日本ではキャッシュレス化が徐々に進んでおり、この流れによって仮想通貨の普及も進んでいくことが期待されています。
そんな中、27日のテレビ朝日のニュースにて、「JR東日本のSuicaが仮想通貨チャージに対応する」として報じられました。
本稿では、この報道の詳細と、仮想通貨業界への影響について解説していきます。
Suicaが仮想通貨チャージに対応?
先日、仮想通貨交換業者として金融庁の認可を受けたディーカレットが、27日に事業説明会を開いています。
他の仮想通貨交換業者とディーカレットが異なることと言えば、ディーカレットは19社の大企業が出資して作られていることです。
そのうちの一社に、JR東日本があります。
27日の事業説明会において、JR東日本の常務執行役員である野口忍氏がスピーチしており、この中で「Suicaが仮想通貨チャージに対応する」という話も盛り込まれていました。
野口忍氏のスピーチをかいつまんで紹介すると、
キャッシュレス化の流れによって、JR東日本のSuicaも変化していくだろう。
Suicaの利用者は国内、インバウンド、年齢層も様々であり、デジタル通貨チャージに対応することで、顧客のニーズを満たすことにつながると考えている。
デジタル通貨には大きな可能性がある。デジタル通貨からSuicaへチャージすることを、最初のユースケースとして検討していきたいと思っている。
という内容です。
これを報じたのはテレビ朝日であり、ニュース内では「今年6月からSuicaの仮想通貨チャージに対応する」、といった内容になっていました。
しかし、実際スピーチでは、そこまでの具体的な発言はみられません。
また、この報道を受けて、ディーカレットの社長である時田一広氏も「あくまでも検討している段階であり、具体的な計画ではない」と答えています。
テレビ朝日の「6月から」という内容が、何を根拠にしているのかは不明であり、単なる勇み足だったのか、あえて伏せているのかが気になるところです。
キャッシュレス化が大きく前進しそう
現在、日本国内の電子マネーで最も高いシェアを誇っているのは、楽天Edyの1億1250万枚です。
Suicaはこれに次ぐ7161万枚となっており、アクティブユーザーは楽天Edyよりもはるかに多いと言われています。
もし、普及率が高く利用も多いSuicaで仮想通貨チャージができるようになれば、キャッシュレス化は大きく前進すると考えられます。
鉄道やバスの運賃の支払いと紐づけることで、電子マネーの利用は急速に広がりました。
これと同じように、仮想通貨が支払い手段として普及し、日常生活に溶け込むにあたって、Suicaとの連携は非常に大きな意味があるでしょう。
このような動きがあれば、シェアが最も高い楽天Edyでも、仮想通貨と連携する可能性が高いです。
ディーカレットと同じ日に、楽天ウォレットも仮想通貨交換業者として登録されています。発行元の楽天グループは、楽天Edyと仮想通貨を紐づけ、相乗効果を図ると考えられます。
ただし、Suicaが仮想通貨チャージに対応すると言っても、ビットコインなどの特定の仮想通貨でチャージできるようにするのではなく、日本円の価値と連動する独自のステーブルコインが使われると考えられます。
ビットコインなどの仮想通貨は、まだまだボラティリティの大きさが問題となっているため、Suicaのように日常生活で安定的に利用される媒体との紐づけは難しいからです。
それでも、キャッシュレス化の促進につながったり、仮想通貨を決済手段として違和感なく認識する人が増えたり、仮想通貨業界にとっては良い影響が出てくるはずです。
まとめ
先日、筆者がタクシーに乗ったとき、決済手段一覧の中にPayPayが含まれていました。
PayPayのユーザーは増えていますし、CMなども盛んに打っていますから、キャッシュレス化は着実に進んでいるなと思いました。
ところが、運転手さんに「PayPayで払う人はいますか?」と聞いたところ、「一人もいませんよ」とのこと。
まだまだキャッシュレス化を推進する側と、一般消費者には温度差があると感じています、
しかし、SuicaとPayPayでは、普及率もアクティブユーザーの数も全く異なります。
今回の報道のように、Suicaが仮想通貨チャージに対応すれば、キャッシュレス社会への大きな一歩になるでしょう。