トランプ大統領が仮想通貨を痛烈に批判

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アメリカのトランプ大統領は、ツイッターでの発言がしばしば取り上げられることでも有名です。

先日のG20の際にも、トランプ大統領が北朝鮮を電撃的に訪問したことが話題となりましたが、これも前日にツイッターで会見を予告したことで、多くのメディアで取り上げられていました。

そのトランプ大統領が、今度はツイッターで仮想通貨とリブラに対する批判を展開しています。

リブラの公聴会が数日後に控えたタイミングでの発言であり、仮想通貨市場への影響も表れています。

本稿では、トランプ大統領の発言と仮想通貨市場への影響を解説していきます。

トランプ大統領が仮想通貨を批判

7月12日、トランプ大統領はツイッターにおいて、仮想通貨やFacebookのリブラに痛烈な批判をしています。

トランプ大統領のツイッター発言は度々注目されてきましたが、今回の発言も大きな注目を浴びています。

トランプ大統領の批判は、かなり語気が強いもので、

 

私は、ビットコインやその他の仮想通貨を支持していない。

あれはお金ではないし、価値は不安定だ。

価値の裏付けにも乏しい。

規制が整っていないから、麻薬取引をはじめとした非合法取引の温床になっている。

 

というものでした。

仮想通貨に対する規制が十分に整っていないことで、非合法取引を助長していることは、これまでも議論の対象となってきました。また、価値が不安定であることや、仮想通貨をお金でないとする意見も、従来からあったものですから、その点では特に驚くべき発言ではありません。

しかし、トランプ大統領がこのように明言していることは、やはり注意しておきたいことです。

2017年、中国が仮想通貨に対して大々的な規制を敷いたことにより、仮想通貨市場は大きな打撃を受けることとなりました。

もし、アメリカで仮想通貨業界の発展を牽制するような規制が行われれば、これも仮想通貨市場に大きな影響が表れる可能性が高いです。

 

リブラへの批判も

また、Facebookが開発している仮想通貨「リブラ」に対しても批判を展開しています。

トランプ大統領は上記のツイートに続けて、以下のように発言しています。

 

同様に、Facebookのリブラもほとんど信用していない。

Facebookや他の企業が銀行になりたいならば、銀行と同じ規制を受けるべきだ。

 

先日のG20でも、リブラ構想が実現した場合、金融・経済に大きな影響を与える、場合によっては混乱をきたす可能性があることから、早急な対処が必要だという結論に達しています。

現在の金融・経済の中枢では、リブラを否定的にみなす勢力もかなり強く、トランプ大統領もまたその一員であることが分かります。

Facebookのリブラ構想が実現すれば、Facebookが銀行のシェアを大きく奪う可能性があります。

しかし、Facebookは銀行と同様の厳格な規制を基にリブラを展開していくことは想定していません。

そもそも、リブラ構想はスマホアプリなどを介して、手軽に送金や決済が可能となることを目指しています。

つまり、様々な規制から生じる手間を省いた利便性こそが、最大の特徴と言えます。

そこに、銀行同様の厳格な規制が加えられるならば、リブラの活用に様々な制約が課せられ、利便性の大きな妨げとなります。

リブラ構想と銀行規制は非常に相性の悪いものであり、トランプ大統領の発言のように銀行同様の規制を受けることになれば、リブラ計画には大きな狂いが生じるでしょう。

 

米ドルが唯一無二の通貨

さらに、トランプ大統領のツイッターでは、

 

アメリカは、唯一無二の通貨を持っている。

世界中のどこでも通用し、最も信頼されており、最も支配的な立場にある通貨だ。それは、米ドルである。

 

