ビットコイン関連のニュースを見ていると、あたかもビットコインが危険なものであるかのように言われているのを目にすることがあります。
ビットコイン自体が不安定な技術を使っており、サイバー犯罪による被害を受ける可能性があると思わせるような報道が、未だにあるのが事実です。
本稿では、ビットコインとハッキングの関係と、ユーザーができる対策について解説していきます。
ビットコインは危ないの?
実際には、ビットコイン自体は非常に安全なものです。
しかし、取引所がハッキング被害に遭う可能性も無きにしも非ずで、利用者自身のセキュリティ対策を行っておくのが好ましいでしょう。
ビットコイン関連のニュースとして、ハッキングの被害を受けたとか、受ける可能性があるとかいうニュースが目立ちます。
仮想通貨というのは素晴らしいシステムなのですが、否定的な立場から報道される機会も少なくなく、的を射ていない内容で、ハッキングのニュースを報じることがあるのです。
しかし、ハッキングの心配はほとんどしなくてもよいというのが、本当の事実です。
というのも、ビットコインの根底となっているのは、ブロックチェーン技術だからです。
ブロックチェーンは分散型のデータベースであり、これまでよく見られた中央集権型のデータベース(例えば、中央サーバーが中心となって情報を管理しているようなもの)とは異なり、不特定多数のノードによって取引履歴を共有し、互いに信頼性を保っているからです。
そして、ブロックチェーンはその名の通り、一定の期間内(ビットコインならば10分間)に行なわれた取引をブロック内に記録し、チェーン状につなげて行きます。
チェーンにつなげられたブロックを改ざんしようと思えば、そのブロックの改ざんだけではなく、次々にチェーンにつなげられるすべてのブロックを改ざんする必要があり、しかも情報を共有している不特定多数の全てのコンピューターに対して行う必要があるため、物理的に改ざんが不可能な仕組みとなっているというわけです。
仮想通貨取引所のセキュリティ対策
では、どうしてニュースではビットコインとハッキングの問題を取り上げているのでしょうか。
まさか嘘の報道を流すわけはありません。
実際に何が問題なのかと言うと、ビットコインそのものに対するハッキングは不可能であるものの、
- 仮想通貨全体の中にはセキュリティが脆弱なものもある可能性は否定できず、そのことを言っている
- 仮想通貨取引所がハッキング被害に遭う可能性がある
などがニュースとして取り上げられることが多いようです。
実際には、ニュースの制作者にあまり仮想通貨の知識がないためか、ビットコインもハッキングに遭う可能性が十分にあると誤解させかねないニュースや、取引所を非常にリスクある存在のように受け取られかねない報道もあります。
もちろん、取引所がハッキングのターゲットになる可能性は否定できません。
取引所では、大量のビットコインを保有しているのですから、ターゲットとしては好都合なのです。
取引所としても、セキュリティを強化して対応しているのですが、ハッカーたちもそのセキュリティに対応して攻撃を仕掛けますから、被害の可能性は常にあり、ハッキングによってビットコインを失い、取引所が倒産することもあり得ます。
しかし、最近ではセキュリティ意識が高まったことで、セキュリティに不安がある取引所はほぼなくなったと言ってよいでしょう。
例えば、日本の取引所では、取引所が保有しているビットコインを、コールドウォレットに移してオフラインで保管することがほとんどとなっています。
オフラインで保管していれば、オンラインで行われるサイバー攻撃は不可能となり、ハッキング被害に遭うことも無くなるというわけです。
このほか、顧客の資産を分別管理することが義務付けられているため、取引所に預けていたビットコインが流用されたり、横領されたりする心配も無くなりました。
利用者自身のハッキング対応策
上記のように、ビットコイン自体のセキュリティ性は非常に高く、それ自体がハッキング被害に遭う可能性はほとんどありません。
しかしながら、取引所が何らかの被害に遭い、それが利用者にも及ぶ可能性は、低くなったとはいえ安心しきってはいけない状況です。
したがって、以下のような方法によって、利用者自身がリスクを抑えていく必要があります。
1、複数の仮想通貨取引所を利用する
日本の仮想通貨取引所は、法律の規制によって登録制となり、一定以上の安全性を求められるようになりました。
したがって、どの取引所を利用しても、それなりに安全に取引をすることができます。
しかし、より安全に取引をするためには、複数の取引所を利用することが重要です。
もともと安全な取引所を、さらに複数利用することによって、効率的にリスクを分散することができます。
万が一、どこかの取引所がハッキング被害に遭った時、その取引所だけを利用していると被害をモロに受けることになりますが、分散していれば被害は軽減されます。
ただし、ごく少額の取引しかしていない人にとっては、資金効率を考えると、分散するのはあまり好ましくありません。
少額の取引をしている人が、わざわざ少額の資金を半分に分けて2つの取引所で分散して取引すると、それぞれの取引所で手数料を支払って取引することになるため、投資効率が下がってしまいます。
そこで、ある程度まとまった額の取引をするようになった時点で、複数の取引所に分散することを考えるのが良いでしょう。
2、取引所のウォレットからハードウェアウォレットへ
これは、取引所以外のウォレットにビットコインを移管するという方法です。
基本的な対策であり、なおかつ有効な対策です。
取引所のウォレットに入れっぱなしにしていると、どうしてもオンラインですから、被害を受ける可能性があります。
また、取引所以外のウォレットでも、インターネット上で用いるオンラインウォレットでは、やはり不安です。
そこで、オフラインのウォレットを利用するのが良いでしょう。
たとえば、ハードウェアウォレットならば、USBと同じ原理でビットコインを保管することができます。
データ移管後にパソコンから取り外しておけば、ハッカーが狙うことは不可能です。
このほか、ペーパーウォレット、つまり紙のウォレットも有効です。
これは、アドレスと秘密鍵を印刷した紙を保管するというもので、長期的に非常に安全な形で管理することができます。
もちろん、ハッキングやウイルスからの被害を受けることもありません。
ただし、オフラインのウォレットにも注意が必要です。
例えばハードウェアウォレットは、ウォレット自体が故障してしまうと、ビットコインを取り出せなくなる可能性があります。
ペーパーウォレットにしても、それをなくしてしまったり、濡れて見えなくなってしまったり、経年によって印字が見えなくなってしまえば、使うことができないのです。
したがって、オンラインとオフラインのウォレットをうまく使い分け、オフラインのウォレットを使う場合にも相応のリスクを認識して使う必要があるといえます。
3、二段階認証の設定をしておく
二段階認証とは、ログインの際に、IDとパスワードを入力するだけではなく、ワンタイムパスワードを生成する専用のアプリを利用して、二段階に認証することです。
これによって、不正ログインの可能性は限りなくゼロとなります。
二段階認証をしているアカウントにログインするためには、IDとパスワードを盗み取るだけでなく、本人のスマホと連動しているアプリで、パスワードを取得する必要がありますから本人以外にログインすることは実質的に不可能というわけです。
まとめ
ビットコイン自体は安全なものですし、現在では仮想通貨取引所の安全性も非常に高くなっています。
しかし、ビットコインの取引には仮想通貨取引所を利用する必要があり、取引所がハッキングの対象になりやすいという事実がある以上、自分でできる対策はやっておくに越したことはありません。
ぜひ、本稿で紹介した方法を使って、セキュリティ対策を行ってほしいと思います。