ビットコインの仕組みを知る一歩、電子署名を理解しよう

ビットコイン(BTC)

ビットコインの仕組みを理解するのは専門的な知識が必要ですが、「電子署名」を理解することで、ある程度の仕組みを理解することが可能です。

表面的な知識から簡単に仮想通貨(暗号通貨)の仕組みを学んでみましょう。

はじめに

仮想通貨を理解するためには、その代表であるビットコインを理解するのが好ましいのですが、ビットコインを理解することは容易ではありません。

ビットコインの基礎となる暗号理論や様々な技術は、1970年代以降に発展してきたものであり、一般の人にはなじみが薄いものだからです。

したがって、特に技術的なことに関しては、細かく突っ込んで学ぶよりも、表面的な部分を学ぶのが良いでしょう。

表面的な理解でも、ビットコインの信頼性やリスク、どこを規制すべきなのかと言ったことを考えることは十分に可能です。

本稿では、ビットコインを理解するための基礎知識の一つである、電子署名を解説していきます。

ビットコインとは何なのか?という質問に対して、よくこのような回答が見られます。

 

「ビットコインとは、P2Pネットワークを用いたプルーフ・オブ・ワークで、ブロックチェーンを維持することによって維持されている仮想通貨」

 

しかし、これを見ただけで「なるほど」と思える人はほとんどいないでしょう。

なぜならば、このようなアイデアはビットコインが初めて提唱したものだからです。

このアイデアについて、ニュースなどを正しく理解するために問題ないレベルの知識をつけるためには、

「電子署名を用いてビットコインを送る」とはどういうことか?

「P2Pネットワークで維持するブロックチェーンに、取引を記録する」とはどういうことか?

「ブロックチェーンの改ざん防止のために、プルーフ・オブ・ワークの計算を行なう」とはどういうことか?

という三つの事柄を理解する必要があります。

本稿では、この三つの事柄の内でも最も基礎となる、「電子署名を用いてビットコインを送るとはどういうことか?」について解説していくこととします。

電子署名を用いてビットコインを送る

ビットコインの仕組みを最初に提唱したのは、未だ正体不明のナカモト・サトシなる人物であり、この人が書いた「ナカモト論文」をみてみると、ビットコインを理解するのに役立ちます。

この論文では、「一つの電子コインは、連続するデジタル署名のチェーンと定義される」と書かれています。

簡単な文章ですが、これこそが電子コインの本質です。

ビットコインの受け渡しは、署名によって行なわれています。

いわば、約束手形を裏書譲渡する際に、署名をするようなものです。

もちろん、約束手形とビットコインは本質的に異なるものですが、署名するという意味では似ています。

しかし、裏書譲渡と明らかに異なるのは、電子的な署名であるがゆえに、問題が発生するということです。

例えば、なりすましや改ざんなどの危険があります。

これは、電子メールなどでもみられる危険性です。

電子コインの所有権が移る場合には、この問題を解決するために、以下の三つを確認します。

それは、

  • 署名者が送金したことが明らかであること
  • 通信途中で金額が書き換えられていないこと
  • 送付者が送付の事実を後になって否定できないこと

です。

手形ならば、それは紙という物理的な媒体を通してやり取りするため、以上のような問題が起きません。

しかし、それが電子的な媒体となると、特別に対応を求められる部分があります。

これは、電子署名というシステムによって、解決されています。

電子署名は公開鍵暗号とハッシュ関数を用いた技術で、ビットコインに伴って生まれた新しい技術ではなく、既に確立された技術を利用したにすぎません。

知っておきたい用語

電子署名を理解するにあたり、知っておきたい用語があります。

まず、公開鍵と秘密鍵です。

ビットコインの取引をするためには、これらの鍵を持つ必要があり、この鍵は数字と記号の組み合わせになっています。

基本となるのは秘密鍵で、51個の数字と記号の組み合わせでできています。

この秘密鍵を元に公開鍵を計算します。

ユーザーは、自分の秘密鍵を知らずに取引をすることもできますが、実際には秘密鍵は自分で厳重に管理する必要があります。

アドレスと言うのは、ハッシュ計算によって生成されます。

アドレスは27~34の数字とアルファベットの組み合わせによって作られています。

さて、これらの要素を用いて、ビットコイン取引はどのように利用されるのでしょうか。

ここでは所有者Aと所有者Bがビットコインをやり取りするとして考えてみましょう。

AがBにビットコインを送りたいとします。

この時、AはBのアドレスを知っており、またこれまでの取引のハッシュも持っています(ハッシュとは、やり取りの内容を特定するための暗号化技術であり、データの改ざんや破損がないかを確認するためのもの)。

