JPモルガンのCEOが「ビットコインは詐欺」と発言し、ビットコインの価格が急落。
しかしその裏で、JPモルガンのファンド会社がビットコインを買い込んでいたことが発覚したのです。
この事件の背景を探りました。
はじめに
先日、JPモルガンのCEOがビットコインは詐欺だと批判したことによって、ビットコインの価格が急落しました。
その後、JPモルガンのファンド会社が下落したビットコインを買っていたことが判明し、ちょっとした騒動になっていたわけですが、ついに、9月21の報道において、告訴されることが分かりました。
本稿では、この事件のあらましを紹介していきます。
JPモルガンが市場操作をしていた?
9月13日、JPモルガンのジェイミー・デイモン氏が、ビットコインを詐欺であるとし、さらに自社の社員がビットコイン取引をしたらクビにすると言ったことで、ビットコイン相場が急落しました。
さらに、この発言を受けたウォールストリート・ジャーナル誌は「ビットコイン価格はゼロになる」とまで騒いだため、デイモン氏の影響は大きかったといえるでしょう。
しかしその後、大変なことが発覚しました。
この発表を受けてビットコイン価格が下落したところ、JPモルガンのファンド会社はビットコインを買い込んでいたことが発覚したのです。
もともと、JPモルガンが市場操作しているという疑惑はありました。
デイモン氏の発言の翌日、ビットコイン価格は24%も下落していました。
このことに対して、一部のファイナンスブログなどでは、「JPモルガンは、ビットコイン価格を下げた上で買っていた」という批判があがっていたのです。
また、トレーダーがこのことに怒り、デイモン氏の自宅に押し寄せたというツイートも広まっていました。
JPモルガンが市場を操作しているのではないかということは、根拠がないわけではありません。
スウェーデンの証券取引管理会社であるNasdaq Nordicが作成するビットコインバイヤーのリストに、デイモン氏が批判した翌日、JPモルガンが加わっていたのです。
ただし、このことについてJPモルガンは、ロイター通信に対し、「確かに売買したが、自社用に買ったのではなく、顧客用に買ったのだ」と弁解しています。
ついに告訴へ!市場操作はスウェーデン刑法で懲役刑もある
これに対し、ビットコイン市場取引会社マネージングパートナーであるフロリアン・シュバイツァー氏は、スウェーデンの金融監督官とともに、JPモルガンを告訴しました。
シュバイツァー氏が所属するBlockswater社では、月に約2500万ドルのビットコイン取引が行われており、シュバイツァー氏はスウェーデンの規制当局に対して、デイモン氏の調査を依頼したといいます。
ちなみに、スウェーデンの刑法では、市場操作には2年間の懲役刑が課せられる可能性があります。
もっとも、今回のことは、本当にJPモルガンが市場操作をしていたのかどうか、まだ明らかではありません。
実際、そう疑われても仕方がないほど、買い注文を出すタイミングが悪すぎたのです。
李下に冠を正さずで、もし顧客用の買い注文を出すにしても、もうちょっとタイミングを考えるべきだったでしょう。
もちろん、市場操作をした可能性も十分にあります。
デイモン氏はこれまでにも、何度もビットコイン批判を展開してきました。
2015年の後半、ビットコインがまだ400ドル程度で取引されていた頃ですが、この頃にも「ビットコイン取引は時間の無駄だ」と批判していますし、その翌月にもダボスで開催されたWEFサミットにおいて、「ビットコインの背景には何もないし、政府もそのうち扱うのをやめるだろう」と言っています。
この時も、仮想通貨の否定的な見解を示すアナリストや専門家は、デイモン氏の発言を賞賛し、一方で仮想通貨のトレーダーや起業家などは、デイモン氏の発言を批判するという事態が起こっています。
まとめ
JPモルガンが本当に市場操作を行っていたのかどうか、筆者には判断しかねます。
しかし、JPモルガンという世界の大銀行が、CEOの批判の翌日に、その批判となっている投資対象を安値で拾うような真似を本当にしていたならば、あまりにもお粗末でしょう。
ブロックチェーンの取引履歴は公開されているのですから、ビットコインバイヤーのリストに掲載されずとも、買い注文が出されたことは調べることができます。
いずれ明るみに出て、このような批判を受けることは目に見えていたでしょう。
JPモルガンが、それを知らなかったはずはありません。
そんなお粗末なことを、JPモルガンが果たしてやるでしょうか?
本当に顧客の買い注文で批判を受ける可能性がある中でやむなく買ったのではないか?と思いますが、真相は今後、徐々に明らかになってくることでしょう。