることができるというジレンマがあるのです。

今後も、仮想通貨を厳しく取り締まることがあるとすれば、先進国よりもむしろ発展途上国になるのではないかと思います。

 

 

まとめ

ネパールは、昔から中国と深い関りを持っている国です。

第二次世界大戦後に政権を握っていたのも、ネパール内戦を引き起こしたのも、マオイストとよばれる毛沢東派の共産主義者です。

したがって、近代ネパールでは、中国の政治を参考にする部分が多かったのではないかと思います。

そのお手本である中国が、最近は仮想通貨に厳しい態度を取っています。

それに倣って、ネパールでも今回のような事態になったのかな、とも思えます。

仮想通貨の普及の流れを知るためには、受け入れられているニュースだけではなく、受け入れられていないニュースも見ていく必要があるでしょう。

そうすることによって、仮想通貨の未来もより鮮明になり、投資にも役立つことと思います。

 

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