SBIホールディングスが、決済に特化した独自の通貨として、Sコインを発行する計画を発表しました。
同時に、Sコインによる決済用プラットフォームの開発にも着手するようです。
では、Sコインとはどのようなものなのでしょうか。
同じく決済に便利な仮想通貨として、リップル社が発行するXRPとは何がどう違うのでしょうか。
日本円に代わる決済手段?Sコインプラットフォームとは!
SBIホールディングスは、9月28日、独自の仮想通貨であるSコインを発行することを発表しました。
それに伴い、Sコインによる決済を可能とするプラットフォーム構築プロジェクトを設立したことも発表しています。
公式ページによると、政府が2027年までにキャッシュレス決済(現金のやり取りを伴わない決済)の比率を40%に引き上げることを目指していることを受け、地方自治体や企業が独自の通貨を発行するようになる流れを見据えて、Sコインプラットフォームの構築を目指すとしています。
Sコインプラットフォームを使うことで、地方自治体、企業、金融機関は、独自の仮想通貨を発行するためにコストをかけずとも、それぞれのニーズに合わせたコインを発行できるようになり、またコイン同士の交換もできるようになります。
上記の図をみると、よりイメージが湧くと思います。
SBIは株式会社Orb(OrbはSBIホールディングスの子会社である、SBIインベストメントから出資を受けている)と共同でプラットフォームを開発し、それを自治体や企業や金融機関に提供することによって、地域のトークン、Sコインその他の仮想通貨、電子マネーなどを交換できる仕組みを作ろうとしているわけです。
現時点では、Sコインの詳細はまだ公開されていません。
しかし、日本円と等価のものとすることによって、日本円に代わる決済手段として普及させていきたいと考えているようです。
そうであるならば、米ドルと等価のTetherに似たようなものなのかもしれません。
もっとも、これはSコインが先駆けとなっているものではなく、メガバンクや地方銀行ではすでに、日本円と等価の仮想通貨を発行することを計画しています。
発行元が違う、日本円と等価の仮想通貨が乱立するのでは?とも思えますが、その辺の整備は時間と共に進んでいくことと思います。
また、このような中央集権的な仮想通貨が決済手段として普及すれば、法定通貨に代わる画期的な決済手段として見られている、非中央集権的なビットコインの役目や意義はどのように変化していくのでしょうか。
今後ますます、「非中央集権的vs中央集権的」の構図を観察していく必要があるでしょう。
リップルコイン(XRP)との違いは?
ここで気になるのが、送金・決済に特化している仮想通貨として最も有名なXRPとの違いです。
SBIホールディングスはリップル社に11%の比率で出資していますから、XRPを使えばよさそうなものですが、そうではなくSコイン発行とはどうしたことか、という疑問がわいてきます。
中には、リップル社に出資しているのは事実だとしても、XRPを大量に保有しているという発表はないため、SBIホールディングスはXRPをあまり保有していないのではないかという噂も流れています。
この噂には、かなり信ぴょう性があるといえます。
まず、SBIホールディングスは独自の仮想通貨を発行せずとも、リップル社に出資しているわけですから、提携してXRPを使うこともできたのですが、それをせずに独自の仮想通貨を発行しようとしています。
なぜ、XRPではなくSコインなのかと言えば、まだ憶測にすぎませんが、XRPよりも利便性の高いものを開発しようとしているのではないでしょうか。
XRPは、現時点では銀行間送金など、企業対企業の決済を目指しています。
しかしSコインでは、企業間決済にも使えますし、日常的な決済にも使えることを目指しています。
これによって大きな金額でも小さな金額でも、決済コストを大幅に軽減することができます。
また、Sコインを介して地域トークン、他の仮想通貨、電子マネー、そしておそらく法定通貨などとの互換性を持たせることができれば、かなり便利なものとなるでしょう。
もちろん、リップル社CEOへのインタビュー記事などを読んでみると、リップル社でも長期的な計画があり、徐々にXRPを活用できる範囲を広げていくとしています。
リップル社では、すでにSコインのような普及は想定しており、それに向かって進んでいる可能性もあります。
まとめ
Sコインの詳細は、まだ分からないことが多く、本稿では主にSBIホールディングスの発表や日経新聞の記事、海外のニュース記事などを参考にしながら、大まかなことをお伝えしてきました。
今後も、詳しいことが分かれば随時お伝えしたいと思います。