これまで、長く低迷を続けてきた仮想通貨市場ですが、2月18日から主要仮想通貨が軒並み堅調な推移を見せており、いつもとは異なる雰囲気になってきています。
最初に値動きを見せたのはビットコインであり、その動きがアルトコイン市場にも波及した形となっており、この点では普段とあまり変わらない値動きとなっています。
しかし、最近では珍しく全面高を記録しており、今もその動きが継続しています。
どのような影響から、今回の値動きになっているのでしょうか。
いよいよ、待ち望まれたトレンドの転換なのでしょうか。
主要仮想通貨の値動きまとめ
仮想通貨市場は、2月18日より力強い値動きが始まり、多くの仮想通貨が堅調な値動きを見せています。
長らく停滞を続けていた仮想通貨にも動きが見られ、20%以上の値上がりを見せた仮想通貨もあります。
ここ数日で買いが集まった、主要仮想通貨の直近の価格推移について、まとめてみました。
BTC | BCH | ETH | XRP | LTC | NEM | |
24h比 | 1.2% | 1.7% | 1.5% | 3.1% | 0.7% | 3.3% |
7d比 | 9.0% | 18.7% | 21.1% | 9.7% | 12.0% | 12.2% |
14d比 | 14.7% | 22.3% | 36.6% | 11.0% | 41.5% | 13.9% |
30d比 | 8.3% | 13.6% | 19.8% | 1.6% | 50.8% | -22.3% |
この値動きを見てみると、最近1ヶ月で主要仮想通貨の価格は軒並み堅調に推移していることが分かります。
XRPは軟調であるものの、出遅れと考えて今後値上がりする可能性があります。
なお、NEMは日本国内で人気が高いため、特別にまとめてみました。
表のデータから分かる通り、他の仮想通貨のように堅調な推移は見せておらず、ここ1ヶ月での大幅な下落を回復できていません。
値上がりの原因は?
今回の値上がりの原因として考えられているのは、投資家心理です。
もっとも、どのような投資でも、投資家心理を伴わない値動きなどあり得ないのですが、今回の仮想通貨市場においては、投資家心理の影響が顕著に表れたと言えるでしょう。
これまでにも、一時的に強い値動きが確認されたことがありましたが、その値動きはなかなか持続しませんでした。
これは、値動きが持続するだろうと言う投資家の期待が低く、早い段階で売り圧力が強くなったためです。
しかし、今回の値上がりでは、以下のような期待を持てる要素が確認されています。
VIX指数が低水準でありながら、出来高が増えている
VIX指数とは恐怖指数とも言われる指標で、投資家の恐怖真理を表す指標のこと。
VIX指数が上昇した場合に急速な下落が起きるとされている。
VIX指数が低水準であり、なおかつ出来高が上昇しているということは、市場の将来を楽観している投資家が多く、それにより出来高が増えたと解釈できる。
楽観視は楽観的な資金の流入につながり、価格の上昇を引き起こす可能性がある。
投資家心理は着実に変化しているとみることができる。
フラクタル構造の否定
フラクタル構造とは、自然界で多くみられる規則的な構造のこと。
雪の結晶や海岸線などが代表例。
相場のフラクタル構造といえば、相場における規則性のこと。
相場の一部分だけをみると、特殊な値動きをしているように見えても、全体の一部分としてみた場合、やはり規則的な動きになっていると言われる。
WボトムやWトップなどの規則的な値動きも、相場のフラクタル構造である。
相場の動きは気まぐれと言われるが、ほとんどは規則的に動いている。
稀に気まぐれに動くとき、多くの投資家が予想しなかった、規則性を否定する動きになることがある。
今回の仮想通貨市場の動きは、従来の仮想通貨市場におけるフラクタル構造とは異なる動きを見せている。
従来の値動きで考えると急落しているべき場面で上昇を続け、フラクタル構造の否定となった。
これも、低迷してきた値動きを転換させる可能性があるとして、投資家心理にポジティブな影響を与えている。
仮想通貨関連銘柄が好調
世界的にみて、仮想通貨関連企業の株価が大幅に上昇している。
例えば、
ライオットブロックチェーン(自社マイニングのほか、マイニング機器開発を手掛ける。ナスダック)・・・71%上昇
マラソンパテントグループ(特許権や知的財産権の取り扱いを本業とする一方、近年はマイニング事業にも取り組む。ナスダック)・・・46%上昇
オーバーストック・ドットコム(電子商取引大手。仮想通貨取引所設立の計画も推進中。ナスダック)・・・12%上昇
といった値動きである。
日本国内の仮想通貨関連銘柄を見ても、マネックスグループ、SBIホールディングス、GMO、フィスコなどの仮想通貨取引所銘柄がそれぞれ4~5%の上昇を見せている。
このような値動きも、今後の仮想通貨市場の盛り上がりに先回りした動きと見られ、投資意欲につながっている。
ビットコインの出来高は急増
P2PプラットフォームであるLocalBitcoins.comでは、ビットコインのOTC取引(店頭取引。取引所で不特定多数を相手に取引するのではなく、売り手と買い手が個人間で取引するもの)を提供しています。
LocalBitcoins.comのデータも、今回の値動きをポジティブに裏付けています。
18日の上昇に先立つこと約1週間の取引高を見ると、アメリカにおける出来高が前週の約4倍に跳ね上がっています。
OTC取引は、あくまでも個人間での取引であり、OTC取引での出来高が市場に大きく影響することは少ないとされます。
とはいえ、ごく短期間で出来高が4倍に急伸していることは、間違いなく異常事態です。
LocalBitcoins.comはこれまでにも、参考データとして取り上げられることがありました。
例えば、最近のベネズエラは国内情勢が非常に不安定であり、自国通貨がハイパーインフレ状態となったことで、仮想通貨の需要が大きく高まっています。
LocalBitcoins.comのデータでも、ベネズエラにおける取引高は急激に伸びていることが確認できます。
ベネズエラでの取引高が急激に伸びていた頃、世界的にはビットコインの取引高が低迷していました。
そこへ、先進国アメリカの取引高急増が起こり、少なくともここ数日では、途上国と先進国の双方でビットコインの需要が拡大していることが確認できます。
拡大解釈のきらいを恐れずに言えば、これを以て、世界的にビットコインの需要が伸びていると考えることもできるでしょう。
今後も、ビットコインの出来高推移は追っていく必要がありそうです。
その他のデータ
その他にも、注目すべきデータがあります。
まず、主要仮想通貨の取引について、先物取引と現物取引の乖離を見たところ、主要通貨の全てにおいてプラス乖離となっています。
簡単に言うと、乖離率がプラスの状態では買い圧力が強く、マイナスの状態では売り圧力が強いと考えます。
仮想通貨市場が低迷し、長期間にわたってマイナス乖離が続いていたのですが、18日から19日にかけてプラス乖離に転換しています。
これにより、相場転換の兆しが見えたとする見方もあります。
このほか、ビットコインのロングポジションが順調に増えたことも好材料と考えることができます。
bitfinexのデータに限って言えば、18日午後1時、ロングポジションの数が昨年3月水準にまで上昇しており、これも相場の盛り上がりを思わせる一幕だったと言えるでしょう。
まとめ
仮想通貨価格は、そもそも大きな変動を起こしやすく、今回の値動きも一過性のものかもしれません。
しかし、複数のデータから、これまでとは一味違う雰囲気を帯びており、期待する声も挙がっています。
この動きを過信することなく、今後も注視していく必要があるでしょう。
とはいえ、長く低迷を続けてきた市場にとって、心楽しい局面であることは間違いありません。