中国の洪水がビットコイン価格に与えた影響とは?

ビットコイン(BTC)

今月18日、四川省で洪水被害が発生しました。

現時点では、四川省の洪水による被害状況は、詳細があまり報じられておらず、被害状況を具体的に数値化した情報もありません。

これは、四川省が山岳地帯に位置しており、被害の状況がスピーディに伝わらないことが大きいと考えられます。

しかし、21日、中国大手メディア8BTCの創業者のツイートによって、マイニング施設が洪水被害に遭っていることが分かりました。

本稿では、四川省の洪水被害、仮想通貨市場への影響、自然災害と仮想通貨の関係などについて解説していきます。

四川省の洪水被害

四川省は、世界的にもマイニングファームが集中するエリアとして知られます。

ビットコインマイニングには膨大な電力を必要とし、マイニング事業者にとって電気代の負担をいかに減らすかが重要です。

四川省は、電力の供給量が豊富であり、また安価です。

これは、四川省では雨量が多く、山岳地帯であることから川の流れも速く、それを利用した水力発電が盛んであるためです。

特に、豊水期の電力は通常の半分以下にまで下がることもあります。

このため、電力代が主要コストとなるマイニング事業者が四川省に集中し、世界のマイニングシェアの50%を四川省が占めているというデータもあります。

したがって、四川省で洪水被害が起こったとき、当然ながらマイニング事業者にも影響が懸念されます。

洪水被害によって電力が不足したり、マイニングファームが直接的な被害を受けたりすれば、マイニング事業に悪影響を与え、ハッシュレートの低下を招き、ビットコイン価格の下落にもつながる可能性があるのです。

ビットコイン価格への影響

このニュースを受け、仮想通貨業界でも、洪水被害への注目がにわかに高まっています。

現時点では、被害の詳細は不明です。

マイニングファームが洪水によって被害を受けたとはいっても、電力供給が不足して事業に支障をきたしているのか、施設の浸水によって操業を停止しているのか、土砂崩れによって施設が倒壊したのか、といったことは伝わっていません。

しかし、川沿いに施設を構えていたり、コストカットのために簡易的な施設でマイニングを実施していたり、大規模な洪水によって被害を受けやすいマイニングファームが多かったことも事実です。

また、発電所の一部が洪水被害に遭っていることも徐々に分かってきています。

他の地域での洪水被害ならばいざ知らず、マイニングに関係の深い地域での洪水であり、仮想通貨市場への影響も懸念が出てきたことで、ビットコイン価格にも影響が出ています。

ビットコイン価格は、21日にこのニュースが伝わるまで、115万円程度で推移していました。

しかし、ニュース直後から急落し、22日15時現在では105万円台まで落ち込んでいます。

この下落は、主にハッシュレートの低下と、中小のマイニング事業者の廃業への懸念によるものです。

ハッシュレート低下の懸念

ビットコイン価格は、ハッシュレートと強い相関があり、ハッシュレートが上昇すればビットコイン価格も上昇すると考えられています。

これは、

 

マイニング報酬を得るためには、大量の電力を消費して、高性能のコンピューターを稼働させる必要がある。その結果、ハッシュレートが上がる。

これには多くのコストがかかるため、マイニング報酬として受け取ったビットコインの価値が、費やしたコストを上回り、採算が取れなければマイニング事業が成り立たない。

つまり、マイナーは採算性があると考えてコストを費やし、ハッシュレートを上げている。

マイナーはビットコイン価格に強気であり、その見通しが市場の好材料となり、ビットコイン価格も上がる。

 

ビットコインは非中央集権的性質を特徴としており、特定の国や組織によって管理されておらず、適正価格も明確ではない。

そのため、リスクに敏感であり、容易に乱高下する。

特に、ハッキングなどのシステム上の問題で下落することが多い。

ハッシュレートが上昇すれば、システム上の不安は後退し、ビットコインの信頼が高まり、価格も上昇する。

 

といった理由によります。

マイニングファームが集中している四川省で洪水被害が拡大し、マイニング事業に悪影響をもたらした場合、ハッシュレートが低下する懸念があります。

これが、ビットコイン価格の下落要因となります。

中小マイニング事業者廃業の懸念

さらに、中小マイニング事業者が廃業すれば、これもビットコイン価格に悪影響を与える可能性があります。

四川省では、大手マイニング業者だけではなく、中小規模のマイナーも拠点を構えています。

現時点では、マイナー1社あたり100万元(1500万円)の被害が推定されており、この被害によって廃業を余儀なくされるマイナーも出てくるかもしれません。

廃業に追い込まれた会社は、事業を清算する必要があります。

会社財産を処理するにあたり、マイナーはこれまでマイニングによって得たビットコインを売り払うことになります。

もし、今回の洪水の被害が想像以上に大きく、また今後も被害が拡大していくなどすれば、廃業に追い込まれるマイナーが増え、廃業・清算に伴うビットコインの売却が相次ぎ、市場において大きな売り圧力となる可能性があります。

現時点での懸念は小さい

もっとも、現時点では、被害への懸念はそれほど深刻ではありません。

21日、四川省の水文水資源勘測局は、洪水の警戒レベルを「弱警報」に設定し、警告を発令しています。

「弱警報」は、最も強い警戒レベルである「危険」、2番目に強い警戒レベルである「強警報」に続くレベルであり、警戒レベルとしてはまだ低いと言えます。

また、今回の被害は、2018年7月の洪水被害ほどではないとする証言もあります。

2018年7月8日から11日にかけて、四川省綿陽市では豪雨に見舞われました。

1951年以来最大の豪雨とも言われ、涪江本流では50年に1度の大洪水が発生。

一部の村が孤立したり、農地が甚大な被害を受けたりしました。

今回の洪水被害は、これに比べると被害規模が小さいとのことです。

しかし、現在の状況で再び大雨が降るなどにより、二次的、三次的な被害も考えられます。

その場合、マイナーの被害が拡大するのは勿論のこと、警戒レベルが引き上げられ、仮想通貨市場に警戒感が広がる恐れもあります。

そんな中、安心材料として注目されているのは、ハッシュレートが低下していないことです。

マイニングファームに甚大な被害が及んでいれば、ハッシュレートは大きく低下するはずです。最新(20日9時)のハッシュレートを見てみると、低下するどころか上昇を続けています。

