ビットコインって誰が作ったの?誰が管理してるの?

ビットコイン(BTC)

今や誰もが知っているビットコイン。

誰が作って、誰が管理しているのでしょうか?

実態のない仮想通貨について説明します。

はじめに

ビットコインは特定の組織、例えば国や企業や銀行が運営管理している通貨ではありません。

ならば、いったい誰がビットコインを生み出し、運営管理しているのでしょうか。

ビットコインを理解するとき、案外このような素朴な疑問を抱く人は多いと思います。

そこで本稿では、ビットコインがどのようにして誕生し、誰が運営管理しているのか、さらにはビットコインに価値が生まれた瞬間を紐解いていきます。

ビットコインの始まりはナカモト・サトシ

まず、ビットコインを提唱した人物は誰なのでしょうか。

それは、ナカモト・サトシという人物です。

日本名のような人物ですが、この人物が誰なのか、実名なのか、性別はどちらか、どこの国の何歳の人なのかと言ったことは全く分かっていません。

もしかすると、日本名でありながら外国人ということもあり得ますし、ひょっとすると個人ではなく組織で考案したアイデアであり、ナカモト・サトシとは組織名なのかもしれません。

日本人なのであれば、同じ日本人として誇らしい気もしますが、現段階では全くの謎に包まれています。

ビットコインの出発点は、ナカモト・サトシが2008年11月に発表した、暗号理論に関する論文でした。

『ビットコイン:P2P電子キャッシュシステム』という論文です。

もっとも、理論の提唱者はナカモト・サトシなのですが、ビットコインの開発者がナカモト・サトシということではありませんし、ナカモト・サトシを中心とする開発チームが開発したわけでもありません。

ビットコインは、ナカモト・サトシの理論を基に、ブロックチェーン技術に興味を持った人達が分担してコードを書き、徐々に完成させたものなのです。

言ってみれば、この人達は暗号理論などに関するオタクのような存在で、最初は彼らが仲間内でコードを書き、「ビットコインを掘り当てた」「ビットコインを送ってみたよ」などと楽しんでいました。

これがビットコインの始まりなのです。

ビットコインを取り巻く人達

ビットコインの関係者を把握するためには、同心円状に関係者を配置して把握するのが良いでしょう。

最初の頃からビットコインの開発に携わった人のことを「コア・デベロッパー」と呼び、彼らは同心円の中心に鎮座しています。

ビットコインのソフトウェアを実際に開発しているのが彼らです。

同心円の中心にいるコア・デベロッパーのすぐ外側に位置するのが、マイナーと呼ばれる人々です。

コア・デベロッパーがビットコインのソフトウェアを開発し、ビットコインを流通させると、世界中の至るところでビットコインが取引されるようになります。

ビットコインの取引は、運用開始から現在に至るまで記録され、ブロックチェーンをつなぎ続けてきたわけですが、この作業に当たるのがマイナーです。

この作業には膨大な演算処理が必要となるわけですが、マイナーは超高性能コンピューターを莫大な電力で稼働させ、全ての取引を承認していきます。

ビットコインの実際の運用に当っては、マイナーが最大の働きをしているといってよいでしょう。

マイナーの外側には、ビットコインの取引を仲介している「取引所」がいくつも存在しています。

取引所が行う主な仕事は両替と送金です。

ビットコインを利用したいと考える人が、円やドルを振り込んでビットコインと交換するのが「両替」であり、いわばビットコインの売買取引です。

また、ビットコインは送金コストが非常に安いことから、従来の金融機関を介した送金よりはるかに利便性が高いものとして注目が集まっています。

その仮想通貨取引所の周りを取り巻くのが、事業者や投資家になるわけです。

つまり、ビットコインを決済手段として取り入れている飲食店やECサイト、ビットコインの将来の値上がりを期待して購入した一般投資家がこれに当たります。

非中央集権だからできる民主的な分散管理

多くの人達が関わって運営されているビットコインですが、これだけ多くの人が関わっているとなると、どのように運営されているのかちょっと疑問です。

実は、ビットコインの運営にあたっては、ビットコイン黎明期からかかわってきたコア・デベロッパーとマイナーの主要メンバーが、数か月ごとに世界各地で開かれている「ビットコイン・カンファレンス」で集まり、ビットコインの運営方針を話し合って決めています。

