コインチェックが取り扱うアルトコインのうち、モネロ(XMR)、ジーキャッシュ(ZEC)、ダッシュ(DASH)の匿名通貨の取り扱いを打ち切ることを検討しているようです。
匿名通貨の取扱いを廃止することによって、金融庁の登録許可を受けることが目的だろうと噂されています。
本稿では、その噂の真相と価格への影響などについて解説していきます。
coincheck(コインチェック)匿名通貨廃止へ
何かと話題に上るコインチェックですが、3月17日のニュースで、コインチェックが匿名通貨の取り扱いを打ち切ることを検討していると報じられました。
コインチェックが取り扱っているアルトコインのうち、モネロ、ジーキャッシュ、ダッシュの3種類の匿名通貨が対象になります。
この廃止の背景には、仮想通貨取引所の登録許可に関係があると思われます。
日本では、仮想通貨取引所として運営するためには、仮想通貨交換業者登録を行う必要があります。
登録を許可された取引所は、金融庁に認められたと考えることができ、ひいてはその取引所で取り扱われている仮想通貨も、金融庁に認められたといえるでしょう。
コインチェックはこれまで、登録許可がなされていない「みなし業者」の状態で運営を続けています。
これは、先日のネム流出事件の影響というわけではなく、事件以前から正式な登録許可を受けるに至っていない状況でした。
なぜ正式な登録許可を得られないかということは明らかになっていませんが、ネムが流出するようなセキュリティ体制の甘さに加え、取り扱っている仮想通貨にも問題があると考えられています。
コインチェックの正式な登録を認めると、金融庁はコインチェックが取り扱う様々なアルトコインを認めることとなり、それが登録許可を鈍らせていたといわれています。
今回、コインチェックが上場廃止を検討しているモネロ、ジーキャッシュ、ダッシュの匿名通貨は、匿名性が有効活用できるとして大手金融機関から注目されている一方で、マネーロンダリングや脱税、闇市場での活用などが問題視されてきました。
金融庁(つまり国)としてそれを認めることは躊躇して当然であり、これがコインチェックの登録許可が認められない一要因になっていたと考えるのが妥当でしょう。
特に、日本は仮想通貨に対して先進的な国です。
仮想通貨の普及や、国民の関心度や理解度という意味ではまだまだ進んでいるとは言えない状況ですが、少なくとも国の取り組みとしては進んでおり、仮想通貨を法的に管理していくことを目指しています。
そんな日本において、悪用されかねない匿名通貨を取り扱うコインチェックを認めることは簡単なことではなかったのでしょう。
もともとみなし業者であったコインチェックは、ネム流出事件によってセキュリティの甘さを露呈し、登録許可はさらに遠のいたといえるでしょう。
コインチェックの事件によって、これから仮想通貨投資を始める人は、取引所選びに慎重になっています。
大きな事件で話題となり、セキュリティが甘いというイメージが付いてしまい、しかも国が正式に許可していないとなれば、積極的にコインチェックに新規登録しようとする人はあまりいないと思います。
だからこそ、匿名通貨の取り扱いを打ち切るなど策を講じ、なんとか国のお墨付きをもらい、巻き返しを図る準備をしているのだと思われます。
コインチェックの上場廃止が匿名通貨の価格へ与える影響
ここで気になるのが、匿名通貨の価格への影響です。
現在の仮想通貨の一つの傾向として、規模が大きい取引所に上場されれば価格が暴騰し、逆に廃止されれば価格が暴落する傾向があります。
これは当然のことで、規模が大きい取引所に上場されればその仮想通貨の流動性が増えて価格が上昇し、逆の場合には流動性が減って価格が下落するというわけです。
そう考えると、日本国内では大手と言われているコインチェックで、モネロ、ジーキャッシュ、ダッシュの三通貨が廃止されれば、価格は下落するものと思われます。
その一方でコインチェックの上場廃止は、各匿名通貨にほとんど影響がないとする意見もあります。
その理由は、ネム流出事件以降、コインチェックはまだこれらの匿名通貨の売買を再開していないためです。
実際、今回の報道直後には、モネロとダッシュは少し上昇し、ジーキャッシュは少々下落したといった動きとなっています。
なお、コインチェックはこれらの匿名通貨を打ち切るにあたり、顧客から預かっている各匿名通貨を一定額で買い取る、あるいは本人確認の上で出金に応じる予定であるといわれています。
まとめ
コインチェックの方針をみると、ネム流出事件によって毀損した信頼を取り戻すための最善の方法として、国のお墨付きが欲しいと考えているように思われます。
今回の発表は、現時点においては匿名通貨の値動きに大きな影響を与えるものではありませんが、今後の値動きにも注目しておいた方が良いでしょう。
あくまで個人的な見解ですが、コインチェックで匿名通貨の上場廃止となれば、ビットフライヤーなどの日本の仮想通貨取引所で取扱う可能性は極めて少なくなると予測され、やはり各匿名通貨は一時的に下落するのではないかと考えています。