日本には複数の仮想通貨取引所がありますが、そのなかでも大手の取引所として、ビットフライヤー(bitflyer)があげられます。
2017年8月、ビットフライヤーがアメリカへ進出すると報道されました。
本稿では、ビットフライヤーのアメリカ進出から今後の見通しなどについて解説していきます。
ビットフライヤーがアメリカに進出する訳
日本の大手仮想通貨取引所のビットフライヤーが、2017年8月18日、アメリカに進出することが判明しました。
これは、アメリカの仮想通貨情報会社であるCoinDesk(コインデスク)による報道です。
アメリカでは、州ごとに独自の法律や規制を設けています。
アメリカは連邦制で50州が集まって形成されており、基本的に州の主権が尊重され、州ごとの共通の利害にかかわる政策を、中央政府が担当するという仕組みです。
日本は連邦制ではないので正確ではありませんが、分かりやすく言えば、日本の各都道府県がそれぞれ主権を握っているようなものです。
このことから、仮想通貨に対してどのような態度をとるのかということに関しても、州ごとに見解が異なります。
日本の仮想通貨取引所がアメリカに進出するにあたっては、それぞれの州で承認を取り付ける必要があり、ビットフライヤーは現在、34州で承認を受けています。
アメリカ全土で取引所業務を展開するわけではありませんが、アメリカの仮想通貨市場で大きな存在になる可能性は十分にあります。
ただし、アメリカの州ごとの見解を見てみると、かなり複雑な様相を呈しており、承認を得ることが難しかったり、今後規制が厳しくなってライセンスを取り消される可能性もあるようです。
実際、ワシントン州の法案が厳しいことから、仮想通貨取引所のPoloniexはワシントン州から撤退することを表明しています。
このような特殊な環境であるため、ビットフライヤーにしても、許可を得ている34州から何らかの条件や規制を提示される可能性もあります。
しかしながら、アメリカにおける厳しい規制や、規制が州ごとに異なる複雑な事情は、アメリカ国内の仮想通貨取引所でも条件は同じです。
そのため、アメリカ人のユーザーが使える取引所が少ないという意見もあります。
だからこそ、ビットフライヤーがアメリカに進出すれば、多くの顧客を獲得できる可能性があるわけです。
ビットフライヤーは単なる仮想通貨取引所ではない
今回のアメリカ進出は、ビットフライヤーの大きな一歩となるに違いありません。
日本の仮想通貨取引所の中でも、一足先に世界に進出したことは、注目すべき事実です。
ビットフライヤーの取引高は、過去1年間で300億ドルを超えているとされていますし、世界の取引所に劣らない勢いを持っています。
進出するべくして進出したといえるでしょう。
ビットフライヤーの加納祐三社長も、以下のようにコメントしています。
bitFlyer、Inc.は本社を日本に置いていますが、私のビジョンは常にグローバル企業をつくることでした。米国がグローバル展開の第一歩になることに興奮しています
今後、ビットフライヤーが想定しているサービスは、より多くの仮想通貨を取り扱うことや、取引可能となる通貨ペアを拡大していくことです。
現在ビットフライヤーでは、ビットコイン、ビットコイン・キャッシュ、イーサリアム、イーサリアムクラシック、ライトコインの5通貨を取り扱っているのですが、今後もアルトコインの種類を増やしていく方針です。
アメリカに進出することから、現在はまだ日本では取り扱いが始まっていないものの、アメリカではよく知られているアルトコインの取り扱いも始まるかもしれません。
もちろん、仮想通貨に止まることなく、ブロックチェーンを応用した様々な事業にも関わっていくことと思います。
過去のインタビューにおいて、加納社長自身、ビットフライヤーを単なる仮想通貨取引所としてではなく、ブロックチェーン企業として考えていると発言されておりました。
今後の世界における、ブロックチェーンやフィンテックの発展において、ビットフライヤーの果たす役割は大きくなっていくように思います。
さらに今後の展望としては、ヨーロッパ市場への進出を考えており、そのためにルクセンブルグで子会社も設立しています。
ヨーロッパも日本に比べて、仮想通貨に関する規制が厳しいのですが、資本力によって切り込んでいくようです。
まとめ
ビットフライヤーのアメリカ進出によって、ビットフライヤーの真の実力が試されていくことになると思います。
アメリカ進出も、やみくもに行ったものではなく、これまで様々な布石があり、それぞれの点が線を為した結果、アメリカ進出になったのでしょう。
あるいは、アメリカ進出も単なる布石に過ぎず、もっと壮大な構想があるのかもしれません。
今後も、ビットフライヤーの動向には注意していきたいと思います。