仮想通貨に関する統計データがしばしば発表されていますが、今回、仮想通貨の将来性に示唆を与えるデータが発表されました。
それを見ると、仮想通貨の保有率の低さが良くわかります。
本稿では、このデータによって仮想通貨の可能性や、投資の方向性を考えていきます。
仮想通貨の保有率は低い
先日、アメリカの大手調査会社であるファインダーから、アメリカにおける仮想通貨の普及状況に関するデータが発表されました。
このデータは、アメリカ国民に対して、仮想通貨を保有しているかどうか、仮想通貨をどう捉えているかなどを調査したものです。
データによると、アメリカでは以下のような保有状況になっているようです。
銘柄 | 保有率(%) | 平均保有額(USドル) |
ビットコイン | 5.15 | 3453.89 |
イーサリアム | 1.80 | 1243.42 |
ビットコイン・キャッシュ | 0.90 | 636.22 |
リップル | 0.85 | 299.06 |
カルダノエイダコイン | 0.45 | 84.22 |
ステラ | 0.40 | 151.38 |
その他 | 0.75 | 388.33 |
このデータによると、時価総額が大きい仮想通貨ほど保有率が高くなる傾向があるように思います。
注目したいのは、仮想通貨としてもっとも有名であり、既にアメリカ社会では決済手段として普及が進みつつあるビットコインでさえ、アメリカ国民のわずか5.15%しか保有していないということです。
仮想通貨を疑わしいと考える人には、
ビットコインの普及はまだまだ進んでいない。
やはり嫌っている人が多いのだ。
本当に大丈夫だろうか…
と思えるデータかもしれません。
しかし、仮想通貨という通貨の形は、今後、法定通貨に取って代わる可能性が高いとされており、仮想通貨技術は長期的に普及していくものとみなされています。
それがビットコインであるかどうかは定かではありませんが、少なくとも現時点で最も大きな時価総額、知名度を誇り、日常生活への普及が進みつつあるビットコインが最有力と考えられます。
そのビットコインも、このように低い保有率に留まっています。
もし、ビットコインが様々な問題を乗り越えて決済手段として普及していき、日常生活により深く浸透していき、人々が当たり前に利用するようになり、保有率が高まっていったとすれば、発行上限が決まっているビットコインの需要と価値は高まり、価格は上昇していくことでしょう。
また、イーサリアムやリップルといった銘柄も、将来を有望視されています。
ビットコインとは性質が異なるものですが、既にイーサリアムは企業の資金集めに活用されていますし、リップルも大手銀行と提携するなどして、度々話題になっています。
それらの仮想通貨も、保有率でみるとまだまだ1%前後ですから、将来的に普及が進んでいけば、価値は何倍にも上昇していくと思われます。
あくまでもアメリカ一国における調査結果ではありますが、仮想通貨の将来的な価格上昇を思わせるデータであると言えます。
普及が進まない理由
ただし、普及にはまだまだ時間がかかると思われます。
その理由にはいくつか考えられますが、現時点での仮想通貨は多くの人にとって身近に感じられるものではありません。
技術的にも理解している人はあまり多くないでしょう。
仮想通貨が新聞やテレビで取り上げられることが増えているため、表面的な知識があるという人は増えています。
しかし、それでも難しいと感じ、敬遠している人が多いのが実情です。
日常生活に普及していないからこそ身近に感じていないのですが、そのような人達にとっては、仮想通貨は良くわからないし、大きく損をすることもあるし、従来の通貨の方が安心して使えるという思いもあります。
この「別に仮想通貨に手を出さなくても・・・」という気持ちも、仮想通貨の普及の妨げになっています。
現在、一般の個人にとっては、敢えて仮想通貨を保有しようと思えるほどのメリット(利便性や安全性など)はないのでしょう。
今回のデータにおいても、このような一般個人の考え方が浮き彫りになっています。
「仮想通貨をなぜ敬遠するか」に関する男女別の調査結果は、以下の通りになっています。
仮想通貨を敬遠する理由 | 男性(%) | 女性(%) |
全く理解できないから | 23.63 | 29.99 |
利用が困難だから | 10.99 | 11.75 |
詐欺だから | 23.98 | 12.77 |
手数料が高すぎる | 6.20 | 5.37 |
必要ないから/興味がないから | 35.32 | 44.07 |
単なるバブルだから | 23.27 | 9.93 |
リスクが高すぎるから | 39.77 | 30.90 |
このデータを見ると、仮想通貨を詐欺だと思っている人や理解できないと考えている人よりも、「必要ないから」「リスクが高いから」と考えている人が多いことが分かります。
「法定通貨で全然問題ないのに、あえてリスクをおかす必要はない」と考えている人が多いのです。
したがって、今後の仮想通貨の普及のためには、
- ボラティリティが大きすぎる状況を改善すること
- 法定通貨に勝る利便性を一般層に提供できること
がカギとなるでしょう。
ボラティリティを小さくするためには、仮想通貨の流通量が増えることや価値が定まってくる必要があり、まだまだ時間がかかると思われます。
法定通貨に勝る利便性はすでにありますが、それに伴う手数料が高いことや、決済手段として十分に普及していないことなどから、一般層にとってはそれほどメリットを感じられないことなどがネックとなっており、法定通貨と比較したり、リスクとメリットを秤にかけた場合、手を出しがたいものとなっています。
これらのことから、やはり仮想通貨の普及にはまだまだ時間がかかるものと思われます。
逆に言えば、保有率が高まるまでにはまだまだ時間がかかり、投資家が将来有望と思える仮想通貨を買い集めるための時間は多く残されているとも言えるでしょう。
仮想通貨バブルはまだまだはじけないという意見も同様で、普及していくのはこれからだという考え方が根拠になっています。
仮想通貨の置かれている状況は不安定であり、業界や市場の動向はつかみがたいものがあります。
そのため、将来の値上がりを期待する人は、リスクをセーブしながら買い集めていくために、ドルコスト平均法(一定の間隔、例えば毎月〇日といった塩梅で一定額を投じていく手法)を利用するなどして計画的に投資するのが良いでしょう。
まとめ
今回のデータは、アメリカ国民2001人に対して行ったものであり、サンプル数が少ないという意見もあります。
ただし、通常のサンプリング調査では、母集団が10000人くらいを超えてくると、母集団の人数はあまり関係なくなります。
2000人に調査をしているならば、誤差は5%以下に抑えられるとことでしょう。
もっとも、仮想通貨に関しては特殊な事情があるらしく、過去に同様のテーマで別の調査会社が行った調査によると、アメリカ国民全体の5%が仮想通貨を保有しているとするデータもあります。
ミレニアル世代の保有率が圧倒的に高いことや、大きな価格変動による多数の売買によって保有率も変動しやすいことなどから、調査時点におけるデータも変わってくるのかもしれません。
今回のデータに対して色々な解釈がありますが、仮想通貨にはまだまだ普及の余地があるということです。
今後、法的整備や技術的改善などが積み重ねられ、普及率が高まっていけば、価格は上昇していくと思われます。