支払い手段としての仮想通貨を具体的に掘り下げる

仮想通貨の活用

仮想通貨に対して、単なる投資のための商品の一種という印象を抱いている人が少なくありません。

しかし、仮想通貨は投資のために作られたものではなく、あくまでも通貨として作られたものであり、私たちが普段使っている現金と同じように、支払いにも使えるものなのです。

本稿では、仮想通貨での支払いが今後どのように広がっていくか、またどのように支払うのかといったことを解説していきます。

仮想通貨は支払いにも使える

仮想通貨と言えば、投資の一つと認識されていることが多く、人によっては「怪しげな投資のハナシ」として考えることもあります。

実際に現時点では、仮想通貨の主要な利用方法は投資であり、それ以外の用途に利用されることはそれほど多くありません。

しかし、仮想通貨は「通貨」であり、改正資金決済法によって決済手段として法律でも認められているものです。

私たちが普段から利用しているお金と同じように、様々な手段で活用することを目的として作られたもので、決して投資のためだけのものではありません。

したがって、今後仮想通貨が受け入れられていくにつれて、日常生活のなかで仮想通貨を利用する機会も増えていくと思います。

普段の買い物の際に、レジで仮想通貨によって支払いをしたり、仮想通貨を振り込んだりするようになる時代が、もうすぐそこまで来ているのです。

仮想通貨での支払いには、色々なメリットがあります。

もちろん、お店側にもメリットがあります。

例えば、お店で会計の際にクレジットカードを利用すると、お店はクレジットカード会社に対し、3~5%程度の手数料を支払うことになります。

これに対し、ビットコインで支払った場合には、お店が負担する手数料は1%程度となっています。

お店側にもこのようなメリットがあるため、徐々に導入が進むと考えられています。

仮想通貨は浸透するか?

特に、この傾向は欧米で顕著です。

なぜならば、欧米では日本以上にクレジットカードやデビットカードが浸透しており、少額の支払いにも対応しているため、現金をほとんど持ち歩かない人もいるほどです。

したがって、クレジットカード以上のメリットを持ち合わせている仮想通貨の浸透は、いち早く進むものと考えられます。

アメリカは、特に先進的です。

アメリカでは、すでにAmazonや楽天での決済の際に、ビットコインが利用できる体制が整っています。

楽天の方針では、今後ドイツやオーストラリアでもビットコインの決済に対応していくそうです。

となれば、日本でもビットコインによる決済が、あと数年のうちに始まる可能性はあるでしょう。

日本では、一定額以上でなければカードで決済できないこともありますから、ヨーロッパほどにカード主義の人が多くありません。

したがって、仮想通貨の浸透も、やや遅れをとるかと思います。

それでも、2020年には東京オリンピックが開催されるため、それまでに現金以外での決済手段をもっと浸透させるべきだという意見もたくさんあります。

このことから、東京オリンピックを機に、日本でも早い段階で仮想通貨による支払いが浸透してくることになるかもしれません。

日本の企業を見てみると、リクルート、三菱UFJキャピタル、SBIインベストメントなどの有名企業がビットコイン取引所に出資しています。

出資の理由は、取引所自体が会社として成長する可能性があり、そうなれば出資しただけ利益が得られるからです。

また、株主になっておけば、自社が仮想通貨を用いた事業を展開していく際に、業務提携が容易となります。

つまり、これらの有名企業が仮想通貨取引所に出資しているということは、ある意味では今後の展望として、仮想通貨を取り入れた事業を展開していく可能性があるということです。

