造幣局がないビットコインは、どうやって発行されているのでしょうか?
ビットコイン発行の仕組み、マイナーによるマイニング作業、発行量や単位について、ビットコインの発行にまつわる内容をまとめました。
はじめに
ビットコインという名称は随分と知られるようになりましたが、その仕組みはよく知らないという人も少なくありません。
そこで本稿では、ビットコインがどのようなものであるかを理解するための基礎知識として、発行の様子や、どうやって手に入れるかといったことを解説していきます。
ちなみに、本稿ではビットコインについて解説していきますが、これはビットコインが仮想通貨の中でももっとも取引量が多く、先を行っているからです。
他の仮想通貨についても、その仕組みは大同小異であると考えてください。
ビットコインの新規発行の仕組み
ビットコインは、ブロックチェーンによって管理されているものであり、システムに従って機能しており、管理者は存在しません。
多くのことがあらかじめ決められ、それに沿って動いています。
ビットコインの発行量についても、あらかじめ発行量の上限が決められており、供給量を勝手に増やしたり、減らしたりすることはできません。
では、どのような仕組みで新規発行されているのでしょうか。
新規発行されるビットコインは、マイナーという人々に発行されます。
マイナーとは採掘者の意味であり、ビットコインのネットワークであるブロックチェーンの維持に参加している人のことを指します。
マイナーになるための条件などはなく、誰でもマイナーになることができます。
ブロックチェーンの解説の際にも詳しく書いたことがありますが、ブロックチェーンはビットコインの運用開始から現在に至るまで、全ての取引履歴が記録され、また公開されています。
この情報の維持と管理を行なうのがマイナーの仕事です。
つまり、膨大な計算処理を通じて、ビットコインの取引が適正なものであるかどうかを判断し、ネットワークに承認する作業を行なうことで、ビットコインが報酬として支払われるのです。
ビットコインのシステムは、マイナーの存在によって維持されており、マイナーは受け取る報酬を目当てに維持活動に当っているのです。
マイナーに報酬として支払われるビットコインは、現在は1ブロックあたり12.5BTCと決められています。
初めは50BTCだったのですが、4年ごとに報酬が半減する仕組みになっており、これまでも50BTCから25BTCへ、25BTCから12.5BTCへと半減してきました。
ビットコインの発行量の上限は決まっており、2140年には上限に達する予定です。
その後、マイナーは新規発行されたビットコインを報酬として受け取ることはなくなります。
ならば、ブロックチェーンの維持は誰がするのかということですが、発行量が上限に足した後は、手数料だけを受け取ることによって、マイナーが継続して維持管理を行なう仕組みになるようです。
マイナーが行っている作業はどんなもの?
マイナーが行っている作業のことを「マイニング」と言います。
新規発行されるビットコインを受け取ることを採掘に例え、それに当たる人をマイナー(採掘者)、その作業をマイニング(採掘)と呼ぶわけです。
これは上記の通り、ビットコインの取引が適正であることを判断し、承認する作業です。
もしマイニングが行われなければ、世界中では様々な取引が行われているのですから、それがうまく管理されず、中には偽物の取引情報も入ってきて、ブロックチェーンが機能しなくなります。
これまで、インターネット上で取引が行われる際には、管理者がシステムの不正や不具合をチェックしていました。
しかし、ビットコインには管理者が存在しないのですから、マイナーがそれに当たることになります。
マイナーが行うマイニングのことを、プルーフ・オブ・ワークと言います。
これは直訳すると、「作業の証明」です。
コンピューターで膨大な計算処理を行なうことによって、条件を満たした数字の配列を見つけ出して承認作業を行なうのがマイニング作業だと考えてください。
取引の承認のためには、プルーフ・オブ・ワークに基づく合意が必要になります。
だからこそ、不正な取引をしようとしても不可能なのです。
マイナーは世界中にたくさん存在しています。
マイナーの報酬は、いち早くプルーフ・オブ・ワークを達成し、承認作業を完了したマイナーに支払われます。
したがってマイナーたちは、報酬のビットコインを得るために競争し、その競争で一番乗りになったマイナーにだけビットコインが支払われています。
ビットコインの発行量
ちなみに、上記の通り、ビットコインは2140年に上限に達する仕組みになっています。
世界中のどの国も誰もこの仕組みを変更することはできません。
ビットコインの発行上限は、約2100万BTC(正確には20999999.9769BTC)です。
この発行量に達したならば、それ以上の発行は不可能であり、ビットコインの価値は維持されることになります。
1ブロックのマイニングを達成したマイナーには、新規発行されたビットコインが12.5BTCあたえられます。
そして、21万ブロックごとに報酬が半減するようになっています。
徐々に新規発行量が減少していくため、2140年に上限に達するとはいえ、2033年には発行上限の99%に達するとされています。
ビットコインを手に入れるには?
