仮想通貨市場に大きな影響を与えて来た中国政府が、5月17日、仮想通貨に対する格付けを行ないました。
その格付けの結果を見てみると、ビットコインやリップルがかなり下にランク付けされているなど、驚きの結果となっています。
本稿では、中国政府が公表したランキングと、簡単な考察をお伝えしていきます。
中国政府が仮想通貨の格付けを発表
5月11日、中国で仮想通貨の格付けが行われると発表されて話題になりました。
これは、中国政府が仮想通貨とブロックチェーンプロジェクトについての格付けを行うとしたもので、民間の機関の格付けではなく、国家による格付けとのことで注目を集めていたのです。
中国の狙いは、国家的な評価基準でのランク付けをすることによって、ブロックチェーン技術の効率的な発展を目指すとのことでした。
中国政府は、仮想通貨に厳しい規制を行っていますが、ブロックチェーン自体は技術的に有用であると認めています。
今回のランク付けの対象となる仮想通貨は、
- プロジェクトが独立したブロックチェーンを持っていること
- ノードを自由に生成できること
- コードがオープンソースとして公開されていること
- ブロックチェーンエクスプローラーが公開されており、ブロック情報を簡単に追跡できること
- オープンなウェブサイトがあり、チームメンバーとコンタクトが可能であること
が条件となっています。
実際の格付け一覧表
では、実際の格付けはどうなったかというと、以下の通りとなっています。
ランク | プロジェクト名 | 技術性 | 応用性 | 革新性 | 点数 |
1 | イーサリアム
Ethereum |
80.3 | 23.7 | 25.4 | 129.4 |
2 | スティーム
Steem |
82.6 | 9.4 | 23.9 | 115.9 |
3 | リスク
Lisk |
64.4 | 20.9 | 19.5 | 104.8 |
4 | ネオ
NEO |
69.2 | 26.6 | 7.3 | 103.0 |
5 | コモド
Komodo |
60.3 | 12.8 | 28.5 | 101.5 |
6 | ステラ
Stellar |
70.8 | 18.1 | 11.8 | 100.7 |
7 | カルダノ
Cardano |
60.3 | 13.7 | 24.3 | 98.2 |
7 | アイオータ
IOTA |
65.9 | 14.9 | 17.4 | 98.2 |
9 | モネロ
Monero |
65.7 | 11.1 | 15.8 | 92.6 |
10 | ストラティス
Stratis |
60.2 | 19.3 | 12.2 | 91.7 |
11 | クアンタム
Qtum |
58.3 | 22.8 | 10.0 | 91.0 |
12 | ビットシェアーズ
BitShares |
71.6 | 12.3 | 7.0 | 90.8 |
13 | ビットコイン
Bitcoin |
39.4 | 13.1 | 35.6 | 88.1 |
13 | ヴァージ
Verge |
66.1 | 10.9 | 11.1 | 88.1 |
15 | ウェーブス
Waves |
58.2 | 12.3 | 16.0 | 86.5 |
なお、点数までは公開されていないものの、これに以下のコインが続き、28位まで公開されています。
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16、イーサリアム・クラシック(Ethereum Classic)
17、リップル(Ripple)
18、ダッシュ(DASH)
19、シアコイン(Siacoin)
20、バイトコイン(Bytecoin)
21、ライトコイン(Litecoin)
22、アーク(ARK)
23、ジーキャッシュ(Zcash)
24、ナノ(Nano)
25、ビットコイン・キャッシュ(Bitcoin Cash)
26、ディークレッド(Decred)
27、エイチキャッシュ(Hcash)
28、ネム(NEM)
以上のようなランキングになっています。
驚くべきことは、時価総額とこのランクにほとんど相関性がないことです。
時価総額第1位のビットコインは13位に過ぎず、後発のアルトコインに大きく差をつけられています。
ビットコインから生まれたビットコイン・キャッシュは、ビットコインの神と言われるロジャー・バー氏にさえ、
ビットコイン・キャッシュは、ナカモトサトシの理念に最も近い仮想通貨だ
とさえ言わしめた仮想通貨ですが、中国政府はそうは見ていないようで、25位にランキングされています。
このほかにも、将来性を強く期待されているリップルが17位であること、ビットコインを金とするならばライトコインは銀だと言われるライトコインが21位であること、度々話題になりながらも期待を背負っているネムが28位に過ぎないことなど、日本で有名な仮想通貨は散々な結果になったと言えます。
それでも、イーサリアムだけは期待を裏切ることがありませんでした。
イーサリアムは技術的に素晴らしいものがあり、ビットコインよりも優れており、早晩時価総額でも1位になるだろうなどと言われることもあります。
そのイーサリアムは、中国政府からも技術性・応用性・革新性を高く認識されており、堂々の1位にランクインしています。
確かに、今回の格付けでは技術性、応用性、革新性を基準に格付けされているため、ビットコインのランクが落ちてしまうのも仕方のないことでしょう。
ビットコインへの評価は、この格付けを待たずとも、「すでにビットコインは後れを取り過ぎている」というような評価が散見されていました。
それが、今回の格付けである程度決定的になった印象があります。
ランキング上位には、比較的新しい仮想通貨もランクインしていることから、仮想通貨業界は、技術的に優れているならば、ある程度は時価総額に関係なく評価される世界だと言えます。
今後どうなっていくか分かりませんが、今のランクが1年後には大きく変わっているということも十分にあり得ます。
まとめ
中国政府の発表した今回のランク付けをどの程度まで信頼するかを判断するのは難しいですが、仮想通貨市場にいつも大きな影響を与える中国政府の発表ですから、決して無視できるものではないでしょう。
日本人にとってなじみの深い仮想通貨の多くが、今回のランク付けでは技術的に劣っていると評価をされたわけですが、その事実を正面から受け止め、今後の投資判断に活かしていくことが重要でしょう。