ヨーロッパでは、オーストリアにおいて、1800支店の郵便局が仮想通貨の購入窓口となりました。
生活に密着している「郵便局」と言う存在が仮想通貨を取り扱うことによって、オーストリアでは仮想通貨がもっと身近なものになっていくことと思います。
本稿では、オーストリアのこのような取り組みを見ていきます。
オーストリアでは郵便局で仮想通貨が購入できる
世界における仮想通貨の先進国を上げるならば、アメリカ、中国、ヨーロッパ諸国があげられるでしょう。
公共事業と結びつくケースも少なくありません。
公共事業と結びつくということは仮想通貨が非常に高い信頼性を獲得したことの証拠と言えます。
日本でも、電気料金の支払いをビットコインでできる仕組みが作られています。
仮想通貨先進国のオーストリアでは、2017年7月、郵便局と仮想通貨取引所であるBitpandaとの提携を発表しました。
この提携によって、オーストリア全土の1800支店において、ビットコイン、イーサリアム、ライトコイン、ダッシュの購入が可能となりました。
これは、非常に大きなメリットがあるといってよいでしょう。
このような購入窓口がなければ、仮想通貨を購入したいと考える人は、仮想通貨取引所に口座を開設して購入するのが一般的なルートになります。
しかし、仮想通貨取引所は不正をしてしまったり、破たんしてしまったりしたケースもありますから、まだまだ信用できない人も多いものです。
しかし、人々の生活に密着してきた郵便局で仮想通貨が提供されることになれば、安心して購入する人も増えることと思います。
これによって、仮想通貨の普及に拍車がかかる可能性は高いでしょう。
今回の提携先となったBitpandaは、2014年に設立された取引所であり、オーストリアのウィーンに本社があります。
30万人以上の顧客を抱えており、取引量は約2億ユーロに達しています。
郵便局としては、今後の仮想通貨の普及の波に乗る狙いがあり、Bitpandaとしては、利用者と取引量を増やしていく狙いがあります。
また、このサービスでは、仮想通貨にまつわる怪しげなイメージを払しょくすることにも役立つことでしょう。
Bitpandaの設立者であるエリック・デトゥス氏も、
デジタル通貨は、私たちの日常生活の中心を担っていくことになるでしょう。従来の通貨と何ら変わるところはありません
と言っていますが、怪しげなイメージが全くないならば、このような発言は出てこないはずです。
やはり、怪しげなイメージがつきまとうことは、取引所としても解消すべき問題であり、そのために郵便局と提携したという側面は強いと思います。
利用方法は実にシンプルで誰でも簡単に購入できる
また、郵便局で仮想通貨を購入するとき、非常に簡単に買えるのも特徴の一つと言えるでしょう。
オーストリアの郵便局の窓口で仮想通貨を購入する際には、紙媒体の「バウチャー」を買います。
バウチャーとは、様々なサービスに利用できるクーポン券のことであり、50ユーロ、100ユーロ、500ユーロから選んで買うことができます。
発行されたバウチャーは、利用の際に掲示することで、買い物やサービスの利用に使うことができます。
日本でいうならば、引換券のようなものだと考えると良いでしょう。
購入後、Bitpandaのウェブサイトにアクセスし、ビットコイン、イーサリアム、ライトコイン、ダッシュの4つの暗号通貨から選択し、バウチャーごとにコードを受け取ります。
この際、身元確認の必要はなくメールアドレスさえあれば手続きができてしまいます。
ただし、ユーザーアカウントにはそれぞれスターター、ブロンズ、ゴールドの3つのレベルが適用されており、アカウントのレベルによって、毎日売買できる仮想通貨の数量が決まります。
レベルが高くなれば、1日当たりに売買できる仮想通貨の上限が引き上げられていくという寸法です。
ネットの仮想通貨取引所でオンライン取引するのではなく、郵便局で取引をする場合にはオフラインでの取引になるわけですが、オフラインの取引手数料はオンラインの手数料と同じく、3%に保たれています。
Bitpandaでは、郵便局との提携によって、取引高を200万ユーロ増やすことを目的としています。
手数料が3%ですから、取引高が200万ユーロ増えることによって、Bitpandaの手数料収入は6万ユーロも増える可能性があるということです。
もちろん、仮想通貨が普及していくにつれて、郵便局でのオフライン取引高が増えていけば、それに応じて手数料収入も増えていき、Bitpandaの売上は伸びていくことでしょう。
仮想通貨の普及は世界中で始まっている
今回のオーストリアのように、仮想通貨をバウチャーで利用可能としたサービスは、実は他国でも見られます。
例えば、韓国のスタートアップ企業であるコインプラグでは、コンビニでビットコインを販売しています。
Okbitcardsというバウチャーをコンビニで買うことが可能であり、これを全国の様々な施設で利用することができます。
カナダでも、同様のサービスが見られます。
オーストリアのお隣のスイスでも、連邦鉄道会社のSBBにおいて、発券機でのビットコインの販売を始めています。
これらのことから、世界中で仮想通貨の普及が、大々的に始まっていることが分かります。
郵便局、銀行、鉄道など、様々な機関で仮想通貨の取組みが行われているのです。
仮想通貨を日常生活で当たり前に使う世の中は、思っているよりもずっと早く訪れるかもしれません。
日本の報道ではなかなか報じられないため、仮想通貨の普及はまだまだ先のことのように思ってしまうのですが、その認識は遅れているといえるでしょう。
国内だけに目を向けていたのでは、なかなか実情を掴み切れないものです。
だからこそ、世界の仮想通貨市場の実態にも目を向けることで、仮想通貨投資も有利に進めることができるのではないでしょうか。