ビットコインの運用が始まった直後は、ビットコインを手に入れたいと思えば、マイニング作業に当たることで、新規発行されたビットコインを手に入れるのが一般的でした。
しかし、現在では個人でマイニングを行なう人はほとんどおらず、会社や組織がマイニングを行なうようになっています。
中でも、規模の大きい組織や会社が寡占する状況が進んでいます。
マイナーの上位5社が、全マイナー報酬の半分以上を手にしているという状況です。
マイナーとして利益を挙げていくためには、高性能コンピューターが何台も必要であり、その維持には莫大な電気代がかかるため、電気代が安い中国で運営したり、冷却のためのエアコン代があまりかからない寒い地域で運営したりします。
かなり大がかりになるため、個人がマイニングに参加することは難しいのです。
新規発行されるビットコインが欲しいからと言って、皆さんが手元にあるパソコンで挑戦しても、ビットコインがもらえる可能性はほぼゼロと言ってよいでしょう。
そのため、個人がビットコインを手に入れるためには、取引所に口座を開設して、ビットコインを購入するのが最も一般的となっています。
取引所では、365日、24時間取引が行われており、円によってビットコインを購入することが可能です。
最低の購入単位は0.001BTCであり、2017年8月現在では1BTCの価格が約30万円ですから、約300円からの購入が可能ということです。
このほか、無料でビットコインが提供されるサービスを利用することも考えられます。
例えば、ビットコインの取引所に口座を開設する、取引所の運営会社が運営する通販サイトでビットコインで買い物する、ポイントサイトで貯めたポイントをビットコインに交換するなど、様々な方法でビットコインを手に入れることができます。
以上のように、ビットコインを手に入れるためには、マイニング以外の方法で手に入れるのが現実的であり、そのためにはビットコインを買うか、無料提供してもらえるサービスを利用するのが良いでしょう。
単位BTCについて
ちなみに、上記において、ビットコインの最小の購入単位は0.001BTCであると書きました。
私たちの生活では、最小単位は1円であり、0.001円などといった小数点以下の単位で取り扱うことがないため、ちょっとイメージが付きにくいかもしれません。
ビットコインの通貨単位は「BTC(ビットコイン)」です。
1BTCや10BTCのように、数字のあとにBTCを付けます。
2017年8月現在、1BTCの価格は約30万円となっています。
となると、もっと小さな単位でなければ、日常的な利用が非常に不便になってしまいます。
だからこそ、小数点以下の表記にして、1BTC以下の単位でも利用できるようにしているわけです。
すでに書いた通り、1BTCは現在約30万円です。
次に小さな単位が「mBTC(ミリビットコイン)」であり、これはBTCの1000分の1ですから、「1BTC=1000mBTC」となります。
1BTC当たりの価格は今後も上昇していくと考えられているため、mBTCという単位は今後頻繁に使われるようになってくると思われます。
mBTCより小さな単位は「μBTC(マイクロビットコイン)」であり、これはmBTCのさらに1000分の1です。
つまり、「1BTC=1000000μBTC」、「1mBTC=1000μBTC」ということです。
さらに小さな単位として、「Satoshi(サトシ)」という単位があります。
これは、ビットコインの考案者と言われている、正体は不明のナカモト・サトシ氏に由来する単位です。
SatoshiはμBTCの100分の1、つまり0.00000001BTCです。
ただし、これはあくまでも最小の単位として設けられているものであり、あまりに小さい単位であるため、日常生活で使われることはほとんどないでしょう。
もちろん、今後もビットコインが普及したり、価格が大きくなっていくにつれて、別の名称が生まれる可能性もあります。
まとめ
本稿によって、ビットコインの新規発行の様子が分かったと思います。
個人である私たちは、マイニングをこなし、新規発行されるビットコインを受け取ることはほとんど不可能です。
したがって、多くは取引所で購入することになると思います。
発行上限があるビットコインでは、上限が近づくにつれて、また世の中の流れがビットコインを受け入れ、ビットコインの需要が高まっていくにつれて、価格が上昇すると考えられています。
したがって、興味のある人は早いうちに買っておくことで、将来大きなリターンを手にすることができるかもしれません。