世界各国のICO規制をまとめてチェック

仮想通貨投資

ここ数ヶ月間、仮想通貨市場は大荒れ相場でした。

著名人のビットコインに対する非難や中国をはじめとした国家による規制、ハードフォークなど、色々な事態が重なりました。

直近の90日間における安値は30万円前後、高値は90万円前後という状況です。

特に、ICOに対する規制は、大きな注目を集めました。

9月に、ICOに対する規制の嵐が吹き荒れて以降、世界のICO規制はどのように推移しているのでしょうか。

日本国内のICO規制

まず、日本のICO規制を簡単に見ていきましょう。

日本では、ICOに対して、昨今海外で見られるような、具体的な規制は行われていません。

しかし、10月27日、金融庁がICOに対して注意喚起を行なっています。

金融庁はホームページ上で、『ICOについて利用者及び事業者に対する注意喚起』という文書を掲載することで、注意を促しています。

資料の中では、ICOで発行されたトークンの価値が急落したり、無価値になってしまったり、ホワイトペーパーに記載されていたプロジェクトが実施されなかったり、詐欺行為が行われたりする可能性があるとし、「高いリスクがある」ことを示唆しています。

この他、

 

ICOを利用する際には、リスクやプロジェクトの内容をしっかりと理解し、自己責任で行うこと

 

ICOに関する不審な勧誘には注意し、怪しい勧誘を受けた場合には金融サービス利用者相談室、消費者ホットライン、警察に相談すること

 

などが記載されています。

この内容を見れば、主に仮想通貨に対してそれほどの理解を持っておらず、ビットコインで大儲けした人などの話を聞いて過剰な期待を抱いてしまう人への注意喚起であることが分かります。

そのような人達が、ICOによって損失を被ってしまうことを、金融庁が危惧している表れともいえるでしょう。

また、ICOを利用する事業者に対しては、

 

ICOの仕組みによっては、資金決済法や金融商品取引法等の規制対象となります。

ICO事業に関係する事業者においては、自らのサービスが資金決済法や金融商品取引法等の規制対象となる場合には、登録など、関係法令において求められる義務を適切に履行する必要があります。

登録なしにこうした事業を行った場合には刑事罰の対象となります。

 

との注意喚起も行なっていることから、金融庁が今後、ICOに対する取り締まりを強化する可能性があると考えられます。

とはいえ、仮想通貨に対する理解が一般に浸透していないことを前提としての注意喚起であり、世界的には非常に遅れていると言えるかもしれません。

 

 

シンガポールのICO規制

シンガポールは、これまでにも仮想通貨関連のニュースが多かった国ですが、シンガポールではICOに対して具体的な規制の動きが見られます。

11月15日のニュースによると、シンガポール中央銀行ならびにシンガポール通貨金融当局では、「A Guide to Digital Token Offerings」という文書を公表しました。

この文章は、デジタルトークンの利用の手引きであり、ICOのガイドラインと言っても良いでしょう。

現在、シンガポールの証券取引法で規制されているのは、外国為替や株式、先物などであり、仮想通貨に対する規制はありません。

しかし、このガイドラインによれば、今後は仮想通貨も規制対象になるようです。

具体的には、

  • 企業がICOによってトークンを販売するにあたって、企業は一定の責任を負い、購入者と契約を結ぶ必要があること。
  • トークンは債券扱いになり、発行者である企業は、返済義務を負うこと。

などの規制が予定されています。

ただし、ICOの形は非常に様々であるため、これらの規制がふさわしくないケースが生じた場合には、規制がどのように適用されるのかといったことについては、まだ具体的な方針は明らかになっていません。

このガイドラインでは、実際の規制の例としてコンピューターの処理能力を取引するトークンについての記載があります。

おそらくゴーレム(GNT)のようなものを想定しているのでしょうが、これは有価証券としてみなさないとしています。

また、トークンを販売して得た利益によって、物件や商業施設の開発を行なう事例では、有価証券としてみなすとしています。

この辺のことについては、まだ明確になっていない規制でもあり、不明点が多いです。

ただし、シンガポールの金融規制当局では、ICOを規制することを8月に発表していましたから、それが着実に進められていると考えることができるでしょう。

また、シンガポールのように、海外ではICOに対する規制が具体的な形になってきているのに対し、日本では具体的な動きがありません。

そのため、自由度の高い日本のICO市場に、海外勢が進出していくと考えられます。

その流れに対応するためには、日本でも早めに規制ガイドラインを策定する必要がありますが、その際に海外の規制を参考にする可能性が考えられます。

その意味において、海外のICO規制にもアンテナを張っておいた方が良いでしょう。

 

 

ロシアのICO規制

このほか、最近ではロシアで動きがみられました。

11月15日の報道によると、ロシア中央銀行の副総裁であるセルゲイ・シュベツォフ氏が、ICOを支援することを発表したのです。

ロシアでは、これまでも仮想通貨に対する規制と緩和を繰り返してきました。

シュベツォフ氏は、10月にはビットコインを「怪しい投資商品であり、投資できる環境を見過ごせない」と批判しました。

そのほかにも、ロシアの要人発言では、ビットコインや仮想通貨に対する批判が繰り返され、プーチン大統領も規制を強めることを発表していました。

このことから、ICOにも厳しい態度を取るのではないかという意見もあったのですが、一転してICOの支援が発表されたわけです。

シュベツォフ氏は、以下のように語っています。

 

ICOは巨大な可能性を秘めている。ICOの発展を支援すべきである。

ロシアでは、革新が起きようとしている。

ロシアの企業家のアイデアは優れており、国家としてもスタートアップ支援を行なっている。

世界のどの国よりも、ICOを推進すべき環境にある。

ロシアのICO支援は、まだ枠組みが詳細ではないが、ICOはロシアの金融市場において、正当なものとなっていくだろう。

 

この発言からも、シュベツォフ氏が仮想通貨に対する意見を転換させていることが分かります。

また、最近明らかになったロシア政府の公式文書からも、プーチン大統領がICOや仮想通貨にポジティブになりつつあることが分かっています。

ロシアは、一説によると国家ぐるみでICOに取り組んでいるとも言われています。

仮想通貨を批判したり、容認したりを繰り返してきた国ですから、真意がどこにあるのか良くわかりません。

他国を出し抜こうとしているのかと思ってしまうこともあります。

ロシアについては、二転三転してきた過去から考えても、個々のニュースにとらわれすぎることなく、俯瞰しておくのが良いでしょう。

 

 

まとめ

日本、シンガポール、ロシアと見てきましたが、ICOに対する態度が、世界中でバラバラであることが良くわかります。

規制が遅れている日本、規制が進んでいるシンガポール、真意が良くわからないロシアといったように、国によってICOに対する姿勢は様々で、世界的に一定した方向性が未だに見えてきません。

もっとも、ICOに対する関心は日に日に高まっていますから、いずれはどの国でも規制対象となるだろうとは思います。

態度が一定しない国でも、いずれ方向性を明らかにし、規制を設けなければならないはずです。

今後、少しずつ方向性が見えてくると思われますので、その都度まとめていきたいと思います。

 

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