ブロックチェーンの技術は世界に革新をもたらします。
そのすごさを簡単に理解してもらうために、10分で理解できるレベルまでまとめました。
はじめに
仮想通貨とブロックチェーン。
最近、頻繁に聞くようになった言葉ですが、まだまだ浸透度は低いと言えるでしょう。
特に、ブロックチェーンと聞くと、なんだか技術的な難しい事柄を理解しなければならないような気がしますから、敬遠してしまう人もいると思います。
しかし、ブロックチェーンは難しいものではありません。
本稿で、ブロックチェーンのすごさに興味を持ちながら、基礎知識をつけてもらえればと思います。
ビットコインとは?
まず、仮想通貨と、その代表であるビットコインについて知る必要があります。
仮想通貨とは、日本のメディアが定着させた言葉であり、世界的には暗号通貨という呼び方が一般的です。
最大の流通量を誇るビットコインの運用が始まったのは、2009年のことであり、まだ10年もたたないのですから、非常に新しい通貨と言ってよいでしょう。
インターネット上で使うことができる、新しい形のお金なのです。
近年で世界的に革命を起こした技術と言えば、まずインターネットが挙げられるでしょう。
インターネットが登場することによって、それ以前と以降では世界のあらゆる仕組みが変化しました。
今でも、あらゆる技術のほとんどが、インターネットという技術を前提として作られているのです。
ビットコインも、インターネット上で取引するのですから、インターネットを前提として生まれたものです。
しかし、その他の技術と比べて期待は非常に大きく、インターネットと同程度の、非常に大きな革命をもたらすものと考えられています。
なぜならば、インターネットにはつきものであった様々な危険性を、ブロックチェーンという技術で排除することに成功したからです。
ブロックチェーンとは、インターネットのユーザーが、インターネット上でデジタルな財産を安全に移転させることを可能にする技術のことです。
なぜその安全性がもたらされたかと言えば、管理者が存在せず、決められたシステムによって機能するものだからです。
仮想通貨の最大の特徴は、管理者がいないことです。
従来ならば、インターネットを介して財産をやり取りする場合には、国や中央銀行、金融機関などが関与したものでしたが、仮想通貨ではその必要がありません。
管理者も特定のサーバーも存在せず、純粋にシステム化されたネットワークが構築され、データの書き換えなどの人為的な犯罪を困難にしています。
ブロックチェーンとは?
では、ブロックチェーンについてみていきましょう。
ブロックチェーンとは、仮想通貨の仕組みの根底となる技術です。
現在、多くの情報システムは中央集権型と言って、中央にサーバーを置くことでデータを管理しています。
例えば銀行などでは、中央サーバーで取引データを管理しています
これに対し、ブロックチェーンはP2Pネットワークというものによって管理されています。
特定のサーバーが存在しておらず、全てのデータをチェーンのようにつなげて置き、誰でも閲覧できる状態となっています。
つまり、お互いがお互いを監視する仕組みです。
仮想通貨のネットワークに参加する人は、それぞれの参加者同士が取引記録を共有することになります。
その一部でデータが失われたり、改ざんされたりしても、他の参加者によって情報を再生することができます。
だからこそ、上記の通り特定の管理者やサーバーが不要なのです。
ビットコインも、アルトコイン(ビットコイン以外の仮想通貨の総称)も、ブロックチェーンによって管理されています。
他にも、様々なビジネスやエンターテイメントなどにも、ブロックチェーンが活用されるようになってきています。
この動きは世界的なもので、各国政府や中央銀行さえもが、ブロックチェーンに注目して技術の応用を加速させているのです。
仮想通貨とブロックチェーン
では、仮想通貨とブロックチェーンの関係を把握していきましょう。
上記の通り、仮想通貨はインターネット上で取引される通貨のことです。
世界的には暗号通貨と呼ばれていることからもわかりますが、ビットコインとは暗号技術を使った通貨なのです。
これまでは、インターネット上で経済価値を交換することは、改ざんなどの危険があったため、第三者が仲介しなければ困難だったのですが、仮想通貨を利用することでそれが可能となりました。
一方、ブロックチェーンとは、仮想通貨とともに開発された技術です。
その名の通り、一定期間の取引をブロックとみなし、それをチェーンのようにつなげていきます。
各ブロックが連携することで、データの信頼性を構築していくものであり、多数のネットワーク参加者は取引履歴を同期しており、信頼性をより高めています。
もともと、ブロックチェーンはビットコインのために作られた技術です。
しかし、この技術自体に大変なメリットがあったため、ビットコイン以外の様々な仮想通貨が作られたり、フィンテック分野にも応用されようとしています。
その他の仮想通貨の代表として、イーサリアムという仮想通貨があります。
ブロックチェーンのすごさは、インターネットで価値を送れるようになったことです。
貨幣的な価値を送ることもできますし、その他の経済的価値を持つ様々な権利なども、ブロックチェーンによって伝達が可能になりつつあります。
安全性が高いブロックチェーン
仮想通貨の取引は、取引開始から現在に至るまで、全ての情報が記録されています。
もちろん、一度記録されたならば、書き換えることはできません。
それも、ブロックチェーンによって可能となっていることです。
そもそも、ブロックチェーンの「ブロック」とは、情報の塊のことであり、それをチェーンのようにつなげたものがブロックチェーンです。
ひとつのブロックでは、約10分間の取引が記録されており、それぞれのブロックをつなげて処理していきます。
ビットコインの取引は、暗号学的ハッシュ関数によって計算された値、すなわち「ハッシュ値」によってブロックに納められます。
もちろん、取引情報以外の様々な情報もブロックに格納されていきます。
それがチェーン上につながっていき、一度チェーンにつながれたブロックはその連鎖から外れることはなく、ブロックの内容も変えることはできません。
データを改ざんして情報や価値を奪うという危険が、インターネットにはつきものでした。
しかし、ブロックチェーンでデータを改ざんするということは、一度チェーンにつながれて確定してしまった情報を書き換えるのですから、非常に困難な仕組みになっています。
また、ブロックチェーンには「一番長いチェーンが正しい」というルールがあります。
したがって、データを改ざんすることによってチェーンが枝分かれした場合には、その枝分かれしたチェーンは破棄されることになります。
これも、仮想通貨での不正が難しいことの理由となっています。
ブロックチェーンで銀行がなくなる?
