イーサリアム、キャスパーとシャーディングの同時実装

アルトコイン・トークン

先日開催された、イーサリアム開発者のミーティングにおいて、イーサリアムのアップグレードの予定が変更されることが示唆されました。

キャスパーとシャーディングの二つのアップグレードが同時に行われることが提案されたのです。

これが、個人投資家にとってどのような影響を与えるものか、本稿で考察していきます。

キャスパーとシャーディングが同時に実装か

15日に開催されたイーサリアム開発者のミーティングにおいて、今後予定されていたアップグレードであるキャスパーとシャーディングが、同時に実装されることが提案されました。

これまでは、キャスパーは今年中、シャーディングは2019年中の実装を予定されていたのですが、これらの二つの技術を組み合わせ、同時進行で行うということです。

この提案には、イーサリアムの共同創設者であるヴィタリック・ブテリン氏も支持しているようで、ブテリン氏は次のように語っています。

 

これは、ロードマップの途中における大幅な改定となりますが、プロダクションの完成像に変化はありません。

また、キャスパーとシャーディングを組み合わせる設計は、理論上ではアップグレードの効果を最大化することができます。

そうすることで、最終段階へ向けて、よりダイレクトに進むことができるでしょう。

 

今回の報道の意味を真に理解するためには、キャスパーとシャーディングについて少し掘り下げて理解しておく必要があるでしょう。

以下に、簡単な解説を施します。

 

 

キャスパーとは?

キャスパーとは、簡単に言えば、イーサリアムのシステムをPoWからPoSに変更するためのアルゴリズムです。

現時点では、イーサリアムのアップデートの最終段階に位置付けられている、セレニティで実装を予定しています。

現在、イーサリアムのブロックチェーンでは、PoWによってブロックが生成されています。

しかしこの方法には、マイナーが増加したことによって、ハッシュレート(採掘速度)や採掘難易度が大幅に上昇を続けているという問題があります。

ハッシュレートや採掘難易度が上昇すると、マイニングのために莫大な電力が消費されることになるため、環境問題の懸念もあります。

また、PoWでは1秒間に15~20回のトランザクションしか承認することができず、これも問題視されていました。

そこで、PoSに移行することが予定されています。

PoSでは、マイニングに利用するマシンパワーではなく、マイナーが保有しているイーサリアムの数量に応じてブロックが承認されやすくなる仕組みです。

このことから、PoWからPoSに移行することによって、以下のようなメリットが得られます。

 

[surfing_su_box_ex title=”消費電力の削減” style=”noise”]

PoSでは、膨大な計算を行ってマイニングを行うPoWのような計算を行いません。

これによって、消費電力を削減できる効果が見込めます。[/surfing_su_box_ex]

 

[surfing_su_box_ex title=”スケーラビリティ問題の解決” style=”noise”]

PoSは、保有しているイーサリアムの量に応じてブロックを承認しやすくする仕組みです。

上記の通り、膨大な計算を行う必要がないことから、ブロックの生成時間も短縮することが可能となります。

これが、スケーラビリティ問題の解決にもつながるとされています。[/surfing_su_box_ex]

 

[surfing_su_box_ex title=”51%攻撃が起こらない” style=”noise”]

PoWでは、マシンパワーに応じてマイニングのしやすさが決まってしまいます。

もし、悪意あるマイナー集団がハッシュパワーの50%超を握ることとなれば、二重支払いが可能となってしまい、通貨としての安定性が失われることとなります。

しかし、PoSで51%攻撃をしようとするならば、膨大な量の通貨を保有しなければならないため、現実的ではありません。

さらに、もし50%超の通貨を保有したとしても、それによって攻撃を加えてイーサリアムの価値が下がれば自身も損失を被ることになるので、51%攻撃の防止につながるというわけです。[/surfing_su_box_ex]

 

 

シャーディングとは?

次に、シャーディングを解説していきます。

シャーディングとは、主にスケーラビリティ問題解決のための技術です。

最近では、ビットコインやイーサリアムなどの主要な仮想通貨、すなわち取引量が増大している仮想通貨において、システムが取引に対応できない事態が起きてきています。

特にイーサリアムの場合、ICOのプラットフォームとしても機能しているため、負荷がかかりやすいという問題があります。

この解決方法として、これまでは単独のノードが取引を処理していたところを、シャード(ノードを複数のグループに分けたものの単位)ごとに処理を割り当てて行うようにするという方法があります。

これにより、個々のノードでの負担を減らし、シャードごとに処理を行うことで、ネットワーク全体での処理能力を高めてスケーラビリティ問題を解決していこうというアイデアが、シャーディングです。

しかし、この仕組みを正確に機能させていくためには、それぞれのノードが所属するシャードを効率よく把握していく必要があります。

また、シャード同士の同期も正確に行われなければなりません。

このため、シャーディングはPoS実装後に導入すべきだとされていました。

PoSでは、上記の通り通貨の保有量に応じてブロックを承認していく仕組みであり、PoSならば有効なノードと保有量に応じた処理能力が分かるため、各ノードを適切に組み合わせてシャードを作り、役割を割り振ることができるというわけです。

 

 

キャスパーとシャーディングを同時に実装する意味とは?

では、キャスパーとシャーディングを同時に実装することには、どのような意味があるのでしょうか。

ブテリン氏の発言を取り上げると、キャスパーとシャーディングを組み合わせることで、

 

“#eee” radius=”20″]

  • 最終段階のシステムへよりダイレクトに進んでいくことができる。
  • ステーキング(PoWにおけるマイニングのようなもの)に参加するためのイーサリアム保有量が、1500ETHから32ETHに抑えられるため、個人投資家がステーキングに参加しやすくなる(非中央集権的な構造がより強くなる)

 

などが挙げられています。

そのほかにも、システム的な複雑な点においての利点がありますが、個人投資家にとって関心があるのはこの二点になるでしょう。

特に後者については、個人投資家がステークスに参加しやすくなるということですから、大きな意味があります。

これまでは、PoSに移行した場合のステークスへの参加には1500ETHが必要であると試算されており、個人投資家にとってはあまり現実的ではありませんでした。

しかし、キャスパーとシャーディングの実装によって、必要となるイーサリアムが32ETHとなれば、個人投資家でもステークスへの参加は可能となってきます。

したがって、キャスパーとシャーディングの実装後、ステークスへの参加を希望する個人投資家がイーサリアムを買い増すことによって、イーサリアムの価格が上昇するなどの影響も考えられます。

 

まとめ

キャスパーとシャーディングの同時実装は、個人投資家にとっても影響が大きいものです。

個人投資家への影響が大きいとなれば、当然ながら価格への影響も考えられます。

もっとも今回の話は、会議において提案されたというだけで、まだ本格的に決定に至ったわけではありません。

今後の動向に注目が集まることでしょう。

 

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