3月20日、ブエノスアイレスで開かれたG20サミットが終了しました。
仮想通貨に対する国際的な規制が決定されるとして注目されていたわけですが、結果的には時期尚早として先送りとなりました。
今後のためにも、G20サミットの概要をまとめておきたいと思います。
規制は見送りへ
アルゼンチンの首都ブエノスアイレスにて、3月19~20日にG20サミットが開催されました。
G20サミットとは、主要20か国の財務相や中央銀行総裁が集まり、経済問題や金融問題を話し合う会議です。
最近では、経済問題や金融問題を論じるにあたり、仮想通貨に関する話題は避けられなくなっており、仮想通貨を世界的にどのように規制していくのかが重要な議題となっています。
2017年には仮想通貨が世界的にかなり知名度を得ており、2018年からはこの流れに拍車がかかることが予想され、それに伴って大きな犯罪も多くなっています。
したがって、今回のG20サミットでは、国際的な規制が布かれるかどうかに注目が集まっていました。
今回の会議では、国際規制に関して何らかの取り決めがまとまるだろうと予想されていたわけですが、結果として見送りとなりました。
その理由は、仮想通貨市場はまだそれほど規模が大きくなく、基盤が脆弱であるため、あえて国際規制を布かずとも国際経済への影響は軽微だろうとの判断によるものです。
各国首脳の仮想通貨への意見
しかし、仮想通貨に対して何らの話し合いも行われなかったということではありません。
やはり仮想通貨に関する話題は出ており、それによって各国が仮想通貨をどのように見ているかが分かります。
それらをまとめると、以下の通りです。
全体の意見
各国で一致した意見は、仮想通貨の技術は支持するという見方です。
仮想通貨とブロックチェーン技術は、経済効率が向上し、既存の金融システムが利用できない地域の人も金融システムに参加できるようになり、経済と金融の発展を支える基盤になっていくだろうと見られています。
ただし、これはあくまでも仮想通貨の根底となる技術への支持であって、ビットコインやイーサリアムといった各仮想通貨への支持ではありません。
マネーロンダリングや脱税などデメリットも大きい
フランスやドイツの意見では、仮想通貨によって投資家が大きなリスクにさらされていることを危険視しているとしています。
また、アメリカや日本の主張でも、仮想通貨が資金洗浄や脱税といった、違法行為に利用されることを危険視しています。
このような問題が解決されていないことは事実であり、今後規制されるきっかけとなることでしょう。
仮想通貨は通貨としての価値がない
経済学者であり、金融安定理事会の会長を務め、またオランダ銀行の責任者でもあるKlass Knot氏は、仮想通貨は通貨とは呼べないと発言しました。
本来、通貨には
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- 価値の尺度になること
- 交換の手段であること
- 価値貯蔵の手段であること
という役割がありますが、仮想通貨にはそれがないからです。
価値の尺度とは、簡単に言えば「チェーン店の牛丼一杯は300円くらい」というように、通貨を物差しのように使い、そのモノの価値をいくらくらいと表現できることです。
仮想通貨の価値は変動が激しく、「牛丼一杯〇BTCくらい」などとは表現できず、価値の尺度にはなり得ません。
交換の手段とは、その通貨があらゆる商品との交換手段になることです。
円やドルがあれば、ほとんどの商品は買うことができますが、仮想通貨で買えるものは限られています。
価値貯蔵の手段とは、一定の価値で貯蔵できるもののことです。
日本円を1万円貯蔵しておけば、何年後でも1万円として使えます。
もちろん、インフレによって将来的に価値が目減りしている可能性はありますが、通貨を貯蔵の手段として考えることに影響するほどではありません。
しかし仮想通貨は価値の変動が激しく、将来的に価値がなくなってしまう可能性もありますから、価値貯蔵の手段として機能しません。
このような理由から、未だに仮想通貨を通貨として認めない意見が、国際会議で出ているわけです。
仮想通貨の技術は各国が支持していますが、将来を見据えた期待からの支持だと言えます。
仮想通貨の現状に対しては、まだ疑いの目を以て見る人が少なくないようです。
このような意見がなくならないうちは、仮想通貨市場に悪影響となる規制が行われる可能性も否定できず、警戒が必要だといえるでしょう。
各国統一の規制案は7月提出へ~ブラジルは規制しない方針を強調~
今回は見送りとなった規制案ですが、各国統一での規制案は7月までに提出されることに決定しました。
この規制に合わせて、仮想通貨投資家は、値動きに注目しておく必要があります。
今回のG20サミットでも、最終的な規制案が提案されることが予定されており、大規模な規制が決定されることを警戒して、仮想通貨価格は大きく下落していました。
7月の規制案決定が迫ると、再び価格に影響が出ることが予想されます。
ただし、今回のG20サミットにおいて、仮想通貨へのリスクやデメリットなどにも言及されつつも、仮想通貨の技術自体は各国が等しく支持していることも確認されました。
そのため、仮想通貨の可能性を潰してしまうような規制が行われる危険性もいくらか減ったと言えそうです。
これは仮想通貨市場全体にとってプラスであるといえるでしょう。
さらに、規制をするといっても、大規模な規制をするのではなく、監視に重点を置くのではないかという意見も根強いです。
まだまだ発展途上の仮想通貨に対して、その可能性を潰さないためには大きく規制することは難しく、また有効な規制も分かっていません。
しかし、仮想通貨が悪用されるリスクは確実にあるため、ともかく監視しようという方向に決まるのかもしれません。
また今回のG20サミットで規制が予定されたものの延期になったように、7月に規制案の提出を求めたとしても、それが再び延期になる可能性もあります。
各国に対して、規制案の提出を強制しているという報道は見当たりませんし、規制案を作成するには各国とも情報精査に時間を要するでしょうから、規制案の提出が遅れることは想定されます。
また、7月に規制案を提出することに合意したとはいえ、一部に合意していない国もあります。
ブラジル中央銀行責任者のIlan Goldfajn氏に至っては、仮想通貨に対して世界的な規制が行われても、ブラジルだけは何の規制もかける予定はないと強調しています。
さらに、現時点では、国際的な規制の方針が決定されたとしても、効力があるかどうか疑問です。
というのも、仮想通貨の規制を世界共通で適用していくためには、世界共通で権力を持つ機関が必要ですが、現状ではそれがないからです。
したがって、規制を適用するかどうかは各国政府に任されることとなり、ブラジルのような国に対して、規制の適用を強制することはできませんし、規制に同調しない国が出てくるものと推測されます。
このように、世界の国々が足並みをそろえて仮想通貨を規制していくのは実質的に困難です。
EUでは、投資家保護のために仮想通貨規制を推し進めたいと考えていることから、国際的な規制ができなければEU主導で推し進めていくとしています。
まだまだ仮想通貨の本格的な規制には時間がかかることでしょう。
仮想通貨市場の安定のためには適切な規制が必要ですが、それがなされない以上、価値の大きな変動や仮想通貨を使った犯罪などに対しては、投資家自身が対策を講じていく他ありません。
今後もハイリスクハイリターンの投資になると予想されるため、リスク管理を徹底しつつ、規制の動向も見守っていきたいと思います。
まとめ
注目が集まっていたG20サミットでの仮想通貨規制案は、7月に見送られることになりました。
見送りとされつつも、再び延期になったり、各国から提出されてもまとまらない可能性もあります。
仮想通貨規制は、仮想通貨投資家にとっては大きな関心事の一つであり、それが微妙な塩梅で決定に至らないというのはもどかしいことです。
当サイトでは、今後も仮想通貨規制に関する情報を随時まとめていきますので、参考にしてみてください。