すでに有名企業が、出資という具体的な行動を起こしていることを見ると、仮想通貨の今後の浸透が、より現実味を帯びてくることでしょう。

世間の仮想通貨への期待は、私たちが思っているよりも、かなり大きいものなのです。

有名企業の動きは以上の通りですが、小さなところでいえば、東京の有名な飲食店はもとより、地方でも既にビットコインでの支払いに対応している店があります。

今後も、この流れは広がっていくと考えてよいでしょう。

仮想通貨での支払いのしくみ

仮想通貨で支払いをするためには、まず仮想通貨の取引所に口座を開設する必要があります。

口座を開設し、入金し、仮想通貨を購入することで、口座のウォレットには仮想通貨の保有データが記録されます。

ここまでは、株式投資などと大差ありません。

ウォレットに記録された仮想通貨によって支払いを行なう際には、その仮想通貨での支払いを申し出て、手続きを行ないます。

例えばビットコインならば、ビットコイン専用のスマホアプリをスマホに入れておき、そのアプリを操作することで支払います。

支払いを済ませると、ビットコインの口座から自動的にビットコインが引き落とされます。

この仕組みは、事前に現金を入れておき、決済の度に引き落とされていくデビットカードに似ているといえます。

ちなみに、当然のことではありますが、支払いを受けるお店側も仮想通貨取引所に口座を開設し、ウォレットを持っています。

消費者が仮想通貨で決済すると、消費者のウォレットからお店のウォレットに、仮想通貨の暗号が送られ、お店のウォレットに代金分の仮想通貨が入る仕組みです。

支払額の計算方法

では、仮想通貨での支払額はどのように計算されるのでしょうか。

仮想通貨は、需給関係に応じて、常に価格が変動していくだけに、ちょっとイメージがつきにくいかもしれません。

例えば、現在1BTCが30万円の価格であったとします。

その時、ビットコインで支払いができるお寿司屋さんで、3万円の食事をしたとしましょう。

その時、3万円の代金をビットコインで支払うならば、

3万円(代金)÷30万円(1BTCあたりの価格)=0.1

となり、0.1BTCがウォレットから引き落とされることになります。

また、1ヶ月後に1BTCの価格が25万円に変動していたとします。

その時、同じお寿司屋さんで同じく3万円分の食事をしたならば、ビットコインの支払額は、

3万円(代金)÷25万円(1BTCあたりの価格)=0.12

となり、0.12BTCの支払いとなります。

このように、仮想通貨で支払いをする際には、支払い時点における仮想通貨の価格によって支払額が変わることになります。

円と仮想通貨、どっちで支払うのが得か

仮想通貨の価格は常に変動しているならば、支払うタイミングによって、ウォレットから引き落とされる仮想通貨の額が変わってくるということです。

そのため、仮想通貨で支払うのか、それとも円で支払うのかによって、損得の差が出てきます。

例えば、1BTCが25万円の時にビットコインを購入していた人が、25万円の支払いをする場合を考えてみましょう。

支払い時点で、1BTCの価格が25万円であれば、購入時点と変わりませんから、実際に負担した円も25万円となり、プラスマイナスゼロの状態です。

しかし、1BTCの価格が30万円に上がっていたならばどうでしょうか。

25万円分の支払いをしたとき、ウォレットから引き落とされるビットコインは0.833333…BTCとなります。

つまり、25万円分の買い物をしているのに、実質的な負担はそれ以下になって、お得に買い物ができたということです。

ただし、逆パターンもあります。

支払い時点で1BTCが20万円にさがっていた場合、1BTCの支払いでは25万円の支払いができません。

これでは、ビットコインで支払うと損をすることになります。

このことから、

“#eee” radius=”20″]仮想通貨の購入時点の価格から、現時点で値上がりしていた場合には仮想通貨での支払いがお得であり、値下がりしていた場合には仮想通貨での支払いは損になるから、現金で支払った方がよい。

ことが分かります。

これは、外国為替と同じだと考えるとわかりやすいでしょう。

例えば、アメリカへの旅行を計画している人は、米ドルが安い、つまり円高ドル安のタイミングで円をドルに替えておき、アメリカに行ってからそれを使えば得をすることになります。

これと同じように、仮想通貨も安い時に買っておき、価格上がってから支払いに使えば、お得に買い物ができます。

したがって、円と仮想通貨のいずれかが絶対にお得というのではなく、支払うタイミングによってどちらかがお得になると考えてください。

支払でリスクを負わない方法

しかし、仮想通貨の価格が下がったときに支払えば損というならば、仮想通貨を買うことそのものに抵抗を抱く人もいることでしょう。

それでも、今後は仮想通貨での支払いをすればお店からサービスが受けられるなどの可能性もあります。

したがって、仮想通貨を長期にわたって保有したくないものの、仮想通貨による支払いはしていきたいと考える人もいると思います。

そこで、値下がりのリスクを負わずに、仮想通貨で支払いをする方法があります。

それは、仮想通貨取引所の口座に円を入金しておき、支払う直前に仮想通貨を購入して支払いに充てるという方法です。

仮想通貨は24時間購入が可能であり、支払う直前に買えば大きく価格が変わって損をする可能性も極めて低いです。

そして、ごく小さい単位から買うことができますから、支払いに必要な分だけ購入することができます。

まとめ

本稿で解説した通り、徐々に仮想通貨での支払いが広まってきており、日本では2020年の東京オリンピックを機にもっと広がってくる可能性があります。

現在は投資がメインとなっていますが、数年後には決済手段としての活用がメインになっているかもしれません。

また、仮想通貨での支払いによって、お得に買い物ができる可能性もあります。

ただし、損な買い物になる可能性もありますから、現金と仮想通貨の使い分けなどをきちんと知った上で利用するのが好ましいでしょう。

 

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