ビットコインETFが取り下げへ。その理由と市場への影響は?

ビットコイン(BTC)

ビットコインの流動性を高め、仮想通貨の普及と市場の拡大に大きな影響を与えるとされているビットコインETFですが、今回、最有力と目されていたETFの申請が取り下げられました。

重要材料と見られていただけに、この動きに注目が集まっていますが、市場への影響は極めて軽微でした。

本稿では、ビットコインETFが取り下げられた理由と、市場への影響について解説していきます。

ビットコインETFが取り下げへ

ビットコインETFは、ビットコインの流通量を飛躍的に高める可能性があり、仮想通貨市場全体の拡大に大きな影響をもたらすと考えられています。

承認には期待が集まっていますが、これまで度々却下されてきました。

今回も、数あるビットコインETFの中でも最有力と目されていたビットコインETFの申請が取り下げられました。

このビットコインETFは、大手オプション取引所のCboeが申請していたもので、Van Eck/Solid版と呼ばれるビットコインETFです。

申請が取り下げられたのは、先日22日のことです。

SECが公開した文書には、申請が取り下げた理由について明記されていません。

取り下げについて、専門家の見解を見てみると、

 

  • 市場参加者と規制当局の連携が不十分であること
  • ビットコインETFと仮想通貨全体の市場構造が不完全にあること
  • これにより、申請が却下される事例が増え、将来的に悪い影響をもたらすことを懸念して、Cboeは申請を取り下げた

 

と見られています。

 

 

政府閉鎖の影響

また、Van Eck社のCEOであるJan Van Eck氏の発言によれば、アメリカで長引いている政府閉鎖が強く影響していると考えられます。

 

SECは現在、政府閉鎖の影響を受けている。

SECは、ビットコインETFの課題としてカストディ、市場操作のリスク、適切な価格形成のプロセスの三つを上げているが、政府閉鎖によって議論が止まってしまった。

政府閉鎖の影響によって、ビットコインETFが却下されてしまうよりも、申請を取り下げることを選んだ。

SECが再開したら、再び申請し、規制当局と議論を重ねていく。

 

政府閉鎖とは、政府が最低の機能を残して業務を停止することです。

閉鎖の原因は、国境の壁をめぐって大統領と議会が対立していることです。

アメリカでは現在、政府閉鎖の期間が史上最長を更新し続けており、様々な悪影響が懸念されています。

このまま閉鎖が続けば、SECでの議論が止まった状態で最終可否判断日(今年2月27日)を迎えることになります。

その場合、議論が不十分であることを理由として、申請が却下されるとの見方が強まっていました。

これを懸念して、ビットコインETFの申請を取り下げたということです。

 

 

市場への影響は軽微

最有力と目されていたETFの申請が取り下げられた場合、市場への悪影響が懸念されていましたが、相場への影響は軽微にとどまりました。

多少の下落はあったものの、値動きの幅は1万円程度で推移しています。

これまで、ウィンクルボス兄弟のビットコインETFが却下された際などに、相場が急落する局面もあったのですが、今回は特に目立った動きは見られません。

上記の通り、政府閉鎖の影響によってビットコインETFに関する議論が停止したことで、承認に至る可能性は極めて低いとみられていました。

これにより、申請の取り下げあるいは却下に至るものとする見方がすでに強かったため、市場がそれを織り込んでいたのでしょう。

 

ETF承認はまだまだ先か

SECがビットコインETFの課題として挙げているのは、カストディ、市場操作のリスク、適切な価格形成のプロセスの三つです。

Jan Van Eck氏によれば、すでにこれらの問題の解決策は、SECに対して提供しているとのことです。

どのような解決策であるのか、具体的なことは分かっていませんが、解決策について議論もままならない状況ですから、今回の取り下げに至っています。

政府閉鎖が解消された後、再度ビットコインETFを申請し、解決策についての議論も交わしていくようです。

この場合、判断の期限は最大240日の猶予をもった形で議論が始まります。

政府閉鎖が今後も長引く可能性があり、SECの判断は慎重であるため、早急な結論が出るとは考えにくいです。

となると、年内にビットコインETFが承認される可能性は低いと言えるでしょう。

 

ビットコインETFのジレンマ

また、上記の3つの課題以外にも、これまでETFを却下するにあたり、SECは

 

  • 詐欺行為や不正行為
  • 投資家と公共の利益の擁護

 

などを問題として挙げてきました。

これらの問題は、解決への動きがあるどころか、深刻になってきていると言えます。

市場操作の可能性を示唆する文書や報道も少なくありません。

価格操作の問題に対してJan Van Eck氏は、ビットコインの価格操作はグローバル規模で行う必要があるため、現実的ではないとしています。

しかし実際には、特定の取引所での価格操作が可能であり、なおかつ単一の取引所で起こった価格操作に世界の取引所が影響を受けていることから、Jan Van Eck氏の説明には説得力がないと指摘する声もあります。

さらに、仮想通貨の取引高はまだまだ小規模です。

他の資産との取引量を比較してみても、その差は歴然です。1日の取引量を比較してみると、

 

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金:ビットコイン=4,945,077,589,049:14,926,386,316(約331倍)

銅:ビットコイン=831,159,172,590:14,926,386,316(約56倍)

銀:ビットコイン=733,234,690,767:14,926,386,316=(約49倍)

プラチナ:ビットコイン=199,881,800,845:14,926,386,316(約13倍)

 

となっています。

これを見ても、ビットコインの取引高は非常に少なく、資金力によって価格が操作されるリスクは十分にあることが分かります。

ビットコインの出来高を押し上げるためには、まだまだ時間はかかるでしょう。

ビットコインETFの承認によって出来高が高まり、価格の上昇にも期待が集まっていますが、ビットコインETFが承認されない理由の一つが出来高というジレンマに陥っています。

 

 

まとめ

仮想通貨市場の低迷は長引いており、それを払しょくする大きな材料が待ち望まれています。

その材料として、最有力視されていたビットコインETFも取り下げに至りました。

2019年に入ってからも、市場は動きに乏しく、だらだらとした動きが続いています。

市場が回復するための大きな理由が見つかれば、急速に回復する可能性もあるため、今後も重要なニュースには注意していきましょう。

 

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