2017年8月の分裂後、再びビットコインが11月に分裂しようとしています。
現在情報が錯綜している状況ですが、10月8日時点の情報を集めてみました。
はじめに
8月1日の分裂につづき、ビットコインが再び分裂の危機に直面しております。
それに伴って、様々な憶測が飛び交い、不安を煽られている投資家も少なくありません。
本稿でも現在知り得た情報を基に述べていきますが、まだまだ情報が錯綜している中での執筆であり、内容の判断は読者の皆さんに委ねる部分が多いかと思います。
そのうえで、参考としてお役立てください。
B2X分裂問題で起こる様々な不安
8月1日に、ビットコインとビットコインキャッシュに分裂したことに続き、11月19日には更なるハードフォークが予定されています。
このハードフォークによって生まれるビットコインの名称は、Bitcoin Segwit2×であり、現在ではB2Xという呼び方が一般的です。
B2Xはどのような仮想通貨であるか、簡単に言うならば、ビットコインのスケーラビリティ問題を解消するためにSegwitという機能を実装し、その後、ブロックサイズを1MBから2MBへと変更したものです。
現在のビットコインは、ブロックサイズが1MBなのですが、取引量の拡大に伴い、1MBの容量では取引をさばききれなくなってきています。
そこで2MBに変更することによって、より多くの取引をさばいていこうというわけです。
しかし、分裂が近づくにつれて、問題が表面化しつつあります。
というのも、今回のハードフォークによって生まれるB2Xは、これまでのビットコインに取って代わろうとしているのではないかと思われる仕組みを持っているからです。
まだ、この辺のことは様々な推測や情報が錯綜していて、はっきりとしたことはわかっていません。
しかし、従来のビットコインも使える仕組みではあるものの、送金時には送金したいアドレスとは別に、特定のアドレスに少量のビットコインを一緒に送らなければ、送金相手に従来のビットコインとB2Xがどちらも送られてしまう可能性があるなど、ちょっと不可解な仕組みを持っているようです。
ブロックサイズを二倍にしてビットコインを進化させたいという意図はわかるのですが、海外取引所の先物相場では、B2Xの価格が0.25BTCで取引されているなど、おかしな現象も見られます。
この事実を額面通り受け取るならば、従来のビットコインを保有している人のビットコインがB2Xに取って代わることになれば、ビットコインの価値も4分の1に下落するのでは?などともいわれています。
懐疑的な意見では、B2Xを支持する人々が、自分たちに都合が良いビットコインを作り、これまで作り上げられてきたビットコインを乗っ取ろうとしているとされています。
真実がどこにあるか、ふたを開けてみなければ分かりません。
ビットコインキャッシュのハードフォークの際にも、色々な情報が飛び交って、疑心暗鬼に陥る人が増えた結果、ハードフォーク前の7月には20万円近くまで暴落したこともありました。
これにつられて、アルトコインも多数暴落しました。
しかし、ふたを開けてみれば大したことはなく、むしろSegwitが実装されたことで入出金がスムーズになりましたし、手数料も安くなりました。
ビットコイン保有者にはビットコインキャッシュが付与されるという特典までついて、誰も損をしませんでした。
結果的には良かったことばかりで、価格も急回復し、それどころか50万円を超える高騰を見せました。
とはいえ、ふたを開けるまでは非常に怖いのは事実です。
純粋にビットコインをより良いものにしたいのか、利権が絡んでいるのか、一投資家にはとても分かりませんから、相場が乱高下する可能性は十分にあります。
ハードフォークの予定日は11月19日です。
これは、ブロック数が494784に達する日時ですから、多少前後する可能性もあります。
正確な日時については、カウントダウンサイト(→http://bashco.github.io/2x_Countdown/?utm_content=buffer9f526&utm_medium=social&utm_source=twitter.com&utm_campaign=buffer)を見てみてください。
ツイッターや個人のブログなどから、色々な意見を取り上げてみると、ヤバいと騒いでいる人よりも、「またビットコインキャッシュみたいなところに落ち着くだろう」と安心している人のほうが多いような感覚です。
しかし、もし本当に利権が絡んでおり、B2X派が本気でビットコインに取って代わろうとしているとすれば、ただ事では済まないのではないかと思います。
ビットコインゴールド付与でアルトコインも下落する?