とも発言しています。

トランプ大統領は、この発言によって米ドルという法定通貨を強く支持しています。

本物の通貨は仮想通貨でもなく、リブラでもなく、法定通貨・米ドルであると断言したわけです。

仮想通貨の起源を考えると、法定通貨、中央集権的な金融システムに対する批判から生まれた側面があります。

このため、「法定通貨と、仮想通貨の技術的側面(ブロックチェーン技術)を支持する」という立場は成り立っても、「法定通貨と、仮想通貨そのものの双方を支持する」という立場は、基本的には成り立ちにくいものです。

トランプ大統領は、仮想通貨と対立した立場にある米ドルを強く支持しているのですから、その存在を脅かす仮想通貨やリブラを強く批判しているのは、ある意味当然のことと言えるでしょう。

 

法定通貨と仮想通貨の対立が浮き彫りに

トランプ大統領はアメリカの首長なのですから、このような発言は立場相応とも言えます。

現実的に、米ドルは世界の基軸通貨であり、あらゆる法定通貨の中で最も信頼性に優れており、確かに支配的立場にあります。

仮想通貨が、たとえ技術的にどれほど優れていようとも、実際に金融・経済に良い意味での変革をもたらすものであっても、仮想通貨を支持することで米ドルの信頼性や支配力が損なわれることは避けなければならないのです。

この発言は、法定通貨を否定できない指導者の一群と、法定通貨にとって代わる可能性がある仮想通貨側との対立を浮き彫りにしたとも言えます。

 

各仮想通貨の立場にも影響するか?

今後も、このような対立は長引くでしょう。

様々な形で、仮想通貨の普及を妨げる原因になる可能性があります。

しかし、これは必ずしも、すべての仮想通貨に影を落とすとは限りません。

例えば、法定通貨を否定しない立場の仮想通貨は、他の仮想通貨が抑えつけられる中で成長していきやすいとも考えられます。

良い例がリップル社のXRPです。

XRPは法定通貨にとって代わるものではなく、否定するものでもなく、法定通貨がより効率的に機能するために役立つ仮想通貨です。

多くの仮想通貨は、送金や決済が法定通貨に比べて大変に便利であることを特徴としています。

しかし、XRPのような存在によって、法定通貨の劣る部分をカバーできるならば、法定通貨を支持する勢力として、XRPを支持するという流れも考えられます。

実際に、基本的に仮想通貨を否定する金融業界で、XRPは着実に勢力を伸ばしています。

このように、それぞれの仮想通貨が法定通貨にどのような影響をもたらすかという視点で考えた場合、規制の強く影響を受ける仮想通貨、影響を受けにくい仮想通貨、規制が追い風になる仮想通貨、といった影響度の違いが出てくるはずです。

今回のトランプ大統領の発言は、法定通貨と仮想通貨の対立を浮き彫りにすると同時に、法定通貨と特定の仮想通貨の親和性を浮き彫りにすることになるかもしれません。

 

リブラの公聴会に注目

以上のような理由から、トランプ大統領の発言は注目に値しますが、タイミング的にも意味深なものを感じます。

というのも、Facebookのリブラ計画に対する公聴会が数日後に控えているからです。

先日、リブラのホワイトペーパーが公表されてから、一部で懸念の声が高まり、Facebookはすぐに開発の停止を求められました。

そして、米国議会では16,17日に、リブラに関する公聴会が開かれることとなりました。

FBR(米連邦準備制度委員会)のパウエル議長も、先日開かれた上院の銀行委員会において、リブラに対して「最高水準の規制が必要だ」と明言しています。

パウエル議長の場合、特にプライバシー保護についても強い懸念を示しています。

また同時に、パウエル議長は「ビットコインやその他の仮想通貨が普及していけば、米ドルにとってかわる存在になりかねない」とも発言しています。

トランプ大統領の一連のツイートは、その後まもなく投下されたものです。

その内容ろ見れば、パウエル議長の考えを支持し、それに加えて強い批判を加えることが目的と考えられます。

 

