公共交通機関と言えば、バスや電車が思い浮かびますが、これらの交通機関に乗る時、PASMOやSuicaといった電子マネーを使っている人がほとんどだと思います。
日本ではまだまだ、公共交通機関の運賃は現金か電子マネーで支払うのが主流であり、ビットコインでの支払いは先のことになりそうです。
しかし、世界に目を向けてみれば、公共交通機関でビットコインの支払いを受け付けている例が少なくありません。
本稿では、世界の公共交通機関の支払いについてみておきましょう。
公共交通機関の支払い、どうしてる?
皆さんは、普段バスや電車に乗ることがあるでしょうか。
都会にお住まいの方ならば、電車やバスを利用して通勤・通学をすることが非常に多いと思います。
私も都内に住んでいますので、ほとんど毎日のように地下鉄やJRをPASMOで利用しています。
さて、皆さんの中にも、電車やバスに乗ったとき、その支払いをPASMOやSuicaによって行なっている人がほとんどだと思います。
これらの電子マネーを使えば、わざわざ駅の発券機にお金を入れて乗車券を買う必要がなく、ただ改札にかざすだけで通ることができますから、非常に便利です。
また、日本でタクシーに乗ったときの支払いと言えば、現金かクレジットカード、もちろんPASMOを利用することもあるでしょう。
しかし、世界に目を向けてみると、支払方法は大きく変わっているようです。
というのも、公共交通機関での支払いをビットコインによって受け付けるための具体的な取り組みが始まっている国が増えているのです。
日本ではまだまだ電子マネーが主流であり、ビットコインで支払えそうな兆しが見えていないため、他の先進国より遅れているのかもしれません。
では、実際にはどのような動きがみられるのでしょうか。
国別に見ていきましょう。
イタリアではビットコインでタクシーに乗れる
イタリアで顕著なのは、タクシーの支払いにビットコインが取り入れられていることです。
イタリア最大のタクシー協会であるCooperativa RadioTaxi 3570では、タクシー料金の支払いをビットコインで受け付けています。
ローマだけでも約3700台がビットコイン決済に対応したことになります。
ビットコインの支払方法はというと、専用のアプリを利用することによって、事前に支払いを行なう仕組みになっています。
日本のタクシーを基準に考えると、行先を伝えて連れていってもらい、そこまでにかかった料金を降りる際に精算します。
イタリアでのビットコインの支払いはこれとは真逆で、事前に行先を調べてビットコインで支払いを済ませると、タクシーが迎えに来るというシステムです。
ローマに観光に行った人がこのサービスを利用するとなると、先に支払ったのにタクシーが来ないなどのトラブルがないか、心配になるかもしれません。
しかし、ビットコインはブロックチェーン技術が根底になっていることを思い出してください。
つまり、支払ったタクシー代の情報はブロックチェーン上に確実に記録されますから、ぼったくりをすれば一目瞭然です。
したがって、不正が起きる可能性はほとんどないといってよいでしょう。
フランスでは、バス料金の支払いにビットコイン決済を導入
フランスでは、バス会社のIsilinesが2016年8月2日から、バス料金の支払いにビットコインを導入する試験を開始しています。
ビットコインでの支払いは、Isilinesのウェブサイトから行なうことができます。
このバス会社は、フランス全土をカバーする大手バス会社であるため、これがビットコイン決済に対応すれば、旅行者も大助かりでしょう。
それ以前は、多くの旅行者はクレジットカードによって支払っており、為替手数料を強いられていましたが、その心配も無くなりそうです。
Isilinesは、フランスのビットコイン取引所であるPaymiumと提携することで、ビットコインの導入を実現しました。
このほかにも、世界の公共交通機関では、ビットコイン決済を導入する動きが高まってきているようです。
ただし、イタリアの例のように、タクシー料金を事前に支払うというシステムには、難点もあります。
日本の後払いシステムならば、運転手に行先を伝えて連れていってもらい、料金を精算することができます。
しかし、イタリアの先払いシステムでは、行先を事前に調べて支払う必要があるため、土地勘のない観光客ならば、その手続き自体が難しいからです。
公共交通機関にビットコインを導入するメリット
公共交通機関の支払いがビットコインで可能になれば、利用者側のみならず、運営者側にもメリットが生じます。
両者のメリットについてまとめておきました。
利用者側のメリット
利便性の向上
これまでは、両替所で現地のお金に両替して持ち運び、公共交通機関の支払いを行なう必要がありました。
しかし、ビットコインでの支払いが可能となれば、両替の必要はなくなり、非常に便利になります。
両替の際の手数料も不要となります。
安全性の向上
タクシー料金の支払いにビットコインを利用した場合、支払った内容などが全てブロックチェーンに記載され、追跡が可能となります。
そのため、料金を先払いしたのに利用できないなどの不正の予防につながります。
運営者側のメリット
業務の効率化
料金の支払いをビットコインにすることによって、お釣りを計算して渡すなどの手間が不要になり、業務の効率化につながります。
また、乗車賃やお釣りの数え間違えなどの人為的なミスもなくなります。
コスト削減効果
乗車賃をクレジットカードで支払われると、代金の数%をクレジットカード会社に支払う必要があります。
しかし、ビットコインならばこのコストが非常に安いため、売上アップにつながります。
このように、公共交通機関の支払いにビットコインが使えるようになると、利用者にも運営者にもメリットがあることが分かるでしょう。
まとめ
世界的な流れを見てみると、公共交通機関の支払いにビットコインを利用する流れが形成されつつあります。
これによって、仮想通貨の普及に拍車がかかるのではないでしょうか。
実際、日本でも公共交通機関の支払いにPASMOやSuicaが使えるようになると、電子マネーが一気に浸透していきました。
これと同じように、公共交通機関の支払いにビットコインが使えるようになると、ビットコインが一気に浸透していくのではないかと思います。
普及促進のためには、人々の生活に密着しているインフラに利用できるようにするのが一番なのです。
日本も2020年の東京オリンピックに向けて、ビットコイン決済の導入は着実に進んでいくものと思われます。