現在、全世界の約3分の2の人々が銀行を利用しています。
日本で銀行なしで生活しようと思えば、完全に不可能ではないものの、非常な不便を強いられることになるでしょう。
しかし、仮想通貨とブロックチェーンによって、将来的に銀行がなくなってしまう可能性があります。
というのも、仮想通貨とブロックチェーンを使えば、銀行を使わずともお金のやり取りが可能となり、やり取りされたお金は銀行口座ではなく、インターネット上の財布、つまりウォレットに保管されるからです。
だからこそ、「ブロックチェーンによって、いずれ銀行がなくなるかもしれない」と言われることもあります。
しかし、銀行がなくなってしまうといわれるような技術を、当の銀行が見過ごすはずはありません。
多くの銀行やそれに関連する企業では、生き残りをかけてブロックチェーンを取り入れようとしています。
例えば、みずほ銀行は2016年3月、富士通と富士通研究所と連携し、海外と証券を取引する「証券クロスボーダー取引」にブロックチェーンを応用することを目指しています。
海外でも同様で、ブロックチェーン技術を研究するベンチャー企業に日本のメガバンクや証券会社などが出資するケースも多く見られます。
ブロックチェーンは金融システムを大きく変えるものとして登場しましたが、金融機関でもブロックチェーンの利用を想定して開発が進められているのです。
また、銀行のように資金が潤沢な組織が本腰を入れて研究しているのですから、銀行が簡単になくなってしまうことはないでしょう。
しかし、ブロックチェーンの技術そのものの価値を見た時、銀行が将来的になくなってしまったり、少なくとも現在の銀行のあり方が大きく変わってしまう可能性は十分にあると言ってよいでしょう。
ブロックチェーンが社会を変える
もともと、仮想通貨とブロックチェーンは、従来の金融システムを否定する性質を持って生まれたものと言えます。
日本に住んでいるとあまり実感しませんが、海外ではハイパーインフレに見舞われている地域があります。
代表的な国がジンバブエで、100兆ジンバブエドル札が発行されるほどの異常な状況です。
かつては、中央銀行が貨幣の発行量を正しく操作することによって、インフレとデフレを操作して経済発展を目指せるという考え方が主流でした。
しかし実際には、世界の様々な国で発行量の調整がうまくいかず、極端なインフレやデフレに陥ってしまうこともあるのです。
しかし、仮想通貨は発行量に上限があり、また各国政府の裁量で増やしたり減らしたりすることができないものですから、過剰なインフレやデフレが起きませんし、「通貨の信用=国の信用」という常識も通用しません。
仮想通貨と、それを実現させるブロックチェーンによって、通貨のあり方が根底から覆る可能性があります。
通貨は、それこそ血液のように全世界を駆け巡り、経済を支えています。
その通貨のあり方が根底から覆るということは、社会の仕組みそのものも大きく変わってしまう可能性を秘めているということです。
ブロックチェーンは金融だけではない
もちろん、ブロックチェーンに注目しているのは金融業界だけではありません。
例えば、イギリスのエバーレッジャーという企業では、ダイヤモンドの闇取引対策にブロックチェーンを活用しています。
ダイヤモンドの鑑定書の発行や取引履歴をブロックチェーンによってデータ化し、鉱山から消費者に至るまでのダイヤモンドの流れを把握することによって、ダイヤモンドの取引の適正化に役立てているのです。
ブロックチェーンがダイヤモンドに応用できるということは、その他の様々な商品にも応用が可能ということです。
例えば、この仕組みをワインボトルに応用する取り組みもあります。
また、シェアリングビジネスにも応用されようとしています。
最近、シェアリングビジネスが広がってきており、例えばカーシェアなどは日本でも徐々に見られるようになりました。
カーシェアにおいて、自動車情報や登録車情報、利用状況などの様々な情報をブロックチェーン上でデータ化すれば、管理者なしでのカーシェアも可能になるかもしれません。
シェアリングビジネスはもっと便利で効率的なものになることでしょう。
IoT分野への応用も研究が進んでいます。
IoTとは、様々な機器をインターネットにつないで管理していくという技術で、「モノのインターネット」と呼ばれるものです。
ダイヤモンドの追跡やカーシェアも、IoTの一種と言えます。
IoTにブロックチェーンを活用してシステムを運用できれば、私たちの生活は大きく変わるでしょう。
例えば、冷蔵庫の中身を自動で認識し、いつも冷蔵庫に入っているべき食材が切れた場合には、自動でスーパーマーケットに発注し、支払いまで済ませるといった流れが出来上がるかもしれません。
今話題のAIがここに加われば、これまでありえなかった便利な未来が次々と実現されていくことでしょう。
まとめ
以上のように、ブロックチェーンのすごいところは、中央にサーバーが不要になったこと、ハッキングやデータ改ざんが非常に難しい仕組みになっていることにあるといえます。
これによって、インターネット上で特定の機関やサーバーが仲介せずとも、価値のやり取りが可能になっています。
ブロックチェーンという技術は、貨幣経済を根底から覆すほどの影響力を秘めています。
数年後、数十年後には、現在の想像を遥かに超える便利な社会が、ブロックチェーンによって実現されているかもしれません。