仮想通貨市場への影響も

リブラの公聴会が控えるタイミングでこのような発言がなされたことで、国際的にも大きな注目を集める結果となっています。

リブラが普及することによって、仮想通貨全体の普及にもつながる可能性が高く、仮想通貨業界は基本的にリブラを歓迎してきました。

ここ数ヶ月、仮想通貨は好調を続けてきたのですが、リブラへの期待も上昇を押し上げる要素となりました。

しかし、ここ数日でビットコインを初め多くの仮想通貨が暴落しています。

この暴落は、トランプ大統領の発言と時期を同じくしていることから、トランプ大統領の発言も強く影響しているものと考えられます。

リブラに対する国際的な懸念が高まったことで、上昇力に陰りが見えてきたところへ、トランプ大統領の痛烈な批判が行われたことで、数日の公聴会でリブラ計画に打撃が加えられること、さらには規制の可能性が高まったことにより、下落への圧力が一気に高まったものと思います。

 

「トランプ大統領が批判した」という重要性

これまで、一国の首長が自身の発言として、仮想通貨に対してこのように痛烈な批判をすることはほとんどありませんでした。

要人発言全体で見れば、過去にJPモルガンのCEOが「ビットコインは詐欺だ。仮想通貨取引に手を出した社員はクビにする」などと痛烈な批判を展開したことがあります。

しかし、この発言が行われたのは2017年のことです。

当時は「仮想通貨元年」などともいわれており、仮想通貨に対する懐疑的な意見も今よりずっと多く、そのような批判が出てくるのもやむを得なかったと言えます。

あの当時、仮想通貨への強い批判が行われてもある程度は仕方のなかった状況の当時でさえ、このような発言が仮想通貨市場にマイナスの影響を与えていました。

あれから約2年が経過し、仮想通貨への国際的な規制は遅々として進まないものの、国家レベルでの規制はそれなりに進展していますし、なにより仮想通貨業界の健全化、各仮想通貨取引所のセキュリティ性、各仮想通貨の技術レベルなどは大きく進展しています。

もちろん、未だにハッキング被害は後を絶ちませんが、少なくとも2年前に比べると随分と改善され、仮想通貨の実用化も進んでいます。

企業がブロックチェーン技術を取り入れる動きや、実際の決済に仮想通貨が利用される動きは加速度的に増えています。

 

リブラ計画は、あまりにも大きな影響が懸念されていることから、相対的に批判する動きも大きくならざるを得ないでしょう。

しかし、一国の首長がリブラ単体への批判にとどまらず、仮想通貨への信頼性に疑いを投げかける、それも自国通貨と対比しながら仮想通貨を批判しているのですから、トランプ大統領の発言からは「米ドルVS(リブラを含む)仮想通貨全体」という構図も見て取れます。

リブラに関する公聴会の直前に、このような批判が行われたことも重要ですが、それ以上に仮想通貨業界が進化を続け、多くの企業が関心を示し、普及への足掛かりも掴み始めたタイミングで、これまでの歩みを否定するような意見が出てきたことに、仮想通貨投資に関わる側としての懸念を抱くべきでしょう。

 

まとめ

世界的な懸念の高まりに加え、トランプ大統領という大物が敵対に回ったことで、Facebook・リブラにとっては逆風が吹き荒れる状況となりました。

リブラ計画、延いては仮想通貨全体の今後には多くの困難が生じる可能性も出てきました。

トランプ大統領だけではなく、リブラ計画を全面的に否定・反対する声が多方面から上っています。

リブラへの規制は、仮想通貨への全体的な規制にも大きな影響を与えると考えられており、規制の方向性によっては、仮想通貨全体にとって大きな試金石になりかねません。

ここ数ヶ月、多くの仮想通貨は上昇力を取り戻し、ようやく冬の時代を乗り越えたかと言われていました。しかし、まだまだ寒い時期が続くのかもしれません。

今後はしばらく、リブラ周辺の動きに注意しておく必要がありそうです。

 

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