これに、取引内容とAの公開鍵を加えてハッシュを計算し、Aの秘密鍵によって暗号化します。

これで、Aが電子署名したことになります。

そしてAは、データに署名を添えて、ブロックチェーンを維持しているP2Pに送ります。

データを受け取ったBは、送られてきたAの署名を、同封されているAの公開鍵で複号し、送り手が間違いなくAであることを確認できます。

Aの公開鍵は公開されているので、誰もがAの署名を復号し、送り手がAであることを確認できるようになっています。

秘密鍵の重要性

メールなどと異なるのは、送信相手に直接送るのではなく、P2Pに送るということです。

したがって、このことを「送金」とは言わず、「放送」と言うこともあります。

ウォレットには鍵のデータがあり、残高などのデータはブロックチェーン内にあり、ウォレットの鍵によってブロックチェーンにアクセスし、残高などのデータを取得することになります。

つまり、秘密鍵によってデータにアクセスしているということであり、だからこそ秘密鍵はビットコイン取引において、非常に重要なものなのです。

紛失や盗難の危険性があり、例えば災害などでハードディスクがクラッシュしてしまうと、自分の保有するビットコインのデータにアクセスすることができなくなり、保有していたビットコインを永久に失うことになります。

一旦失った秘密鍵を復元する手段はありません。

そのため、秘密鍵のバックアップを定期的にとっておき、厳重に管理することが求められます。

また、何らかのサイバー攻撃によって、パソコンに保存していた秘密鍵が盗まれてしまう可能性もあります。

そうなると、その秘密鍵に対応していたビットコインは、ハッカーの意のままに操られてしまい、おそらくハッカーのアドレスに送金されてしまうでしょう。

つまり、ビットコインが盗難に遭ってしまうのです。

紛失や盗難を避けるために推奨されているのは、ペーパーウォレットの作成です。

これは、秘密鍵を紙に印刷しておき、それを秘密裏に、厳重に保存するというものです。

紙に書いて保存するという方法もありますが、51個の数字と記号をメモすると、間違ってしまう可能性もありますから、印刷が好ましいでしょう。

ネットを通じて、最新技術をもとにやり取りするビットコインですが、最終的な安全のためには紙に印刷するというアナログな方法を採るのは、一見すると皮肉でもありますが、これが最も確実な方法といって間違いありません。

ビットコインの安全性は高いといえますが、それはビットコインの取引記録を維持しているブロックチェーンや、取引所のセキュリティにおいて安全性が高いという意味でもあります。

コンピューターについてそれほど専門知識を持たない一般の人が、ハッカーからの攻撃をうけた時、完全に守るのは簡単なことではないでしょう。

だからこそ、秘密鍵を個人で確実に守れるかどうかということが、今後の課題になると思われます。

今後、ビットコインの利用者が増えていくことと思われますが、それによって被害が増えていくのであれば、様々な取り組みが行なわれなければならなくなるでしょう。

利用者の姿勢としては、保有残高をできるだけ少なくするという取り組みも有効です。

投資ではなく送金や支払いにビットコインを利用するならば、長期にわたって多額のビットコインを保有しておく必要はないので、できるだけ保有残高を少なくしておくのが効果的です。

しかし、投資などの目的のために、多額の残高を長期的に保有する場合には、秘密鍵をペーパーウォレットに移して、コンピューターには残さない方がいいでしょう。

まとめ

ちょっと理解しにくい部分もあったかもしれませんが、それほど一般に浸透していない技術のことなのですから、仕方のないことです。

電子署名に関して、私たちはそれほど知識を持たないまま、安心して利用しているわけですが、ビットコインにもそれと同じ技術が使われているということです。

ビットコインの周辺技術に関しては、理解しづらいことも多いのは間違いないことです。

したがって、当サイトの記事を広く読んでいただき、全体をぼやっと掴み、次第に詳しい理解へと進んでぼやけを取り除いていくのが良いかと思います。

 

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