このデータから、マイニングとハッシュレートへの影響はさほど大きくないとも考えられます。

とはいえ、被害の拡大も考えられるため、ハッシュレートの推移には注目しておく必要があるでしょう。

自然災害による懸念を示唆

今回の洪水被害は、現時点では大きな懸念がなかったものの、自然災害による仮想通貨市場への影響を考える、良い契機になると思います。

自然災害は仮想通貨だけではなく、多くの市場に影響をもたらします。

2011年、東日本大震災後に日本の株式市場が大幅に下落したことは記憶に新しいでしょう。

同じく2011年、日系企業が多く進出するタイで大洪水が起こった際にも、株式に大きな影響を与えました。

株式市場以外にも、自然災害や天候は作物の収穫量を左右し、穀物相場に影響を与えます。

自然災害の影響を挙げると、枚挙にいとまがありませんが、仮想通貨市場においても同様です。

マイニングファームは特定の地域に集中しているため、その地域で自然災害が起これば、市場に様々な影響をもたらします。

特に、マイニング事業者は安価な電力を必要とするため、マイニング事業の拠点として求める条件が特殊です。

四川省が選ばれるのも、

 

  • 人口密度が低い、発展途上のエリア(周辺住民への電力供給が少なく、マイニング事業に大量の電力を費やしても問題になりにくいエリア)
  • 降水量が多い、川の流れが速いなど、水力発電に有利なエリア

 

など、マイニング事業に好都合な条件がそろっているためです。

しかし、これらの条件はマイニング事業には好都合であっても、同時に問題を孕んでいます。

人口密度が低い発展途上のエリアでは、インフラの整備遅れており、災害への対策も不十分なケースが多く、洪水などの災害が起こった場合に、大きな被害を受けやすい、被害が拡大しやすいといえます。

そして、本来降水量が多く、川の流れが速いエリアであれば、洪水などの災害が起きやすくなります。なおかつ、四川省は丘陵・山岳地帯であることから、豪雨の際に土砂崩れなども起きやすいです。

ビットコイン価格に大きな影響を与えるマイニングが、このような条件のものとで行われていることを知れば、自然災害も投資の判断材料として役立てることができます。

環境の変化にも留意

これに加えて留意しておきたいのが、近年、世界的に水災害が増加していることです。

これは、環境の変化によるものとされています。

四川省だけではなく、世界的な水災害に目を向ければ、様々な地域で大規模な災害が発生しています。

フィリピンでは、2011年、2012年、2013年と3年連続で大型の台風に見舞われ、死者1000人を超える水災害が発生しています。

モンスーンによる豪雨の被害も深刻です。

2012年、パキスタンでは504万人以上が被災しており、2013年はインドとネパールにおいて、死者6000人以上の被害を受けています。

上記でも少し触れていますが、2011年のタイ大洪水の被災者は900万人を超えています。

このように、具体的な数値を見てみると、水災害による被害の規模は、大変に深刻なものであることが分かります。

損保ジャパン日本興亜リスクマネジメントの研究報告(2015年5月発表)によれば、自然災害の発生件数は常に増加傾向にあり、特に1960年代以降は急激な増加を見せています。

自然災害による経済被害も、1980年代以降に急激に増加しており、特に災害リスクの高い地域での増加が顕著です。

仮想通貨市場への影響を考えるにあたり、注目すべきは、自然災害の65%を気象・水関連災害が占めていることです(洪水32%、暴風25%、渇水6%)。

中でも、近年の洪水発生件数は、1980年代に比べて約3倍に増加しています。

自然災害とマイニングの関係を考えると、このような自然災害(特に水災害)の増加は、一つの懸念材料となるでしょう。

今のところ、大規模な水災害はマイニングと関係の少ない地域で起こっており、自然災害による仮想通貨市場への影響も限定的です。

しかし、自然災害の増加傾向の強さから、今後災害が減少に転じるとは考えにくく、むしろ今後も発生件数・被害規模ともに増加傾向を続けると考えるのが妥当です。

また、仮想通貨業界が発展したのは、ごく最近のことであり、マイニングファームが集中するエリアが大規模な災害に見舞われた場合にどの程度の影響を受けるのか、予測することも困難です。

このため、実際に大規模災害が発生したとき、予測しにくいだけに大混乱をきたし、実際の影響以上に暴落を見せることも考えられます。

仮想通貨投資を実践する投資家は、今回の四川省洪水をきっかけに、自然災害が仮想通貨市場に与える影響について、よく考える必要がありそうです。

まとめ

今回の四川省の洪水被害は、被害の状況が詳細に報じられておらず、またハッシュレートの低下も見られないため、市場に深刻な影響を与えているわけではありません。

それでも、ビットコイン価格が短期間で10万円程度の下落につながっており、今後の動向に注目しておく必要があります。

投資においては、損失を最小限に留めるためのリスクコントロールが必須であり、懸念されるリスクを正しく捉え、適切に対応していくことが重要です。

仮想通貨市場におけるマイナーの重要性、ビットコインマイニングの特殊性、自然災害の増加傾向などを理解し、しっかりとアンテナを張っておくことで、より適切な判断ができるでしょう。

コメント

タイトルとURLをコピーしました