ビットコイン価格の下落に注意するのはもちろんのこと、アルトコインにも注意しておきたいものです。
というのも、10月25日時点でビットコインを持っている人に対し、ビットコインゴールドが付与される予定だからです。
仮想通貨の当初の理念からすると、分裂は好ましくないことなのですが、ビットコインは8月にビットコインキャッシュに、10月25日にはさらにビットコインゴールドに分裂します。
そして、11月19日にはB2Xに分裂です。
最近のビットコインは、かなり混沌としている気がします。
ビットコインゴールドとは何なのかというと、香港のマイニンググループであるLightningASICが主導するハードフォークだとされています。
ビットコインのマイニングには、ASICという集積回路を利用する必要があるのですが、これでは一般の人がマイニングをすることがかなり難しくなります。
そこで、もっと多くの人がマイニングできるようにしようという考えから、GPU(PCのグラフィックボード)によってマイニングできるビットコインが生み出されました。
それが、ビットコインゴールドです。
現在、ビットコインのマイニングは、かなり中国に偏っています。
それを解消するために、誰もがマイニングできるようにするという意図もあるようです。
しかし、その偏りが解消されるかどうかは疑問です。
ビットコインゴールドのマイニングに当る人が増えなければ、送受信が遅くなってしまい、利用にたえないものになってしまいます。
価値が上昇していくかどうかは、実際に流通が始まってみなければ分かりません。
それでも、無料で配布されるならば、ぜひもらいたいと思う人が多いでしょう。
ビットコインゴールドへの分裂は、8月1日に起きたビットコインキャッシュへの分裂に似ているものです。
ビットコインキャッシュのハードフォークの際には、取引所にビットコインを保有しているユーザーに対し、ビットコインの保有数と同じ枚数のビットコインキャッシュが配布されました。
それと同じく、今回もビットコイン保有者には、ビットコインゴールドが配布されます。
ビットコインキャッシュの時は、配布された当初の価格が3万円程度でした。
10BTC持っている人ならば、ただビットコインを持っているだけで30万円相当のビットコインキャッシュが受け取れたわけですから、非常においしい話です。
今回、ビットコインゴールドでも同様のことが起こる可能性がありますから、10月25日までにアルトコインをビットコインに変えようとする人が増えると思います。
そうなれば、アルトコイン価格は下落することになります。
10月25日までは、ビットコインゴールドを受け取るための動きとして、アルトコイン価格が下落し、ビットコイン価格は上昇する可能性があるのですが、再び11月19日に向かって混乱が高まってくれば、仮想通貨から資金を引きあげる動きが強まり、仮想通貨市場は全面的に下落することになりかねません。
この辺のことは現時点では推測の域を出ませんが、今回の事態は、仮想通貨始まって以来、かなり高いレベルでの混乱を引き起こす可能性があることを知っておきましょう。
B2Xへの分裂だけでも混乱が大きい可能性があるのに、ビットコインゴールドへの分裂も起きますし、中国をはじめとした世界情勢での不安もあります。
仮想通貨投資をしている人は、十分に注意しておきたいものです。
ビットコインコミュニティでB2Xに異例の警告
ちなみに、B2Xへの非難はかなり高まってきています。
例えば、10月5日にBitcoin.org(ビットコインに関する情報や正しい知識を発信している老舗サイト)では、B2Xを公式サイト上で警告する発表をしています。
ビットコインキャッシュへの分裂の時にも、このような警告は展開されなかったため、ビットコインコミュニティの中でいかに大きな対立が起こっているのかを伺わせます。
ビットコインコミュニティとは、ビットコインに関わる様々なビットコイン非営利団体や、ビットコインコア開発者などのコミュニティです。
Bitcoin.orgも、このような人々によって構成されており、偏りのない情報源として認識されてきました。
Bitcoin.orgは、公式サイトではないものの、特定の団体が利益を追求して運営しているものではありません。
あくまでも、ビットコインが正しく普及していくために、正しい知識の提供などを目指しているものです。
そのBitcoin.orgが、舌鋒鋭くB2Xに賛同する事業者へ警告を発表したのです。
警告の内容は、以下の通りです。
“#eee” radius=”20″]Bitcoin.orgの全ページに、B2Xによって生じるユーザーのリスクを警告するバナーを貼り付ける
B2Xに賛同する事業者は、10月11日正午までに、B2Xに対する姿勢を公式に発表するように求める
続いて、B2Xを支持する事業者に対しては、10月11日を期限として、
“#eee” radius=”20″]B2Xを従来のビットコインと同じものとは認めないことを明らかにせよ
ユーザーのビットコインをリプレイ保護なしで奪うことがないことを明らかにせよ
従来のビットコインに対するサービスを、これまで通り行い続けることを明らかにせよ
との警告を発しています。
以上の警告からも分かる通り、Bitcoin.orgはB2Xのようなハードフォークの在り方を非難していることが分かります。
とはいえ、ハードフォークをやめよというような警告ではなく、特定の条件が満たされ、従来のビットコインの存続が確立されるならば、B2Xをアルトコインとして扱う考えであることも分かります。
この警告を受けて、特定の取引所が既に声明を出しています。
海外取引所のBitfinexでは、
いかなるハードフォークも支持しない
ビットコインコミュニティの同意が取れていないB2Xへの対応のために、仕事を止められている
いくらB2Xが大きなハッシュパワーを持っていたとしても、従来のビットコインを引き続き取引していく
Segwit2xはリプレイ保護が欠けているので、顧客の資金を守るための措置を取るべきだ
この声明には、政治的な意図はない
といった内容の声明を出しています。
今後、他の取引所も同様の声明を出していくと思いますが、その声明において、B2Xを支持する内容の声明が多数出てくれば、ビットコイン相場は混乱するのではないかと思われます。
まとめ
10月25日のビットコインゴールドへの分裂、11月19日のB2Xへの分裂を踏まえると、2017年だけでビットコインは4つに分裂することになります。
何事もなく、円満に普及していくことが望まれますが、なかなかそう簡単にはいかないようです。
今後分裂に向けて、更なる不安が起こり、警戒によってビットコインやアルトコインの価格が大きく変動する可能性があります。
仮想通貨投資家は、しっかりと相場に注目しておくべきでしょう。