そもそも、ビットコインは運営の中心を担うサーバーや、特定の管理人を持たないシステムです。

その代わりに、世界各国の主要メンバーが、みんなで分散管理するというのが、ビットコインの設計思想です。

分散管理すれば、特定の箇所に権力が集まりにくいため、民主的な運営が可能となり、またコストも分散されて効率が良くなります。

仮に、もし中央にサーバーを設けてしまうと、どうしてもそのサーバーの運営者に権力が集中してしまいます。

通貨であれば、中央銀行が経済的に大きな権力を担うのと同じことです。

ビットコインはある意味、中央集権的な金融システムへのアンチテーゼとして生まれた側面があります。

ビットコインの運営者の中には、国や中央銀行が何でも決めるのはいけない、いざとなったら国は信用できないと考える人が一定数います。

そして、そもそもビットコインに携わる人たちと言うのは、現システムにあらがって新システムを作ったくらいです。

言い方は適切ではないかもしれませんが、どこか反骨精神があるというか、誰かの指図を受けることをひどく嫌う傾向があります。

そのため、もしビットコインで中央集権的システムを採用したならば、「そんなら、俺は抜ける」という人がたくさん出てくるでしょう。

ですから、ビットコインの運営に参加する人はそれぞれ自由意志で参加し、メンバー間にも順列を全く設けていません。

全員の話し合いによってルールを決め、取引に問題が生じないシステムを維持していく方が、うまくいく集団なのです。

自由意志によってたくさんの人が運営に参加しており、全員の意思を尊重するということから、非常に民主的な組織であり、また政府を信用せずに全く独自の金融システムを作り上げようとする動きは、どこかリバタリアニズムのような趣があります。

ブロックチェーンを維持してビットコインを管理しているのは、このような思想を持っている人達なのです。

ピザとの交換から生まれたビットコインの価値

現実世界でビットコインが初めて価値を発揮し、モノと交換されたのは2010年5月22日のことです。

これは極めて重要なことです。

古代ローマでは、塩は非常に貴重なもので、給料が塩で支払われたこともあったそうですが、なぜ塩がお金の代わりになったかと言えば、塩との物々交換で色々なものを得ることができたからです。

ビットコインにしても、それをモノと交換できたことによって、はじめて現金と同じ価値を持つことになります。

もしモノと交換できないならば、ビットコインを買って保有しても、それはただのデータに過ぎません。

それで買い物などができなければ何の価値もないのです。

では、ビットコインは何と交換して価値を持ったのでしょうか。

2010年5月22日、ピザを購入したのが始まりでした。

ビットコインを所有するフロリダのプログラマーが、ビットコイン開発者のフォーラムにおいて、ビットコインでピザを買いたいと投稿したのです。

すると、それに応じるピザ屋があらわれて、ピザ2枚と1万BTCを交換したのです。

この瞬間、ビットコインは価値を持つこととなったのです。

当時のビットコインは、まだまだ通貨としての価値を認められていなかったため、1万BTCも支払ったわけですが、2017年8月現在、1BTCの価格は約45万円となっています。

つまり、1万BTCは45億円です。そのピザ屋が、受け取ったビットコインをどうしたかは知られていませんが、もし現在まで保有し続けていたならば億万長者になっているはずです。

このことから、毎年5月22日は「ビットコイン・ピザ・デイ」と定められました。

もちろん、ビットコイン関係者の間だけでの記念日です。

ビットコインがピザと交換でき、それまでのピザは米ドルと交換されていたのですから、おのずとビットコインと米ドルが交換できる関係が成り立ちます。

米ドルと日本円は交換できるのですから、ビットコインと日本円も交換できる関係になったわけです。

このように、ビットコインにしろ何にしろ、それが価値として認められたならば、経済活動に取り込まれることになります。

そう考えれば、ビットコインの価値のあり方がより明確に見えてくるのではないでしょうか。

まとめ

本稿によって、ビットコインがどのように誕生したのか、そしてどのように運営されているのかといったことが分かったと思います。

誕生の仕方もさることながら、開発の根底にある理念や運営方針などが、国や政府への否定を含んでいるということなども、ビットコインが今までになかった、非常に新しい通貨であることがよくわかる面白い側面だと思います。

 

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