フランスで、仮想通貨の税率が大幅に引き下げられることとなりました。
従来は、仮想通貨によって得た利益に45%の所得税を課していたものが19%に引き下げとなったのです。
本稿では、この引き下げの背景、日本の税率との比較、引き下げの影響などを検討していきます。
課税額が大幅に引き下げへ
EUの中核といえるフランスにおいて、仮想通貨に対する課税が一気に引き下げられることが報じられました。
従来のフランスでは、仮想通貨の運用益に45%の課税を行ってきましたが、今回の改正によって、税率が一気に19%に引き下げられることが分かりました。
日本では、株式投資やFXでの利益には20%の税金がかかりますから、それより低くなるということです。
なぜこれほどまでに大きく引き下げられるのかというと、それは、これまで不動産として見られていた仮想通貨を、動産とみなすことになったからです。
動産となれば、仮想通貨の税法上の扱いは知的財産に当たるとされ、税率は大きく下がることとなります。
今回の改正により、フランスでは19%の所得税率に社会保障関係の負担の17.2%を足し、最高税率は36.2%となりました。
日本では、後述の通り所得税と住民税を合わせた場合、最高で55%程度の課税となるため、フランスの仮想通貨への課税率は、日本を大きく下回ることが分かります。
マイニングは別
ただし、マイニングにかかる税金は例外のようです。
マイニングによって仮想通貨を得た場合には、従来通りの課税がなされます。
それでも、フランスでは仮想通貨市場の整備が進んでいると言ってよいでしょう。
税率引き下げの影響
仮想通貨の税率が大幅に引き下げられる、しかもフランスという先進国で引き下げられるというのは、仮想通貨業界にとってはかなりのプラス材料になると言ってよいでしょう。
日本では、仮想通貨によって得た利益は雑所得扱いになり、累進課税により以下の所得税率となります。
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195万円以下・・・5%
195万円超330万円以下・・・10%
330万円超695万円以下・・・20%
695万円超900万円以下・・・23%
900万円超1,800万円以下・・・33%
1,800万円超4,000万円以下・・・40%
4000万円超・・・45%
仮想通貨では、大きく儲ければ数千万円単位で儲けることもありますが、そうなると半分近い利益が税金として持っていかれるわけです。
住民税を合わせると、半分以上持っていかれるケースもあります。
これは、仮想通貨の発展に一定の障害となっています。
例えば、
- 税金が高いからという理由で仮想通貨を投資に不利なものと判断し、仮想通貨に手を出さない属性が少なからず存在する
- 税金でたくさん取られることを嫌い、仮想通貨をなかなか売ることができない人が多く、流動性が低下する
といった形で、妨げとなっているのです。
これまで不動産とみなしていたものを、知的財産とみなすようになるのですから、大きな変化に違和感も覚えます。
仮想通貨の立ち位置が、現在、いかに定まっていないかをうかがわせる事象だといえるでしょう。
しかし、この変化はポジティブに捉えるべきです。
日本でも20%程度の課税額になったとすれば、もっと仮想通貨の売買取引は盛んになるでしょう。
売買が盛んになれば、流動性が高まり、仮想通貨における大きな問題とされているボラティリティも緩和され、市場に安定性が生まれることと思います。
また、仮想通貨市場が安定・安全な投資市場になれば、より多くの人に受け入れられ、市場規模は拡大成長し、ブロックチェーンの技術進歩も早まることでしょう。
まとめ
今の日本では、仮想通貨を単なる投機とみなすからこそ、高い税率を課しています。
このように高い税率を課していると、日本では仮想通貨の技術研究の発展が遅れていく可能性があります。
今後、仮想通貨とブロックチェーン技術は世界中で応用が進んでいくと思われますが、世界に遅れを取らないためにも、日本の税率も引き下げていくべきだと思います。