イーサリアム・クラシックが51%攻撃、ホワイトハッカーの仕業?

イーサリアムクラシック(ETC)

1月8日、イーサリアム・クラシックが51%攻撃を受け、大きな話題となりました。

これまでも度々問題視されてきた51%攻撃ですが、時価総額上位のイーサリアム・クラシックが被害を受けたことで、市場にも大きな影響が出ています。

本稿では、51%攻撃の問題点と、この事件のあらましとその後の経緯についてまとめていきます。

イーサリアム・クラシックが51%攻撃を受ける

1月8日、大手仮想通貨取引所のコインベースにより、イーサリアム・クラシックのブロックチェーンで51%攻撃が行われたことは、すでにご存じの方が多いと思います。

51%攻撃が確認されたのは1月5日のことです。

コインベースが発表した時点ではまだ攻撃が継続中であったため、コインベースは顧客保護のために入出金を緊急停止しました。

 

 

51%攻撃とは?

ここで、51%攻撃について簡単におさらいしておきましょう。

ビットコインを始めとして、多くの仮想通貨がPoWという方式によってブロックチェーンを維持していますが、PoWには51%攻撃の懸念があります。

なぜならば、PoWでは、ネットワーク全体の過半数すなわち51%のハッシュレートを支配することで、不正取引が可能となるからです。

ブロックチェーン技術は不正取引ができないことを大きな特徴としていますが、理論的には悪意ある個人やグループが51%のハッシュレートを支配することで、不正取引を正当化したり、正当な取引を拒否したり、採掘を独占したりすることが可能となるのです。

これまでも、PoWの仮想通貨の問題点として、51%攻撃は常に話題となってきました。

しかし、51%のハッシュレートを支配するためには、莫大なコストがかかります。

51%攻撃によって得られる利益よりもコストのほうが上回るため、51%攻撃は理論的に可能であっても、現実的に行われないものと考えられていました。

一方で、51%攻撃は理論的にも現実的にも可能だとする研究者もいました。

51%攻撃で利益を得られるという試算もなされているのです。

特に、ビットコインといった大規模なネットワークで活動している、巨大なハッシュレートを持っているマイナーならば、51%攻撃はもっと簡単です。

その実力をもって、小規模なネットワークの仮想通貨でマイニングすれば、容易に51%攻撃が可能となるのです。

実際に51%攻撃が起こったこともあります。

2018年、ビットコインゴールドやVergeなどの仮想通貨が51%攻撃を受けて大きな被害を出しています。

理論的に可能であり、現実でも起こったことがあるのに、どこか見過ごされてきた感じがある問題でした。

 

 

被害の状況と影響

コインベースの発表によると、51%攻撃によって100以上のブロックが書き換えられたことによって、全体で85899ETC、約46万ドルの被害が発生しています。

その後、coincheckやbitflyerでも51%攻撃を懸念し、イーサリアム・クラシックの入出金を停止しています。

51%攻撃が行われると、イーサリアム・クラシックのネットワークはコントロールされることとなります。

また、仮想通貨の価値自体に疑いが持たれてしまうため、仮想通貨市場の下落も引き起こします。

51%攻撃が現実に起こり、理論的にも現実的にも可能であることが分かれば、PoWの仮想通貨は安全と言えなくなります。

特に、イーサリアム・クラシックは時価総額も大きく、よく知られている仮想通貨です。

ビットコインへの51%攻撃もあり得るのではないかという不安にもつながります。

実際、51%攻撃の発表の後、仮想通貨市場は大幅に下落しています。

 

その後の経緯

その後、仮想通貨取引所のGate.ioの報告によれば、12日、被害に遭ったイーサリアム・クラシックのうち10万ドル相当が返還されたようです。

攻撃者とのコンタクトはとれておらず、51%攻撃の理由はいまだ不明です。

一部が返還されていることから、お金が目的ではなく、ブロックチェーンの問題点を知らしめるために、ホワイトハッカーがやったのではないかという見解もあります。

今回の事件を機に、仮想通貨の問題点が見直され、改善していくきっかけになるかもしれません。

 

 

XRPに注目?

今回の事件によって、一部でXRPに注目が集まっています。

XRPの研究者であり、リップル社のCTOであるDavid Schwartz氏は、今回の事件を受けて、自身のツイッターで以下のように発言しています。

 

今回、51%攻撃によって二重払いが発生し、イーサリアム・クラシックが被害を受けた。XRPの台帳であるXRPレッジャーでは、このような懸念点をすでに解決済みである。

 

XRPレッジャーでは、Proof of Correctnessという方式を用いており、51%攻撃を受けない設計になっているとのことです。

今回の51%攻撃に伴ってXRPの機能性をアピールしたことになりますが、市場に直接的な影響はないようです。

 

まとめ

これまで、常々問題視されてきた51%攻撃が、イーサリアム・クラシックのネットワークで起こってしまったことは、今後の仮想通貨業界に大きな影響を与える事件になるかもしれません。

仮想通貨にはまだまだ多くの問題があります。

51%攻撃のような問題もあれば、まだ表面化していない問題もあることでしょう。

そのような問題を一つずつ取り除いてこそ、仮想通貨の未来は明るくなっていくと思います。

今回の51%攻撃を糧に、仮想通貨の価値が却って高まっていくことを願っています。

 

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